人生が変わる学び方

Learning to Change Your Life.

 人が生まれたときの最初の学習は、なんだろうか?
 それは、「呼吸」だろう。
 人類の祖先が海から地上に上がったときの最初の学習も、やっぱり「呼吸」だったであろう。
 ヨガや道教で「呼吸」を最重要視するのも、人の生命の基本だからにちがいない。呼吸しなければ、誰も生きていられない。
 陰陽の思想だって、「呼吸」から離れられない。
 わたしの体験から、わたしの考えをいえば、すべての学習が呼吸なのだ。いいかえれば、呼吸できなければ、すべての学習が成り立たない。
 先般、心肺機能のトラブルで、わたしは自立して呼吸する(酸素を吸収する)ことが一時的にできなくなり、最新の人工呼吸器に助けてもらうことになった。現代医療の発展はめざましく、わたしの微弱な呼吸パターンに呼応して、人工呼吸器が最適な呼吸サポートをしてくれた。
 時間が流れ、酸素が取り込まれ、意識がはっきりしてくると、その呼吸サポート自体がわたしに呼吸を無理強いしてくるように感じられて、だんだん息苦しくなってくる。学習を強いられた子どもとおなじで、「自分でやらせてくれよ!」とサポートを拒絶したくなったのだ。
 医師に呼吸サポートが耐えられない旨を伝え、人工呼吸器を外してもらったものの、まだ自立して呼吸することがうまくできない。だから、さらに呼吸困難になった。
「自分で呼吸することを学ばないと、だめだ。自分で呼吸できないと、生きられないぞ。赤ちゃんのように最初から」と自分に言い聞かせながら、ハァハァと(自分では激しく呼吸しているつもりで)呼吸しているのだけれど、どうしても酸素が足りなくなってくる。ギブアップして、また人工呼吸器をつけてもらうのだけど、しばらくすると、「自分で呼吸されてくれ」と頼んでしまう。
 意識を失っていれば、こんなことを繰り返さなくてもいいのかもしれないが、意識があるので、「どうすればうまく呼吸できるのだろう? 息を吸って、息を吐いて・・・」とくりかえして考えてしまう。考えれば考えるほど、酸素が費やされるのでさらに苦しくなる。「考えることは、こんなにも酸素を使うのか」ということを痛いほど実感した。
 なにかを身につけるとき、なにかを学ぶとき、人はものすごく酸素を必要とするのだ!
 そうだとすると、「呼吸の仕方」から子どもたちに教えることが必要だろう。
 ちょうど、高校生に向けて書いてきた学習法を小学生や中学生にもわかるようにまとめて小冊子にしたところだった。タイトルは、「人生が変わる学び方vol.1」。なんらかの形で、みなさんの手にも渡るはずである。
 わたしの確信の一つは、「人は生まれながらにして誰でも学習能力を持っている」ということだ。
 「できる・できない」は、自分のつくり方のちがいでしかない。
 どうすれば、「できる自分」がつくれるか。
 そのあたりのことは、「人生が変わる学び方vol.1」に書いたので、なんども読んで、各章の●ポイントを実行して、論より証拠で、ぜひ自分で体感してもらいたい。
 本来、君は「できる自分」なのだから。

※冊子は、イベントや保護者会などをとおして、お手元に渡るようにします。お急ぎであれば、校舎にお申し出ください。Vol.2は夏期講習前に完成予定です。

山手学院 学院長 筒井 保明