学ぶことは、生きることだ。

Learning Is Living.

 グローバル化経済が、確実に進んでいる。外国人雇用の届け出だけを数えても、1994年の13万人から2014年の79万人に増加している。在留外国人の数だけであれば、2014年12月の時点で、212万人、埼玉県に限ると、13万人の外国の人たちがいる。
 パナソニック、東芝、ソニー、ユニクロ、野村証券など、多くの上場企業が外国人採用に積極的だ。君たちが社会に出る頃には、上司や先輩が外国人である可能性も大きい。
 2015年の中国の大学卒業者は、749万人、日本の大学卒業者は、42万人。人の脳に人種による優劣はないので、かりに中国の大学生と日本の大学生が同等に学習したとすれば、中国人のトップ6.7%(偏差値65以上)だけで50万人を超えるのだから、日本人としては背筋が寒くならないだろうか?
 さらにいえば、中国人の大学生は、日本人の大学生と比べて、猛烈に学んでいる。
 日本の大学に通うネパール人やスリランカ人やベトナム人や韓国人やアメリカ人の大学生・大学院生に話を聞くと、異口同音に「日本人の大学生・大学院生は、例外はあるけれど、ほとんど勉強しない」と断言する。つまり、10年後、20年後、君たちの日本は、かなり衰退している恐れがあるのだ。
 では、その引き金は何であろうか?
 おそらく環太平洋パートナーシップ(TPP)の締結であろう。TPPが、物流だけではなく、人の流動性を大きく促進する。外国の人たちが、君たちの競争相手として、すぐ目の前にいることになる。
 さあ、この状況を前向きに捉えるか、後ろ向きに捉えるかは、その人の実力や価値観によって異なるだろう。いずれにせよ、「英語は嫌いです」「外国人は苦手です」では、勝負にならないのだ。
 英語は、国際語としての地位を確立している。多くの国において、ビジネスの現場では母国語よりも英語である。また、外国人に苦手意識を持つのは、単に慣れていないからで、本質的なところで、どの国の人も「人情」は同じである。
 英語に限らず、すべての言語は、生きた場面で使うことによって、はじめて自分が使える言語になる。経験するとわかることだが、日本語が通じない環境において、自分の意思を伝えようと思うとき、自分の脳に日本語は浮かんでこない。得意でない外国語であっても、脳に浮かぶのは片言の外国語である。
 君たちの英語学習は、身につける学習 Learning である。学ぶことは、生きること Learning is Livingである。すべての学習は、生きることにつながっていることに気がつけば、英語など、恐れることはない。生きている人間の使っている言葉は、君がその言葉を使うことによって必ず身につけることができる。たとえば、アメリカ人に向かって、“Good morning.”、中国人に向かって、“早上好。”(ツァオシャンハオ)、ロシア人に向かって、“Доброе утро.”(ドーブラエ ウートラ)と呼びかけたことがなければ、朝の挨拶もうまくいかない。しかし、一度、挨拶を交わせば、その言葉は完全に君のものだ。
 いま、英語教育が変わろうとしているけれども、使える言葉を身につけることを意図している。音声として英語を身につけることが、これからの英語学習に求められている。
 国際語としての英語は、君たちの必需品になる。
 学習の秘訣は、学ぶことは生きること Learning is Living だ。積極的に学んでいこう。

学院長 筒井保明