いまの君は、自分が考えている自分だ。

You Are What You Think.

 どうして、彼はあんなに自信に満ち溢れているのだろうか?
 毎日、きちんと努力しているからだろうか?
 それとも、成功体験をたくさん積み重ねているからだろうか?
 他人のことをあれこれ詮索しても仕方がないけれど、自信を持っている人物を見ると、うらやましくなってしまう。私となにが違うのだろうか?
 自信というのは、自分を信じる気持ちのことだ。
 自分というのは、いうまでもなく自分自身なのだから、その自分を信じるのに、じつは理由や根拠はいらない。「私はできる」「私はすばらしい」そう思えば、いいだけのことである。
 自分のことを肯定的に考えるか、否定的に考えるか。たったこれだけのことで君の人生自体が変わってしまう。なぜなら、いまの君は、君が考えている自分だからだ。
 人は内心で自分自身と対話している。英語で、セルフ・トーク(Self-talk)という。たとえば、失敗したとき、「しまった!」と一人で声を上げるのも、セルフ・トークだ。鏡に向かって髪を梳かしているとき、「俺ってカッコいいかも」というのも、机に向かって学習しているとき、「私は数学が得意かも」というのも、セルフ・トークである。できれば、このセリフから、「かも」を捨てて、「俺はカッコいい」「私は数学が得意」と言い切れると、本当にそうなる。
 ところが、「俺はカッコ悪い」「私は数学が苦手」という否定的な言葉を口に出していると、こちらが実現してしまう。
 否定的な言葉は、君の力を台無しにする。最近の研究発表では、「私は年を取り過ぎている」と否定的な言葉を口にする老人と、「私は元気だ」と肯定的な言葉を口にする老人が共に体を鍛えると、前者はあまり改善が見られなかったが、後者は顕著な改善が見られたそうだ。
 もし、目の前に深い河があるとして、「渡れるぞ」と自信を持って渡るのと、「渡れないよ」とびくびくして渡るのと、どちらが成功する確率が高いだろうか?
 「渡れるぞ」という自信は、人の潜在能力を引き出すことができるが、「渡れないよ」という自信のなさは、持っている能力さえ押さえこむ。だから、うまくいくのは、自信がある方なのだ。
 学習も同じことで、「できる」と自信を持って取り組んでいけば、必ずできるようになる。ところが、「できない」と思い込んでいると、できない状態が長く続く。
 「できる」と思っている方は、できる状態を望んでいるから、できるようになる。「できない」と思っている方は、できない状態を無意識のうちに望んでいるから、なかなかできるようにならない。
 君が、君を信じるのに、理由も根拠も遠慮もいらない。自信は、セルフ・トークを肯定的にすることによって、生まれてくる。「俺はできる」「私はできる」が正解だ。
 「人事を尽くして時節を待つ」という言葉がある。やることをやったのだから、あとは成功を待つだけだ。もちろん、時節が合わず、うまくいかないこともあるが、長い目で見れば、将来に成功が持ち越されたと見るべきだろう。

学院長 筒井保明