そろばんで集中力を身につける

 集中力を身につけることを目的の一つとして、そろばんに取り組んでいる小学生もたくさんいます。
 そろばんは、たしかに集中力を身につける学習です。「やるぞ」と思ってそろばんに取り組むと、やる気分子と呼ばれるドーパミンというホルモンが前頭前野までとどいて、集中力が生まれます。
 ところで、集中力が続かない小学生の原因はなんでしょうか?
 海外では、「食べ物」が原因になっているのではないか、といわれています。
 保護者の方は、炭水化物ダイエットという言葉を聞いたことがあるでしょう。あわてて炭水化物を食べるのを控える人が増えましたが、それはまちがいです。正確には、血糖値を急激に上げる食べ物を控えましょう、ということです。
 現在の高校の化学の教科書では、ブドウ糖をグルコースとカタカナ表記します。果糖はフルクトース。麦芽糖はマルトース。蔗糖はスクロースです。
 一九八〇年代のはじめに、食品による血糖値の上昇度を表すGI(グリセミック・インデックス)という重要な考え方が登場したので、Gはグルコース(ブドウ糖)のG、とわかりやすくしたのかもしれません。
 グリセミック・インデックスは、高度・中度・低度と大ざっぱに分けます。高GIの食品を食べたり飲んだりした場合、急激に血糖値が上がります。小学生は、興奮気味になります。
 ところが、急激に血糖値が上がりますと、今度は、インスリン分泌によって血糖値が急激に下げられます。それが行き過ぎて、低血糖になります。すると、小学生は、いらいらしたり、不安になったり、元気がなくなったり、頭痛がしたりします。
 そして、また、白砂糖のような血糖値を急激に上げるものがほしくなります。甘いものが止められなく仕組みでもあります。(常習化しなければ、問題はありません)
 この上下に激しく動く血糖値が、落ち着きのない、集中力が続かない小学生の原因だといわれているのです。
 わたしの生徒に、椅子に三〇分、座っていられない女の子がいました。チョコレートを毎日食べて、甘いジュースも毎日飲んでいました。お母さんと相談して、チョコレートや甘い菓子などを控えて、甘いジュースも麦茶に変えることになったのですが、なんと、極端なお母さんは、完全に禁止したのです。
 一カ月後、小学校の先生に呼び出されたお母さんは、「うちの娘がまた暴れたのかしら」と心配したのですが、先生は「最近、娘さんはすごく落ち着いていて、集中できています。いいことでもあったのでしょうか? 本当におどろいています」と娘さんをほめたのです。
 そろばんで集中力は身につきます。もし、なかなか身につかないとすれば、甘いものを食べすぎていないか、ちょっと反省してみるのもいいかもしれません。

学院長 筒井保明