Day: November 13, 2020

プログラミング通信 | 2020年12月号

世界でもっとも賢い遊び道具は?  みなさんが楽しんでいるプログラミングやスクラッチの世界には、コンピュータサイエンスの歴史と知識が埋め込まれています。  わたしたちがふだん使っている自然言語を体系化したものが、いわゆる「文法」です。しかし、あくまで自然言語が先であり、文法が後ですから、わたしたちは文法どおりに話しているわけではありません。  ところが、プログラミングでは、人工言語・形式言語であるプログラミング言語を使用し、いわゆる「文法」にしたがわなければ、プロジェクトはつくれません。  たとえば、「ごはんはなにがいい?」「ぼくは魚!」という会話は、日本語の自然言語の世界では通用しますが、もし英語で「What’s good for your lunch?」「I am fish」といったら、意味が通じません。「I am fish」といえるのは、たぶん人間では、さかなクンだけでしょう。  スクラッチは、世界中の言葉でプレイされますが、ベースはプログラミング言語ですから、世界中で共通です。  さて、スクラッチの開発責任者であるレズニック博士は、レゴ・カンパニーの開発協力者でもあります。ですから、スクラッチは、レゴ・ブロックと多くの共通点をもっています。  右の画像は、スクラッチのブロック・パレットです。青い部分が、それぞれのスクリプト・ブロックです。スクリプトという言葉は、語源的には「書かれたもの」「手書き」という意味ですが、スクラッチにおけるスクリプトは「言語記述されたもの」です。ですから、各スクリプト・ブロックには文字が書かれています。  レゴ・ブロックであれば、それぞれのパーツにあたります。  ところで、みなさんは、レゴ・ブロックを組み立てたことがありますか?  最終的につくりあげたい作品のことをプロジェクトといいます。  自分でつくるスクラッチの作品もプロジェクトです。プロジェクトは、日本語に直しにくい言葉の一つ。語源的には、projectのproは「前方に」jectは「投げる」ですから、プロジェクトは「前に投げたもの」です。つまり、レゴ・ブロックでも、スクラッチでも、君が「こういうものをつくりたいなあ」と思い描いているものがプロジェクトです。その思い描いたものをレゴ・ブロックのパーツでつくりあげていくのがレゴの世界です。  『ソフィーの世界』で、ヨースタイン・ゴルデルは、「レゴは、世界でもっとも賢い遊び道具だ」と書いています。レゴは哲学的経験で、レゴの謎が解ければ、哲学のプロジェクトが理解できるだろうといいます。各ブロックが原子であるとすれば、原子は「不変」。でも、各ブロックで組み立てられたものは、つくりかえることも、バラバラにすることもできますから、いくらでも「変化」できます。なるほど、レゴは、哲学的経験です。  スクラッチは、レゴにおとらず、世界でもっとも賢い遊び道具ではないでしょうか。 学院長 筒井 保明 プログラミング的思考は 教科書でどのように取り上げられているか④ 第4回は、社会ではどのように扱われているのかについてみていきます。 教科書をよく見ていくと、生徒自ら「調べて、考えたくなる」ように工夫を凝らしています。大まかな学習内容や問題点をつかみ、自分で調べ、考え、まとめて、活かすというような構成です。さらに国語と同じように「主体的・対話的で深い学び」を実現できるように、発展的な内容まで踏み込んでいる部分もあります。プログラミングと考えるとどうしてもパソコンやタブレットを使って、コーディングに近い内容と捉えがちですが、問題を「発見し、どのように解決」するのかという点、また社会という一教科でなく色々な部分で活かせる「まとめる」というところにも重きを置いているといえます。 一例として下の図のように、フローチャートを活用して、ゴミの分別(小4内容)を可視化して、思考を整理したり改善したりしやすくするように子どもたちを指導している先生もいるようです。可視化することで、複数の子どもたちが同じ形式のものを見比べることができ、話し合いが容易になり、多様な意見が出されることで、よりよい手順に改善することができると考えられます。 いろいろある解決が難しそうな大きな問題は、沢山の問題が複雑に絡み合っているから解決が難しいといえます。問題の一つ一つを小さな解決可能な問題としてわけて、その問題を解決できるように何ができるのかを見つけて、どの順番でやるとより簡単に解決できるのかを学べるのが、プログラミングの学習です。 QUREOでは毎回課題が出されますので、どのようにしていったらよいか、命令ブロックをつなげて、課題解決をしてくれています。ゲームと思われるかもしれませんが、れっきとした学習なのです。 答えを見る

学院長からのメッセージ 2020 December

自分で決める! Decide for yourself!  新型コロナウイルスの影響で、なかなか志望校や受験校が決定できない生徒たちがいる。評判やうわさだけで志望校や受験校を決めるわけにはいかないので、各学校の説明会や相談会に参加する必要があるのだけれど、説明会や相談会に申し込もうとしても、すぐに締め切られたり、抽選で外れたりして参加できていない生徒が少なくない。 「志望校はどこかな?」と聞いても、 「いちおう、〇〇高校の予定ですが、まだ説明会に参加できていません」 「評判だけで志望校を決めてはいけない。説明会や相談会には必ず参加しよう。入学した後、思っていた学校と違った!と驚いたのでは、まずいから」  公立高校であっても、私立中学・高校であっても、各学校の退学者の大半は、「自分が入学した学校のことを事前にほとんど知らなかった」という事実がある。  難関県立高校の先生が、「一学期に、退学者が出ました。その生徒は説明会に一度も参加していません。ですから、わが校の教育方針や学校活動について、なにも知らなかった。なぜ、うちの学校に決めたのか、とたずねたら、塾の先生に偏差値で決められた、というのです。けっきょく、自分が行く学校を自分で決めていません。学力がある生徒なのに、ほんとうに残念です」と、嘆いていた。  わたしは、毎年、公立・私立を問わず、おなじような話を聞かされる。ある私立中学校では、入学式に出席しただけで、まったく学校に来なくなった生徒がいた。その生徒は、入学試験のときまで、その私立中学校のことをまったく知らなかったそうだ。塾と保護者が偏差値で受験を決めたらしい。  残念ながら、偏差値や進学実績だけを学校の価値だと考える人たちがいる。ひどい塾になると、生徒の成績や偏差値と、学校を難易度順に配置した偏差値表を照らし合わせて、「A君におすすめなのは、X学校。B君におすすめなのは、Y学校」などという乱暴な指導をする。そういう指導をする塾自体は、X学校のことも、Y学校のことも、実際にはよく知らないのだ!  君たち一人ひとりに個性があるように、公立高校にも、私立中学・高校にも、独自の校風がある。この校風だけは、自分で感じてもらうしかない。一度でわからなかったら、何回か、行くといい。すると、「この学校は自分に合っている」とか、「人気はあるけど自分はあまり好きでない」とか、「親はよくいわないけど自分はいい学校だと思う」とか、なんとなくわかってくる。  そして、中学受験でも、高校受験でも、大学受験でも、「自分で決めて、その学校に行く」という決意ができれば、どの学校に行っても、前向きに取り組める。職業の選択でもおなじだろう。  今年度は、受験生にとって、志望校や受験校を決めるための行動があまりに制限されている。その影響で、自分の住んでいる地域で知られている、評判のいい学校が選ばれる傾向があるようだ。  自分にふさわしい学校選択法は、 まず未来の自分の目標を思い描いてみる。思いつくままに、いくつでも。 複数の学校を選び、自分の目標につながる学校であるかどうか、調べてみる。大学進学でも、スポーツでも、芸術でも、職業でも、その学校が自分の目標につながっていれば、選択肢に入れる。 説明会でも、相談会でも、個人的な見学でもいいので、その学校に実際に行ってみる。その学校の先生や生徒と接したり話したりすることができれば、「選ぶか、選ばないか」がなんとなくわかる。  志望校・受験校は、自分で決める。(もちろん、親と相談すること)    未来の自分の目標があれば、君は、どの学校でも、力強く前進できるはずだ。 山手学院 学院長 筒井 保明

そろばん通信|2020年12月号

そろばんが開く未来  渋沢栄一の『論語と算盤』の話を続けますと、渋沢のいう算盤は、「経済」という意味です。論語は、「道徳」という意味です。渋沢は、「論語と算盤を一致させる」という立場ですから、道徳の「徳」はそのまま「得」であり、経済は「徳=得」の道だ、ということです。  経済は「徳=得」の道、というようなことは解説書には書いてないかもしれませんが、渋沢栄一自身の本を読むかぎり、わたしはそう確信しています。  渋沢自身も「学者は誰も言わないけれど、論語を読むかぎり、孔子は理財に通じていたと、わたしは判断する」といっています。わたしも、渋沢の言葉から、「徳=得」の道を歩んだのが渋沢の人生であったと考えます。  2021年の大河ドラマの主人公は渋沢栄一だそうですから、「徳=得」の道、を念頭に置いて、ドラマを見るのもおもしろいでしょう。  さて、むずかしい理屈は抜きにして、渋沢栄一は、どんな少年だったでしょうか。  まず注目すべきなのは、たいへんな読書家であったこと。8歳から塾に通い、『論語』をはじめとして漢籍に親しみます。また、13歳のころ、道を歩きながら『絵本三国史』を読んでいて、溝の中に真っ逆さまに落ちました。  14歳になると、稼業の商売を始めました。紺屋(染め物屋)が染め物に使う藍玉などを商っていたようです。買い入れた藍を掛け売りしていましたから、掛け金の回収もあります。とうぜん、そろばんを弾きました。  17歳、奉行所から御用金400両の通達。このときの役人の態度に反骨心が沸き上がりました。  20歳、江戸末期の世相を見て、商人から武士になることを決意。  やがて渋沢栄一は、志士となり、縁あって一橋家に奉公し、四石二人扶持の武士となりました。  28歳、フランス・アメリカの視察に随行中、大政奉還が起こり、急遽、帰朝し、徳川家の財政を整理しました。  明治政府の建設とともに、太政官となり、大蔵省租税正に任ぜられ、明治4年、大蔵省に西洋式簿記を導入し、伝票によって金銭を出納しました。(伝票算は、全珠連の珠算検定では、3級以上の選択種目)  明治6年、自分の意見が採用されず、意見書を提出して、政府の職を辞しました。  これよりのち、あくまで民間の実業家として、活躍したのです。  かんたんに経歴をふりかえっても、論語と算盤が、渋沢栄一の根幹であることがわかりますね。  もし渋沢栄一に、論語だけで、算盤がなかったとしたら、商人になることも、徳川家の財政を整理することも、大蔵省租税正になることも、西洋式簿記を導入することも、銀行家になることも、なかったのではないでしょうか。  『論語』は渋沢栄一という人格をつくったといえます。おなじように、算盤は渋沢栄一の未来を開いたといえます。  渋沢栄一が生きている当時の評者は、「算盤を投じて剣をもった国士が、今度は剣を捨てて算盤を事とし、実業家たらんと志した」といいました。渋沢栄一ほど、褒められるばかりの大実業家はほかにはいないでしょう。  みなさんのそろばんは、みなさんの未来をどのように開くのでしょうか? 学院長 筒井保明 掛け売りとは? 注文を受けて商品を納品、後から代金が支払われる仕組み。江戸時代から現在まで利用されている文化です。

川越西口校【定期テスト対策授業】のお知らせ

 2学期期末テストの対策授業を実施します。  講座は全て無料で参加できます。該当中学以外の生徒や山手学院に通っていない方も、ぜひご参加ください。  学校の教科書・ワーク【学校・山手学院から配付されたもの】・プリント・学校のノート・筆記用具を持ってきてください。  教室は変更になる可能性があります。当日の掲示で確認してください。 ★定期テスト対策授業に参加するうえでの注意  定期テスト対策授業は、試験直前の最終確認のために実施します。参加する前に、   ①教科書・ノート・プリント等を熟読し、ポイントを暗記する。   ②学校・塾ワークを完成させる。 の2点を必ず終えておいてください。 時間割 日 曜日 時間 学年 教科 講座名 教科書ページ 主な対象中学 教室 11月14日 土 自習室:201教室(10:00~12:30) 10:00~11:20 中2 社会 九州地方/中国四国地方/近畿地方 P179-213 大東西・福原 301 中1 社会 北アメリカ/南アメリカ/オセアニア P82-112 野田・福原 302 11:25~12:10 中2 社会 中部地方/関東地方 P215-237 福原 301 中1 社会 アフリカ P72-80 富士見・野田・福原 302 自習室:①306教室②205教室③303教室(13:00~17:00)17:00以降は201教室 12:45~13:30 中2 社会 世界から見た日本の姿① P142-159 城南・富士見・霞が関東 […]