体験が君の未来を変える!

Experience makes the difference!

 時と所が変われば、物の見方が変わる。
 私たちは、日本の教育について、どちらかというと否定的な意見を述べがちであるが、日本にいる外国人は、日本の基礎教育の充実をほめてくれる。「読み・書き・そろばん(計算)」の底力が、日本を支えているという見方である。
 ところが、先日、日本の大学の工学研究科博士課程で学ぶネパール人と話したとき、基礎教育と対極にあるはずの、日本の大学院の問題点を指摘された。彼の交流範囲の修士・博士課程で学ぶ留学生たちは、「日本の大学院は、徒弟制度のようだ」といって、批判するそうだ。つまり、指導教授が親方で、親方の守備範囲(研究テーマ)から徒弟(学生)は外れることができず、研究内容や研究手段も指定され、新しいテーマに取り組むことができない、というのだ。
 彼は、大手建設会社から奨学金をもらい、国際的な研究発表会にも出席する優秀な学生であるが、彼が現在の大学院を選んだ理由は、「教授」であった。研究テーマを自分で決めることができ、研究手段に助力してもらえるからだという。
 彼は、ほとんど日本語ができない状態で、日本に来た。英語はネイティブ並みにできるが、日本語は手探りだった。博士課程で研究するほどの日本語力を彼はどこで身につけたのだろうか?
 日本語学校にも行ったけれども、彼の実感としては、彼に親切にしてくれた人たち(アルバイト先や近所の方々)とのたくさんのコミュニケーションのおかげであった。
 「ともかく、人の中に入っていきました。たくさん話しかけて、何度も日本語を直してもらいました。ものごとを身につけるためには、積極性が必要です。日本の学生は、引っ込み思案のせいで、とても損をしています。各国で開催される研究発表会にも、英語が不安だといって応募しない。研究者の集まりに入ろうとしないから、もっと勉強しようという感じになりません」
 わたしは、彼が日本に来たころの状況を聞いて知っているから、
 「君は、とことん前向きだなあ。一時、住むところもなかったようにはとても見えない」
 「努力や苦労はしておかなければだめです。後で考えると、全部、自分の役に立っています。たとえば、外国免許証の切り替えは、テストは簡単ですが、運転技能は難しい。でも、合格するまでに何度も直されたことが、あとで役立ちます。たしかに事故が防げます。体験しておくと、本当に動き方が変わります」
 この後も、彼は、体験の重要性をくりかえし語った。
 体験という同じ観点でいえば、山手学院では、夏期勉強合宿(中3・中2・小6受験・小5受験)、個別スクール合宿(中3)、サマースクール(小3~小6)を実施し、いずれも重要な体験の機会になる。夏期勉強合宿や個別スクール合宿では、日常から離れて、長時間、集中して学習することによって、集団的効力感のなかで自分の潜在能力(やればできる)をしっかり実感できる。そして、効果的、効率的な学習の仕方を身につけることができる。サマースクールでは、自然体験、グループ体験、国際交流によって、自分の世界をグンと広げることができる。さまざまな出会いは、小学生にとって、大量の体験学習になる。
 小学生・中学生時代の体験は、君の未来をつくる。ことわざに「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」という。引っ込み思案にならずに、なにごとにも積極的に取り組もう。

学院長 筒井保明