君の本来の能力
Your Ability by Nature

いま、ここに君が存在している以上、君のなかに本来の能力がある。
第一に、君は学習能力を持っている。そもそも人が生きるためには学習が必要であり、学習能力は人の行動になって表れる。
毎日の生活を考えてみれば、君は、自分の行動とともに、つねに何かしら学んでいるはずだ。
ただし、その行動が方向性を持っていないと、せっかくの学習が雲散霧消してしまうかもしれない。
毎日の君の行動に方向性を持たせるためには、君自身の目的や目標をしっかりと持つことだ。自分の目的や目標があれば、君の行動や学習は、目的や目標にむかって集合していく。
たとえば、バスケットボールの選手を目指しているなら、野球やサッカーの練習ではなく、バスケットボールの練習をするだろう。そして、毎日の生活のなかで、さまざまなことがバスケットボールにつながっていくだろう。なぜなら、「バスケットボールの選手になる」という目的が、バスケットボールに関連する情報を収集し、自分の行動を導くからだ。
また、志望校合格を目指しているなら、志望校合格に必要な条件を確認して、通知表評定や偏差値や得点などの目標を定めるだろう。当然、学習内容や学習への取り組み方も目標達成につながるものになる。なぜなら、志望校合格という目的が、自分の行動を決定するからだ。
ところで、人を機械のように固定して考える傾向の人たちがいて、人の能力やIQは生まれつき(遺伝)であると主張する。たしかに、ある程度の生まれつきはあるけれど、基本的に、人の能力は環境と取り組み次第で大きく変わるものなのだ。
IQはIntelligence Quotientの略で、知能指数のこと。知能には、流動性知能と結晶性知能がある。かつてIQは生まれつきであって変化しないという主張が一般的であったけれど、現在では、20歳以前はいうまでもなく、大人になっても、トレーニングによってIQを高めることは可能であるとされる。
わたしも認知学者から「IQは生まれつきで変化しない」と学生時代に教わったが、その日その日、その時その時によって知能が変動している実感があったから、「先生の説明は疑わしいな」と思っていた。人の知能や能力は固定できないものだ。
かりに、完全に同等の能力で生まれた二人がいたとする。一方は、まったく教育環境のないスラム街で育ち、もう一方は、優れた教育環境のある住宅街で育った。一方は、ケンカに明け暮れ、もう一方は、読書に夢中になった。はたして、この二人の知能指数はおなじであろうか?
人は、生まれつきの機械ではない。機械は使えば使うほど、消耗し、機能も少しずつ低下していく。しかし、人は、脳も身体も機能も、適切に使えば使うほど、発達していく。自分を取り巻く環境から働きかけられ、環境に反応し、環境から学びながら成長していく。
君には、本来の能力が備わっている。
まず目的・目標を決める。つぎに、目的・目標に必要な環境をつくる。そして、学び方を身につけ、的確な取り組みを実行する。そうすれば、自然に、少しずつできるようになり、日に日に発展していく。
さあ、前進だ!
山手学院 学院長 筒井 保明
山手学院 50 周年。これまで、ホットラインや小冊子やイベントなどを通じて、学習方法や学習習慣のつくり方などをアドバイスし、みなさまとともに実践してきました。また、中学受験、高校受験、大学受験に関する情報や精細なデータに基づく入試分析などを発信し、受験校選択や受験学習に活用してきました。
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