夏の大逆転!!

Changeover in Summer

 目的志向という言葉がある。英語ではgoal-orientedという。文字どおり、目的(ゴール)に志が向いている状態だ。意識しているかどうかに関わらず、だれでも、目的志向で行動している。実際、生活のあらゆる場面で、目的志向が働いているはずだ。(食事⇒料理、清潔⇒手洗い、宿題⇒学習、など)
 エーリッヒ・フロムという思想家が、君は「持つ様式」(to have)で生きるか、「ある様式」(to be)で生きるか、と問いかけた。
 ここに一冊の本がある。A君は本棚に収めて、本を持ったことに満足した。いっぽう、B君は本を読んで感動し、目的を意識して行動を起こした。
 ここにサッカーボールがある。A君は、新しいボールを持って、ボールを磨いた。いっぽう、B君は、新しいボールでさっそく練習を始めた。
 ここに受験の問題集がある。A君は、受験の問題集を持っていることに安心した。いっぽう、B君は、その問題集が志望校合格に役立つと考えて、ただちに取り組んだ。
 フロムは、「持つ様式」で生きるとき、人は物に支配され、「ある様式」で生きるとき、人は物から自由になる、という。「持つこと」は、所有であり、受動的。「あること」は行動であり、能動的。
 さて、夏は行動の季節である。朝、太陽が力強く昇り、元気よく目覚めることができる。受験生はいうまでもなく、どの学年であっても、この夏、自分自身の「大逆転」を目指してほしい。「大逆転」とは、現状打破であり、新しい自分になることだ。
 そのために、「目的志向」を利用してみよう。毎日の手順は、つぎのようになる。

①まず自分の目的・目標を意識する。目的・目標は一つではないから、さしあたって、いまの自分が最も達成したいことを考える。受験生なら、「志望校に合格したい」でいいだろう。スポーツマンなら、「最高の選手になりたい」でいいだろう。分野に関わらず、「〇〇になりたい」でいいだろう。「ある様式」(to be)で生きることが目的志向だ。

②目的・目標を寝る前に意識に上げて、「君はできる」「あなたはもっとできる」と自分に言い聞かせる。(わたしはできる、わたしはもっとできる、でもいい)言い聞かせたら、リラックスして、熟睡する。

③朝起きたとき、目的・目標を意識して、ただちに「やること」を決める。(あるいは何時に「やること」を決める)そして、ただちに(何時に)必ず実行する。(気分がのらなくても、取り掛かること!)これを、毎日、繰り返していると、その行動が習慣化され、効率よくできるようになる。

④夜、寝る前に、強く一回、「できる」「もっとできる」と言い聞かせて、熟睡する。寝るまでの時間帯に、目的・目標につながることを行っていると、その行動と「できる」という意識が睡眠中に定着し、目的志向を強化することになる。

⑤朝起きたとき、目的・目標を意識して、ただちに(何時に)「やること」を決め、必ず実行する。

 以上の行為をくりかえしていると、無意識のうちでも「目的志向」が働くようになってくる。受験生なら、いつのまにか受験学習に取り組んでいる。スポーツマンなら、自然に練習に励んでいる。どの分野でも、目的・目標に必要なことを自発的にやるようになる。
 夏は、行動の季節だ。自分の目的・目標にむかって、力強く前進しよう。

山手学院 学院長 筒井 保明

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