Day: December 4, 2020

学院長からのメッセージ 2021 January

読書が君の学力をつくる! Reading is the Key to learning.  小学生や中学生のみなさんから、「どうすれば学習を得意にすることができますか?」という質問をよく受ける。もっと端的に「どうすれば頭がよくなりますか?」と聞いてくる生徒もいる。  学習を得意にする方法も頭がよくなる方法もたくさん知っているけれど、もし一言でいうなら、「読書家になること」が答えになる。なぜなら、過去から現在に至るまで、「読書が学習のカギ」になっているからだ。詩人や文学者はいうまでもないが、科学者のニュートンも、発明家のエジソンも、政治家のフランクリンも、実業家の渋沢栄一も、君の隣の優等生も、じつは、みんな読書家なのだ。読書が学習を得意にさせ、頭脳の力を発展させる。学習は情報処理能力であり、頭脳の力は部分と全体の統合力である。たくさん読書することによって、君の頭脳の力は飛躍的に伸びていく。  そもそも学校教育は、教科書を使うことでわかるように、学習の前提として読書できることが求められている。教科書をくりかえして読むことができる力があれば、学校の学習はむずかしくない。  かつてはどんな学習も積み上げていくものであるように思われていた。先に進むためには、目の前の学習が完全になってからでなくては、ムリなように感じられていた。だから、君がスムーズに問題を解くことができないと、何度も何度もおなじ問題をやらされる。君はだんだんいやになってきて、あるとき、あきらめてしまうかもしれない。  ほんとうは、もっと気楽に、たくさんチャレンジしていけばいい。先に進んでいるうちに、自分のつまずいた問題がわかるようになってくる。全体が見えてくると、部分がわかるようになってくるからだ。  読書は、部分と全体を統合する力をつくる。そのためには、気に入った本をくりかえして読むことだ。一度目よりも二度目、二度目より三度目に読むとき、本の全体像も理解できる内容も高度に変わってくる。なぜなら、部分と全体は相互に働きかけているから、何度も読みとおすことによって、部分と全体がどんどん統合されてくるからである。  ここで、「でも算数や数学はちがうんじゃないですか?」という質問が飛んできそうなので、さきに答えておくと、算数や数学も言語であることを知っておこう。たとえば、🍎の数を1(いち)、🍎🍎の数を2(に)、🍎🍎🍎の数を3(さん)と人は名付けた。数字自体が言語なのだ。  もっと身近な例をいえば、算数が苦手な小学生の多くは、音読や読書が上手になってくると、算数も比例してできるようになってくる。急がば回れで、まず言語活動を活性化すると、頭脳がよく働くようになる。小学生だけでなく、中学生も、高校生も、大人も同じであるから、ぜひ日ごろの読書を心がけてほしい。  ところで、1カ月にどれくらい本を読んだらいいのだろうか。全国学校図書館協議会が何十年も調査している 5月1カ月の平均読書冊数を見てみると、2019年は、小学4~6年生11.3冊、中学生4.7冊、高校生1.4冊。個人的な意見をいえば、この倍くらい、読んでほしい。  読書家になると、正しい学習方法によって、かならず学習を得意にすることができる。  入試が迫っている受験生以外は、さっそく読書に取り組もう! 山手学院 学院長 筒井 保明

プログラミング通信 | 2021年1月号

コンピューターは、計算機?命令するもの?  スクラッチのブロック・パレットにあるそれぞれのブロックをスクリプト・ブロックと呼びます。  スクリプトという言葉は、「言語で記述されたもの」という意味です。  ですから、各スクリプト・ブロックには、「10歩動かす」とか「はしにあたったら、はねかえる」とか「1秒まつ」とか「もし◇なら」のように言語が記述されています。  みなさんは、プログラミングやコーディングをとおして、AI(エーアイ・人工知能)の世界にも触れていますので、そもそも計算自体が人間の言語であるという話をしましょう。  さて、ここにがあります。リンゴの数はいくつですか?  「ひとつ」と答えた人もいれば、「いっこ」と答えた人もいれば、「いち」と答えた人もいるでしょう。君がアメリカ人なら、「One(ワン)」、フランス人なら、「Une(ユヌ)」ですね。  おなじ「1」でもいろいろないいかたがあります。  では、が70個あるとき、リンゴの数はいくつですか?  「ななじゅう」と答えた人もいれば、「しちじゅう」と答えた人もいれば、「ななじゅっこ」と答えた人もいれば、「Seventy(セブンティ)」と答えたアメリカの少年もいるでしょう。ところが、フランスの少年は「Soixante-dix(スワサント・ディス)」と不思議な数え方をします。日本語にすると、「60と10」です。フランス人の場合、70は「60と10」、71は「60と11」、72は「60と12」・・・80は「4×20」・・・90は「4×20+10」と答えます。 でも、これはわたしたちが外国人であるので、このようにややこしく感じますが、フランス人にとって、70は「スワサント・ディス」という呼び方であり、80は「カートル・ヴァン」という呼び方であり、90は「カートル・ヴァン・ディス」という呼び方なのです。先祖代々、そう呼んできたということです。たとえば、の数を3とあらわしたとき、それぞれの国の人がそれぞれの言葉で呼ぶということです。つまり、数字は、言語であるということです。  じっさい、5+1=6をみなさんは、ご・たす・いち・は・ろく、と読みますね。  プログラミングの世界には、たくさんの数字が出てきます。ですから、プログラミングには数字という言語に強いことがもとめられます。みなさんは、ぜひ算数をしっかりと学習してください。  ところで、パソコンは、パーソナル・コンピューターの略称です。コンピューターは、英語でcomputerです。語源は、computeで「数える、数え合わせる」という意味ですから、コンピューターは計算機です。ところが、わたしたちが使うコンピューターは、内部でものすごい計算をしているにはちがいないのですが、いろいろなソフトウエアが動きますから、たんなる計算機には思えません。  フランス人は、コンピューター(計算機)と呼ぶには抵抗があったためでしょうか、わたしたちが使うコンピューターのことをオルディナトゥール(ordinateur)と呼びます。日本語にすると、「秩序をつくるもの、命令するもの、指図するもの」です。プログラミングは、その裏側でものすごい量の計算がおこなわれていて、その結果として、「動け」という命令でプロジェクトを動かします。  コンピューターに対するフランス人の名づけ方もおもしろいですね。 学院長 筒井 保明 プログラミング能力検定の実施について  12月7日(月)~13日(日)の期間、お通いの教室でプログラミング能力検定を実施いたします。  ※各教室で検定日時が異なりますので、詳細につきましては教室にお問い合わせください。  本検定は2024年の大学入学共通テスト(旧:センター入試)で「情報」が試験に追加されることを見越して、対応ができるように実施されます。ビジュアルプログラミング、テキストプログラミング、ともに単なるプログラミング技術だけでなくプログラミングの概念から体系的に問います。  学習をしたり、スポーツをしたり、努力を重ねるためにはモチベーションが大切であるとよく言われています。学習であれば入試が大きな目標になるでしょうし、スポーツなら大会で優勝するためにツライ練習もがんばれます。プログラミング学習も同じです。毎日学習して、それまでできなかったプログラミングを習得するのは十分に楽しいことでしょう。しかしながら、つづけていくうちにマンネリになってしまうのは否めません。徐々に集中力も下がっていってしまいます。検定を受検することで、資格試験への合格を目標にできれば「こんなんじゃだめだ、がんばろう」と思える動機付けになるはずです。もちろん、学習をスピードアップしながら合格のニュースを聞いたときには大きな自信と、次へと向かう新たなモチベーションが生まれてくるでしょう。  今回検定のレベルは3段階あり、レベル1はQUREOのチャプター1~10までが範囲となります。同様にレベル2がチャプター11~23、レベル3がチャプター24~43の内容を中心に出題されます。試験内容は動画をみて、正しいブロックが組まれているものを選択する4択問題で、合格基準は60%ということです。(レベル3は自分でブロックを組む問題が出題されます) 今回受検されない生徒さんも次回来年3月に実施予定です。次回まで費用は無料の予定ですので、参加をお待ちしております。 他のプログラミング検定との違い 大学入試(2024年度大学入学共通テスト)への対応 知識の定着度を測る(創造力・アイデア力よりも重視する) 合格証だけでなく概念ごとに分析された詳細な成績表も返却 Scratchを使わないオンラインの検定 受検会場数全国No.1(約1200会場 (株)プログラミング総合研究所調べ) ※新しい検定ではありますが、QUREO実施教場が多いため

そろばん通信|2021年1月号

さくらんぼ計算は考えかたのひとつ  「さくらんぼ計算」は、考えかたのひとつであり、計算方法のひとつです。ところが、計算の答えがあっているにもかかわらず、やり方がさくらんぼ計算になっていないと、△や×をつけたり、ひどい場合は、叱ったりする小学校の先生がいるようです。  文科省としては、「こういう考え方もあるよ」というレベルの話なのですが、勘違いした先生が無理強いすると、子どもたちが混乱してしまいます。  小学校学習指導要領【算数編】から、小学生や保護者の方を悩ませるさくらんぼ計算に該当する部分を引用してみましょう。  「様々な計算の仕方が考えられる」と明記されています。  数字をドッツ(Dots)としてとらえられるなら、かんたんなことですし、わたしたちが頭のなかで無意識にやっていることでもありますから、さくらんぼ計算をめんどうに感じていやがる小学生の気持ちもわかりますね。  こういった問題は、そろばんにも、暗算にも、存在します。  江戸時代、そろばんには、多くの流派がありました。割り算にも九九があり、吉田松陰先生も松下村塾で教えていました。明治、大正、昭和の初めごろまで続いていたようですが、みなさんは、おぼえません。  現在では流派の色はあまり濃くないのですが、たとえば、かけ算のとき、かけられる数とかける数をそろばんに置くか置かないか、先生によって分かれたりします。両方置く先生、片方置く先生、どちらも置かない先生、また、生徒の学年や習熟度によって使い分ける先生がいます。  正しい答えを得ることにちがいはないのですから、どれを選ぶか、君たちが決めてもよいのです。  ところで、西洋式暗算Mental MathにもLeft to Right(左から右に計算する)派とRight to Left(右から左に計算する)派がいますが、わたしはLeft to Right(右から左に計算する)派です。つまり、大きい数のほうから計算します。  山手学院のそろばん指導者である西岡先生のような達人なら、ただちにそろばん式暗算で正確な答えを得るでしょうが、西洋式暗算の場合、たとえば、15,280円の品物と23,120円の品物を買うとき、15,000円と23,000円を先に足して38,000円を得てから、400円を得て38,400円になります。これが、西洋式暗算Left to Right(左から右に計算する)派の足し算です。「すばやく概算を得れば、生活上も便利ではないか」というのがLeft to Right(左から右に計算する)派です。  小学生低学年のみなさんは、もしかしたら、さくらんぼ計算に悩まされるかもしれませんが、計算の考えかた、計算のしかたは、いろいろあることを知ってください。  そろばんは、計算の考えかた、計算のしかたとして、歴史と伝統のあるものです。  リラックスして、たのしくそろばんに取り組みましょう。 学院長 筒井保明