目標に向かって、まっすぐな気持ちで学んでいこう。

I will learn for my future self.

 夏期講習のタイトルを「目標に向かって、まっすぐな気持ちで学んでいこう!」とした。いうまでもなく、自分の「目標」を持つことが君の学習のスタートだ。だから、夏休みの前段階で、学習の目標を立ててほしい。未来にむかって、とてつもなく大きな目標を立ててもかまわないし、あるいは、とりあえず、9月が始まったとき、これまでの学習が得意になっている自分の姿を目標にしてもかまわない。算数や数学の問題がすらすらと解ける自分でもいいし、英語の教科書のどの部分であっても口に出して言える自分でもいい。一言でいえば、「できる自分」を想定しておくのだ。
 そもそも「できない自分」というものはない。「できる」と意志する方向に人は発達するようにできているのだから、君に必要なのは、君が意志する方向、つまり、目標なのである。
 たとえば、登校中、友だちとカレーの話をした君は、どうしてもカレーが食べたくなる。夕食をカレーと決めた君は、家に帰る途中で、必要なお店に立ち寄る。タマネギやニンジンやジャガイモを買い、肉を買い、そして、カレー・ルーの棚の前で立ち止まる。どれを選ぶべきなのか。テレビのコマーシャルが君の頭に次々と浮かぶ。君はそれぞれを手に取って解説を読み、必死に考え、「これだ」というカレー・ルーを買う。
 さて、家に帰り、タマネギ、ニンジン、ジャガイモ、肉を切って、油でいため、君は手順通りにカレーをつくっていく。鍋の中に具材を入れ、お湯が煮立ち、頃合いを見て、カレー・ルーを入れる。君はカレーができあがるのを期待して待つ。
 じつは、君の目標とは、君が期待して待つカレーと同じものだ。君は、君の目標を、カレーをつくるように、手順を決めて仕上げていく。9月の最初が期限だとすれば、それまでに仕上がるように、準備し、念入りに作業を進めるのだ。仕上がりのイメージがはっきりしていれば、たいていそのとおりになる。(ただし、料理と同じで、調理法をあやまると失敗するので、基本は教わらなければならない。)
 以上のことでわかるように、人の行動は、未来の目標によって、決まってくる。目標がなければ、人の行動は行き当たりばったりで、そのときの感情で行動が選ばれてしまうけれども(たいていは、手軽で楽しいものが選ばれてしまう)、目標があると、目標を達成するための行動が選ばれる。
 「まっすぐな気持ち」というのは、かんたんなことだ。君が心から望む目標であれば、迷うことなく、君は、まっすぐな気持ちで取り組める。
 カレーを食べたいと思った君は、迷いながらカレーをつくらない。目標を達成したいと思った君は、迷いながら学習しない。ほんとうに達成したい目標なら、君は、つまらない誘惑に負けることなく、自然に学習に取り組んでしまう。
 まず、自分の目標について考えよう。
 そして、目標に向かって、まっすぐな気持ちで学んでいこう。

学院長 筒井保明