学院長あいさつ

かんたんなことから始めよう!
Start Simple!

 プログラミングの学習は、楽しいものです。「いやいやながら」とか「苦労して」とか、ネガティブな表現はプログラミング学習のものではありません。本来、どんな学習であっても、「楽しんで学ぶこと」が学習の王道です。そんなことあるものか!という声が聞こえてきそうですが、本当です。
 中国の偉人である孔子の言葉を集めた『論語 』という本の最初に「学んで、ときどき習う(復習する)ことは、とってもうれしいことだよね」と書いてあります。ここから学習という熟語ができたのです。ですから、学習は、うれしいことにちがいありません。
 わたしも指導者用のページでQUREOをプレイしながら、プログラミングの導入として、QUREO がとてもよくできているので感心します。わたしとしては、小学生のみなさんがQUREO を卒業した後、ぜひ英語をつかて、もっと広い世界で創造し、プレイしてほしいと願っています。
 プログラミングの概念自体は人類共通です。
 たとえば、英語で、「ストップ」といっても、日本語で「止まれ」といっても、フランス語で「アレテ」といっても、中国語で「停止(ティンヂィー)」といっても、言葉の表す概念はおなじですね。
 ただ、コンピュータ・サイエンスを生んで育てたのがアメリカですから、プログラミングの世界は英語が中心になるのです。
 さて、QUREO の最初のコーディング(プログラミング)は、「10歩動かす」です。まさしく初歩ですが、「かんたんなことから始める」はスクラッチの基本中の基本です。
 一つのプロジェクトの一連の流れをスクリプトといいます。スクリプトscriptは、映画や演劇であれば、脚本とか台本と呼ばれますが、プログラミングではスクリプトのままです。
 スクラッチの父とも呼べるMITのレズニック博士は、「かんたんなことから始める。これは当然のことのように思える。ところが、驚くべきことに、スクラッチ・プロジェクトをスタートするとき、いきなり、大きな複雑なスクリプトをつくる人たちがいる。一つ一つがどういう動きをするのか、見ようとさえしないのだ」
 といっています。
 さらに、博士は、
「わたしがスクラッチ・プロジェクトをつくる場合、わたしはいつも、かんたんなスクリプトで始める。わたしが望む動きをするかどうかを確認する。そして、徐々に追加し、追加しながら、新しいバージョンをテストし、改訂していく。ワークショップでも参加者におなじやり方で やるようにはげます。つまり、かんたんなことから始める。試してみる。そして、発展させ、改良する。スクラッチ・プロジェクトだけではなく、どんなプロジェクトでもおなじじゃないかな」(以上、『Lifelong Kindergarten』から引用)
 と話しています。
 QUREO も、とうぜん、おなじ方法になっています。初歩的なことをとても大切にしています。
 ランをクリックしたとき、オブジェクトが、君の望む動きをしているでしょうか。
 めんどうくさがらずに、各レッスンをしっかりクリアしていってください。
 やがて、大きな、複雑なスクリプトを実現することができるようになるでしょう。

学院長 筒井 保明

プログラミング的思考は教科書でどのように取り上げられているか

 コロナウィルスの影響で長らく小学校の授業が停滞していましたが、少しずつ通常の状態に戻りつつあります。学校での生活が普段どおりになり、本来の子どもたちの元気な姿が見られると思っております。
 さて周知のとおり、今年度からプログラミング教育が小学校での学習に取り入れられることになっています。ですが、お子さまの教科書を手に取っていただくと、「プログラミング」という教科はありません。プログラミング教育は、国語や算数、社会・理科(小学1・2年生は生活)、図工、音楽…といった各教科の中で、プログラミング的思考を取り入れるとしています。とすると、プログラミング的思考は教科書でどのように取り上げられているのか、昨年度までの教科書とどのようにちがっているのかが気になるところです。今一度確認したいことは、プログラミング的思考は、いわゆる「プログラミング」と想像するコードを入力してコンピュータを動かすというものではありません。(これは「コーディング」といいます)
 文部科学省はプログラミング的思考を「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」としています。
 したがって、以前の学習者は、プログラミング的思考を学習していないかと言われれば、明文化したものはありませんが、何となく学んでいるものなのです。
 ですから、前述のような問題に対しての最適解を見つけられ、対応でき、発展・応用させられるようにできれば、プログラミング的思考を習得しているといえます。
 とはいえ、見つけるきっかけや考え方は学ばないといけません。先ほど「何となく」学んだと述べましたが、今後は「何となく」ではダメなのです。
 プログラミング的思考は、算数や中学校以降で学習する数学と深い関係性があります。ですので、プログラミングは理系(算数や理科)の仲間といわれることが多いのですが、前述のプログラミング的思考の考え方をふりかえってみると、文系(国語や社会)でも十分に役に立ちますし、学習だけでなく生活面でも活かすことができるのです。
 話がずれてしまいましたが、教科書ではどのように取り扱っているのか、関係性の深い算数の教科書を確認してみました。
 例として新旧の小学5年生で学習する倍数と公倍数を見ていくと、キャラクターなどちがうところはありますが、学習する内容はほとんど変わりありません。ですが、今年度から使用されている教科書にはQRコードが載っています。「Dマーク」がついているページ内容の学習をインターネットを利用してできるようになりました。また、QUREO のようなビジュアルプログラミングを使って、倍数を求めさせています。
 次のコーナーにこの「倍数を求める」というScratch の課題も用意しましたので、ぜひ挑戦してみてください。QUREO を学習していただくことで、PCの利用をスムーズにし、このようなビジュアルプログラミングもとまどうことなく取り組むことができます。

著作権などの関係で教科書は掲載はできません。
詳しくは、東京書籍 新しい算数(https://tosho.proguru.jp/kobaisu/#/ )をご覧ください。