学院長あいさつ

試行錯誤を楽しもう!

 みなさんはプログラミングに楽しく取り組んでいますか?
 もし、楽しくなかったとしたら、たいへんです。
 どんなことであっても、楽しく取り組むから、できるようになります。かならずリラックスしてから、楽しい気分でプログラミングに取り組んでくださいね。
 さて、宇宙も、世界も、生物も、君も、情報でできています。生物であれば、本体は、細胞のなかのDNAです。DNAの持っている情報によって、人間もできあがっています。DNAの持っている情報のことを遺伝子といいます。
 プログラミングは、遺伝子のような小さな情報を組み立てて、一つのパッケージをつくっていきます。思ったとおりに動かなければ、情報を組み替えたり、削除したり、新しい情報を加えたりします。形の異なるパーツで、自分の考えているモデルをつくりあげていくレゴ・ブロックの組み立てにとても似ています。
 じつは、スクラッチの開発チームの責任者であるレズニック博士は、レゴ・カンパニーの開発にもたずさわっています。自分が考えているプロジェクトをつくっていくという工程は、スクラッチもレゴ・ブロックも共通です。そして、どちらも「遊び」「プレイ」です。
 「遊び」とか「プレイ」などというと、「柔道」とか「書道」とか「茶道」のように「道」が好きな日本人には、ちょっと抵抗があるかもしれません。そのうち「プログラミング道」などということになったら、どうしましょうか?
 わたしが、最初に、「みなさんはプログラミングに楽しく取り組んでいますか?」と声をかけたのは、プログラミングにかぎらず、文化の本質が「遊び」だからです。
 芸術も、スポーツも、プログラミングも、「楽しいこと」であって、けっして「苦しいこと」ではありません。オリンピックのさまざまな競技も、そのスタートは「遊び」「プレイ」です。
 山手学院の卒塾生のなかに、スポーツ科学を専攻している大学院生がいます。彼は、
「スパルタ指導で、厳しく練習するのがいいか。遊び感覚で楽しく練習するのがいいか。ぼくは、楽しく練習するほうが、効果が上がると確信しています」といっていました。
 彼は、オランダの歴史学者、ヨハン・ホイジンガの『ホモ・ルーデンス』(遊ぶ人)を読んでいて、「遊びが文化に先立つこと」「遊びが芸術やスポーツに発展したこと」をスポーツのコーチをしながら、実感したそうです。
「なんでも、楽しくやらなきゃ、上手になりませんよ」
 と、力説していました。
 わたしもおなじ考えです。プログラミングも、学習も、受験勉強でさえ、楽しくやれば、かならずできるようになります。
 プログラミングは、たしかに試行錯誤をくりかえしますから、傍から見ればつらそうに見えますが、やっている本人はつらくないはずです。試行錯誤しているあいだ、本人は、たくさんのことを学んでいます。試行錯誤が本来の学習です。
 ぜひ試行錯誤も楽しんでくださいね。

学院長 筒井 保明

プログラミング的思考は教科書でどのように取り上げられているか③

 第3回は、理科ではどのように扱われているのかについてみていきます。
 「プログラミングは理系教科と捉えられがちですが、そうではありません」ということを、算数の回で掲載しました。
 (※プログラミング的思考は、算数や中学校以降で学習する数学と深い関係性があります。ですので、プログラミングは理系(算数や理科)の仲間といわれることが多いのですが、前述のプログラミング的思考の考え方をふりかえってみると、文系(国語や社会)でも十分に役に立ちますし、学習だけでなく生活面でも活かすことができるのです。山手学院ホームページにプログラミング通信のバックナンバーを掲載しております。気になる方はご覧ください)
 とはいえ、プログラミングとして理系教科を想像しやすいという点では、多くの人が納得いただけるかと思います。
 さて、プログラミング的思考を今年度から実施するにあたり、文部科学省では今までになく授業事例をあげて、教職員向けにこのような授業をしたらどうかという案をあげています。教科書では、電気の単元の授業でプログラミングを取り上げています。(理科の授業事例が電気だったからでしょうか、教員も理解をしやすかったからでしょうか)
 電気以外の、小学4年生では温度、小学5年生では天気、小学6年生でも水溶液といった単元でも、順次実行や繰り返し、条件分岐といったプログラミング的思考をつかって考えることができます。
 QUREOで学習していくなかでも、順次実行や繰り返し、条件分岐といった考え方を学んでいきます。Chapterが進んでも、前に学習したことももちろん出てきますから、身につけていきましょう。

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