Day: December 5, 2019

学院長からのメッセージ 2019 December

君たちのもっといい未来 Your Better Future  2020年は、庚子(かのえ・ね)の年である。  江戸時代に書かれた『和漢暦原考』(石井光致)を見ると、『「庚」は、陰気が万物をあらためるので「更」であり、万物は粛然と更改する』とある。  また、『「子」は「滋」(繁殖・生長)「孳」(繁殖)であり、つとめて止まず、ますます増える』とある。  さらに『冬至の日(子月)に一陽が生じて万物が生じ始める』とある。陰陽の思想でいえば、冬至に陰が極まり、そこに新しい陽が生まれる。「子」は、始まりを表している。  十干十二支や陰暦で見ても、2020年の庚子とは、「あらゆることが根本から改まり、新しい年にますます発展していく」という意味になるので、文字どおりであれば、すばらしい一年になるはずだ。  では、子はどうして鼠なのか?  紀元前200年代の秦の時代の竹簡に「子、鼠也」と書かれているそうであるが、それはそう書かれているだけで理由を説明していない。  もし君たちが「子の字が表す、つとめて止まず、ますます増える動物は、なあに?」となぞなぞを投げられたなら、君たちはどんな動物を思い浮かべるだろうか?  当時の中国人は、たぶん、ネズミを思い浮かべた。  日本人も同じだろう。その証拠に、和算に鼠算というものがある。  正月に、ネズミの父母が子を12匹生む。親と合わせて14匹。このネズミたちが一組の父母になって、2月に12匹ずつ生む。合計で98匹。このように、親も子も孫も曽孫も、毎月、12匹ずつ子ネズミを生むと、12月には合計で何匹になるだろうか?  ちょっと計算してみよう。答えは、2×712 = 27,682,574,402で、276億8257万4402匹。つまり、ネズミたちは、つとめて止まず、ますます増えるのだ。  『和漢暦原考』には、十二支に当てられた動物たちの根拠と思われることも書いてあるが、もしかしたら私の想像のほうが当たっているかもしれない。  いずれにせよ、庚子の2020年は、改革の時であり、発展の時を意味する。  さて、このおめでたい年のはじめ、君たちの抱負は、どんなものだろうか?  抱負はどんなに大きくてもかまわない。抱負の意味は、「大志」であり、「理想」だ。だから、途方もなく壮大なものであってもいい。  抱負や目標を考えるとき、方法や手段を考える必要はない。なぜなら、方法や手段は、抱負や目標が決まった後に、生まれてくるものだからだ。  まず自分にとって重要なことを抱負や目標にしよう。  そして、その抱負や目標を達成している自分を思い浮かべてみよう。  晴れやかな笑顔の自分が思い浮かんだなら、さっそく、その抱負や目標に向かって走り出せばよい。走り出すと、やることや手段や方法が次々とあらわれてくるはずだ。  子の年は、万物のスタートだ。これから、君たちの毎日はもっといい未来になる。  希望をもって、自分の目標に向かっていこう! 学院長 筒井保明