世界の視点で

Global Studies

 国に先駆けて、さいたま市では、すべての市立小中学校で、新しい英語教育「グローバル・スタディ」が実施されている。教育目標は、「将来、グローバル社会で主体的に行動し、たくましく豊かに生きる児童生徒の育成」。さらに、目指す子ども像として、「外国の方と英語で積極的にコミュニケーションを図ることができる子ども」「日本やさいたま市の伝統・文化に誇りをもち、将来にわたり、社会に貢献する子ども」を掲げている。<br />
 これからの日本や世界の状況を予想したとき、グローバル・スタディという取り組みの方向性は、正しい。取り組みの効果に疑問を持つ方々も多いようだが、グローバル社会に英語は不可欠になるので、失敗の可能性を論じてもあまり意義はないだろう。もし高い学習効果を期待するならば、いちばん簡単な方法は、子どもたちの目の前にグローバルな状況を出来させてしまうことだ。<br />
 現在、山手学院のジュニア英語では、さまざまな国の、英語を国際語として使っている学生たちを授業アシスタントとして起用し始めている。これは、さいたま市の意図と同じく、彼らを教室に入れることによって、子どもたちの意識を日本語の世界からグローバルな世界に移動させ、体感として英語を学んでもらうためである。<br />
 じっさい、外国の学生たちが入ったジュニア英語の授業を眺めていると、子どもたちは無意識のうちに彼らに英語を使おうとしている。なぜなら、目の前の人物が日本人でなく、どうやら英語を話せるらしいと認識すると、子どもたちの言語モードが日本語から英語に変わってしまうからだ。この状態で英語を学習すると、それが片言であっても、使える英語として身についていく。「英語が使える」という実感こそ、英語学習の鍵である。<br />
 英語は、4技能習得の時代に入った。「聞く」「話す」「読む」「書く」をバランスよく身につけることを学習目標としているわけだが、言語習得の自然として、①「聞く」②「話す」③「読む」④「書く」という順番で、英語力をつくっていくべきだろう。<br />
 わたしたちが日本語を身につけた順番も、①「たくさんの言葉のかたまりを聞いた」(Listening)②「聞いた言葉を自分の口でくりかえし話した」(Speaking)③「文字を読めるようにして、たくさん音読した」(Reading)④「くりかえし文章を書く練習をした」(Writing)である。<br />
 小学生も、中学生も、積極的な気持ちで、英語を学べば、必ず英語は得意になる。これまでは英語を使う環境がそもそもなかったが、これからはグローバルな環境が身近なものになってくる。英語が必要な機会が増えてくる。<br />
 いままで日本人が英語を苦手としていたのは、実感のない知識としての英語だったからだ。今後、君たちは、体感をともなって英語を学習することができる。日本自体が、そういう環境に変わってくる。<br />
 さあ、いよいよ夏休みであるが、君たちは、世界の視点を持つために、なにをしたらいいのだろうか。<br />
 まず目の前にある学習にとことん取り組んでみることを勧める。<br />
 夏期講習・夏期合宿・サマースクールも、重要な学習機会になる。<br />
 長い夏休みを無為に過ごすことなく、ともかく、たくさんのことを学んでいこう。<br />
 できるかぎり学び、そして果敢に行動することによって、君たちは世界の視点を持つことができるようになる。<br />