君は目標を達成できる!

You can accomplish your goals!

  中学2年生の夏期合宿のガイダンスで、学習前の準備の話をした。準備といっても予習や復習のことではなく、学習前のイメージ・トレーニングのようなものだ。
 ①まずゆっくり呼吸しながら体の力を抜いてリラックスする。
 ②リラックスしながら、学習者として理想的な自分をイメージする。(らくらく問題を解いている姿でも、集中して取り組んでいる姿でも、好ましい自分の姿であればよい)
 ③思い描いた自分の姿に対して「わたしはできる」と確信を持つ。(できるぞ、と自己イメージに声をかけてもよい)
 練習すれば、1分もかからない。たったこれだけのことで、学習効果が上がる。そして、何度もやっているうちに、学習前になると、無意識に学習の準備状態ができてしまう。論より証拠で、合宿中に試してみよう、と勧めた。
 種明かしをすると、「リラックス状態」は、学習や練習の前に作らなければならない状態である。これから学ぶことや身につけることに対して、最初から緊張していたのでは、学習や練習を吸収することがむずかしい。また、緊張状態では思考が働きづらい(脳の扁桃体が優位になっている)ので新しい対象に集中することができない。集中力は、リラックス状態から生まれる。
 「理想的な自己イメージ」は、学習に対するネガティブな気持ちを取り除く。ポジティブな自分を強くイメージすることによって、やる気分子と呼ばれる神経伝達物質ドーパミンが脳の前頭前野まで分泌され、学習への意欲が引き出される。
 さらに「わたしはできる」と確信することによって、「理想的な自己イメージ」が現実的なものとして感じられるようになる。そして、しばらくのあいだ、しっかり取り組んでいると、実際にできるようになる。(なぜなら、人は、自己イメージを実現するように行動するから)
 ところで、この逆のパターンとして、最近、スポーツ界のパワーハラスメントが大問題になっている。監督やコーチの暴力や暴言など威圧的な仕打ちは、どんな言い訳をしようとも、実質的には選手たちの能力を低減させてしまう。苦しい緊張状態、長引く嫌悪感、いたずらな自信喪失など、練習を無意味なものにするだけでなく、選手たちに心理的なダメージを与えてしまう。指導者として失格だ。
 学習に関しても、同様の行動をとる人たちがいるかもしれない。しかし、君には目標がある。君の目標がもっとも重要なのであって、周囲の心ない言動に君の目標をつぶされてはいけない。「ひどいことをいうな」と思ったときには、静かに心を落ち着けて、「ぜったいに気にするな」と自分に言い聞かせよう。本気の目標は、どんな妨げにも打ち勝てる。
 さあ、受験生をはじめとして、小学生も、中学生も、たくさん学習できる季節になった。生理学者によると、「春から夏にかけて」がスポーツの季節であるとすれば、「秋から冬にかけて」はまさしく学習の季節である。
 学習にとりかかる前に、「リラックス」「理想的な自己イメージ」「できるという確信」(自分を信じるだけでよい)を心がけてみよう。
 君の可能性は、君の学習によって大きくなるのだ。

学院長 筒井保明