目標に向かうとき、人は学習する!

 9月の北辰テストの結果が返ってきた。自分の得点や偏差値や合格可能性を見て、君たちは、にんまりとほほ笑んだり、暗然と落ち込んだりしたかもしれない。しかし、その結果はすでに過去のものでしかないから、良くても、悪くても、君たちは目標に向かって前進していくだけだ。
 そういっても、わたしも、君たちの結果をながめながら、君たちの日ごろの姿を思い浮かべて、笑顔になったり、渋面になったりした。とくに、一生懸命に取り組んでいる生徒の結果がかんばしくないと、かなり暗い気分になる。どうして、努力しているのに、結果となって表れないのか。なぜ努力が結果につながらないのか。
 きちんと学習しているにもかかわらず、なかなか結果がともなわない生徒たちの大きな問題点の一つは、生活習慣がまちがっていることだ。一人ひとり面談して、まちがった習慣を正していくだけでも、ずいぶん結果が変わってくるだろう。

①夜9時以降のテレビやゲームやスマホやパソコンは、原則として、禁止。
 受験生であれば、なにが重要なのか、自分で決めることだ。テレビやゲームやスマホやパソコンが、今日の学習よりも重要であると判断したなら、それによって今日の学習が壊れ定着しないまま消滅したとしても自己責任であろう。今日の学習は短期記憶として蓄えられ、熟睡中に長期記憶として定着する。ところが、睡眠前のテレビやゲームやスマホなどは、短期記憶を壊し、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌を妨げ、睡眠を浅くしてしまう。つまり、熟睡がないから、細胞をつくったり修復したりする成長ホルモンが分泌されない。
 熟睡こそ、君たちを成長させるカギである。熟睡を失うと、脳や身体の成長が阻害され、疲労から回復することもできず、ひどい場合、朝、起きられなくなる。学習の前に、健康を害してしまう。  記憶と睡眠、睡眠と成長ホルモンの関係を知っている人は、寝る前に学習をまとめる習慣を持っているし、テレビやスマホなど触わらない。もっと慎重な人は、熟睡するために、お風呂の電気を暗くして入浴したりする。(強い光はメラトニンの分泌を妨げるので)そして、自分に向かって「あなたは目標を達成できる」と明言してから熟睡する。
 「いい眠りを眠ること(熟睡すること)」が、一日の最重要事項なのだ。

②つねに自分の目標を意識する。
 ①とも関連して、学習しなければならないのに、どうして目の前のことに振り回されてしまうのだろうか。ついゲームに手を出してしまったり、テレビを見てしまったり、スマホをいじってしまったり、マンガを読んでしまったり・・・気がついたら、あっというまに時間が過ぎていた!
 原因は、「目標が意識されていないこと」である。たとえば、おにぎりを食べたいと思っているとき、ラーメンをつくる人はいないだろう。映画を見たいと思っているとき、ジョギングする人はいないだろう。学びたいと思っているとき、遊ぶ人はいないだろう。人は、やりたいこと(目標)に向かって行動するものだ。
 だから、学習しないで、ほかのことをしてしまうのは、学習が目標につながっていない証拠である。「志望校に行きたい」と本気で思っているなら、学習はやりたいことになる。「みんながやっているから、やらねば・・・」と思っているなら、ゲームやテレビやスマホの誘惑にかんたんに負けてしまう。
 本気の目標を持てば、君は自然に学習に向かいたくなる。
 野球選手になりたいと思っている若者は、サッカーの練習ではなく、野球の練習をする。行きたい学校がある君は、ゲームやテレビやスマホではなく、学習を始める。
 いつでも自分の目標が先だ。自分の目標を意識していると、必要なことを自然にやるようになる。
 さて、君の目標は、なんだろう?

山手学院 学院長 筒井 保明