人生の選択

Life Choice

 人生とはなにか。
 人はどのように生きるべきか。
 その人の信念や価値観や原則をひとくくりにした理論のことをその人の哲学という。
 たとえば、ソクラテスにも、プラトンにも、ナポレオンにも、勝海舟にも、吉田茂にも、その人自身の哲学があった。
 おなじように、君たち一人ひとりにも、君たち自身の哲学がある。
 人は生きているかぎり、じつは、自分の哲学を生きているのだ。
 「哲学」という言葉は、明治時代のはじめに、西周という学者が、フィロソフィアという原語を訳したものである。フィロソフィアは、自然や人生の根本原理を求めることであった。つまり、すべての学問やあらゆる行動の根底にあるものだ。
 もし、ある場面に直面したとき、君が「なにもやらない」哲学を持っていたなら、君は「なにもやらない」考え方をするだろう。
 君が「なにもやらない」考え方をすると、君は「なにもやらない」行動にでるだろう。
 つまり、君は、どんな場面でも、なにもやらない。
 なにかに突き当たったとき、「なにもやらない」君は、これまでの人生で「なにもやらない」哲学を自分のなかに培ってしまっている。受験生として目の前の学習に取り組まなければならないとき、積極的に取り組むことができないのだとしたら、その原因は「なにもやらない」哲学にある。
 そんな自分がいやなら、君は、まず自分の哲学を変えなければならない。
 君が自分の哲学を変えれば、君は自分の考え方を変えることができる。
 自分の考え方を変えれば、君は自分の態度を変えることができる。
 自分の態度を変えれば、君は習慣を変えることができる。
 そして、習慣を変えれば、君は具体的な行動を起こすことができるようになる。
 このとき、必要なのは、君自身の目標だ。
 目標を達成したいと願うとき、君は、どんな哲学を持つべきなのだろうか?
 「自助努力の哲学」a self-help philosophy「自分自身でやれ哲学」a do-it-yourself philosophy
「いますぐやれ哲学」a do-it-right-now philosophy「手遅れだ(全力で早くやれ)哲学」a it's already-too-late philosophy・・・
 これは、公民権運動で大きく揺れていたアメリカのオハイオ州で、ある黒人指導者が仲間を励ましたときの言葉である。
「誰かを待っているんじゃない」「自分でやるんだ」「いますぐやるんだ」「手遅れになるぞ」「君に必要なのは、自分で行動する哲学なんだ」
 どれも、目標を達成するために必要な哲学であろう。
 君が「自分でやる」「いますぐやる」という小さな決断を実行していると、やがて変化が起こる。
 「自分でやる」「いますぐやる」という小さな決断が、君の人生を大きく変えていくのだ。
 君の人生にとって、重要な決断のことを「人生の選択」life choiceという。
 志望校や受験校も人生の選択であるが、もっと重要なのは、目標に向かって「自分でやる」
「いますぐやる」という君自身の哲学なのだ。

学院長 筒井保明