自分のゴールを達成する!

Achieve your goals !

 夏期講習パンフレットの表紙に、「君の目標と意志/未来の自分に“いま”をつなぐ!」というタイトルをつけた。
 タイトルを考える前に、まず、夏期講習で学習に取り組む君たちをイメージした。
 君たちが学習をとおして立ち向かっているのは、ドイツの哲学者ショーペンハウアーの言葉を借りれば、君の「意志と表象としての世界」である。
 意志とはなにか。ショーペンハウアーは、人や自然を「生きるための意志の表現」であるととらえた。「生きたい」「成長したい」「食べたい」「飲みたい」「学びたい」「持ちたい」「なりたい」など、自ら求める「…たい」は、すべて意志である。
 表象とはなにか。表象は、人の認識を通して目の前に表現された世界である。もっとかんたんにいうと、人というフィルターを通して見えている世界である。じじつ、わたしたちに見えている世界は、現実そのものではなく、わたしたちの五感(脳)をとおして認識され、再構成されている世界である。つまり、同じ場所、同じ時間であっても、一人ひとりに見えている世界は違う。
 だから、君が「できるようになりたい」と思って一生懸命に学習しているとき、君は、君自身の「意志と表象としての世界」に直面しているのだ。
 たとえば、球技でも、武道でも、芸事でも、研究でも、趣味でも、ある人が無我夢中で取り組んでいるとき、その人はその世界に没頭しているといわれる。なぜなら、ある自己イメージをもって、やりたいことをやっているからだ。ヒットを打つ自分、ゴールを決める自分、一本をとる自分、うつくしく踊る自分、新事実を発見する自分、鯛を釣り上げる自分…それぞれの自己イメージにつながる「なにか」を実行しているので、とことんやれるのだ。
 どの分野であっても、目標は、人の表象(世界)を変える。本気の目標ができると、「達成したい」という意志が自然に生まれくる。
 「未来の自分に“いま”をつなぐ!」は、「目標と意志」を形にすることを強調した言葉だ。未来の自分とは、いいかえれば、「目標」にほかならない。
 生命が時間とともにある以上、人が生きるのは「いま」(現在)である。時間をさかのぼって過去を生きなおすことはできないし、時間をとびこえて未来を先に生きることもできない。人はつねに「いま」を生きている。
 この「いま」を未来の自分につなげることが、目標達成の方法なのだ。
 君は、いま、目標につながる「なにか」をやっているだろうか。やっているなら、目標達成に近づいていくが、やっていないなら目標達成は無理だろう。たとえば、つぎの定期テストで100点をとりたいなら、いま、100点につながる「なにか」をやっていることが求められる。また、受験生が志望校に合格したいなら、いま、合格につながる「なにか」をやっていることが必要である。どんな目標であっても、それを意識したとき、その目標に「いま」をつなげることが達成の秘訣である。
 「未来の自分に“いま”をつなぐ!」とは、目標につながる「なにか」を実行することだ。

学院長 筒井保明