読書が君の学力をつくる!

Reading is the Key to learning.

 小学生や中学生のみなさんから、「どうすれば学習を得意にすることができますか?」という質問をよく受ける。もっと端的に「どうすれば頭がよくなりますか?」と聞いてくる生徒もいる。
 学習を得意にする方法も頭がよくなる方法もたくさん知っているけれど、もし一言でいうなら、「読書家になること」が答えになる。なぜなら、過去から現在に至るまで、「読書が学習のカギ」になっているからだ。詩人や文学者はいうまでもないが、科学者のニュートンも、発明家のエジソンも、政治家のフランクリンも、実業家の渋沢栄一も、君の隣の優等生も、じつは、みんな読書家なのだ。読書が学習を得意にさせ、頭脳の力を発展させる。学習は情報処理能力であり、頭脳の力は部分と全体の統合力である。たくさん読書することによって、君の頭脳の力は飛躍的に伸びていく。
 そもそも学校教育は、教科書を使うことでわかるように、学習の前提として読書できることが求められている。教科書をくりかえして読むことができる力があれば、学校の学習はむずかしくない。
 かつてはどんな学習も積み上げていくものであるように思われていた。先に進むためには、目の前の学習が完全になってからでなくては、ムリなように感じられていた。だから、君がスムーズに問題を解くことができないと、何度も何度もおなじ問題をやらされる。君はだんだんいやになってきて、あるとき、あきらめてしまうかもしれない。
 ほんとうは、もっと気楽に、たくさんチャレンジしていけばいい。先に進んでいるうちに、自分のつまずいた問題がわかるようになってくる。全体が見えてくると、部分がわかるようになってくるからだ。
 読書は、部分と全体を統合する力をつくる。そのためには、気に入った本をくりかえして読むことだ。一度目よりも二度目、二度目より三度目に読むとき、本の全体像も理解できる内容も高度に変わってくる。なぜなら、部分と全体は相互に働きかけているから、何度も読みとおすことによって、部分と全体がどんどん統合されてくるからである。
 ここで、「でも算数や数学はちがうんじゃないですか?」という質問が飛んできそうなので、さきに答えておくと、算数や数学も言語であることを知っておこう。たとえば、🍎の数を1(いち)、🍎🍎の数を2(に)、🍎🍎🍎の数を3(さん)と人は名付けた。数字自体が言語なのだ。
 もっと身近な例をいえば、算数が苦手な小学生の多くは、音読や読書が上手になってくると、算数も比例してできるようになってくる。急がば回れで、まず言語活動を活性化すると、頭脳がよく働くようになる。小学生だけでなく、中学生も、高校生も、大人も同じであるから、ぜひ日ごろの読書を心がけてほしい。
 ところで、1カ月にどれくらい本を読んだらいいのだろうか。全国学校図書館協議会が何十年も調査している
5月1カ月の平均読書冊数を見てみると、2019年は、小学4~6年生11.3冊、中学生4.7冊、高校生1.4冊。個人的な意見をいえば、この倍くらい、読んでほしい。
 読書家になると、正しい学習方法によって、かならず学習を得意にすることができる。
 入試が迫っている受験生以外は、さっそく読書に取り組もう!


山手学院 学院長 筒井 保明