Archive List for 学院長

学院長からのメッセージ 2024 November

自分の価値 Your Self-Worth  君は、自尊心を持っているだろうか。  文字どおり、「自分を尊重する気持ち」である。自尊心は、プライドでも、うぬぼれでも、独りよがりでもない。ただ、「自分を大事にすることができるかどうか」だ。  いうまでもなく、君は、自分を大事にしなければならない。自分を大事にする人が、自分の目標を達成する人である。  ところが、何人もの生徒たちと話していると、「あれ。自分を大事にしていないな」と感じることがある。  何時間も集中して学習していた事実に感心して、 「よくがんばった。家に帰ったら、お風呂に入って、リラックスしてから、ぐっすり眠るんだぞ」  と声をかけると、 「ぼくは家に帰ったら、ゲームをします」「ぼくはスマホをチェック」「わたしもスマホ」「わたしはユーチューブを見ます」  それぞれ笑顔で答えてくれる。  ときどき、「ぼくは宿題」「わたしは復習」という返事があるけれど、「ゲーム」「スマホ」「ユーチューブ」などが圧倒的に多い。  もちろん、怒りはしないが、やさしい口調で、 「今日、いままでの学習は、短期記憶として海馬に蓄えられている。家に帰って、リラックスして眠れば、その短期記憶が長期記憶として定着する。宿題や復習は、繰り返しになるから、問題ないけれど、ゲームやスマホやユーチューブは、新しい情報として、学習の定着の妨げになってしまう。せっかく何時間も学習したのに、もったいないじゃないか」  と諭すことになる。そして、どの生徒も理由はわかってくれるが、問題は、家に帰ったあと、かれらがゲームやスマホやユーチューブなどの誘惑に打ち克てるかどうか、ということだ。  何時間も学習したのは、自分の目標を達成するためだろう。自分の目標を本当に大事に考えているなら、誘惑に負けてはならない。しかし、人はそんなに強くない。保護者に協力してもらって、家庭でのゲームやスマホやパソコンの使用ルールを決めたり、保護者に預けたりすることが必要かもしれない。  まず、君は、自分の目標に対して、自分は目標に値する価値がある、と確信することだ。そうすれば、数々の誘惑を退けることができるようになる。自分の価値を自分で評価することを英語でセルフ・エスティーム(self-esteem)といい、いちばん近い意味の言葉が「自尊心」だ。自分を尊重することは、自分を高く評価することにほかならない。  自分を尊重できれば、君の自己イメージが高くなる。そして、自己イメージが高くなれば、君は自分の能力を発揮できる。学業でも、スポーツでも、芸術でも、自己イメージの高い人が成功している。なぜなら、目標の達成を邪魔する余計な誘惑に負けることがなくなるからだ。  君の価値は、ほかでもない、君自身が決めるのだ。英語で、I’m Worth It! わたしにはそれだけの価値がある。  自分と自分の目標を大事にしよう! 山手学院 学院長 筒井 保明 山手こども教育研究所のメールマガジンのご案内  山手学院 50 周年。これまで、ホットラインや小冊子やイベントなどを通じて、学習方法や学習習慣のつくり方などをアドバイスし、みなさまとともに実践してきました。また、中学受験、高校受験、大学受験に関する情報や精細なデータに基づく入試分析などを発信し、受験校選択や受験学習に活用してきました。  学習や生活や受験に関する知識や情報を広く知らせることは、生徒や保護者のみなさまの気づきや発見を促し、今後の学習や生活や受験に必ず役立ちます。  ぜひ、山手学院こども教育研究所のメールマガジンをお申し込みください。(週 1 回の定期配信と教育情報の号外配信になります) ●メールマガジンご登録フォームはこちら

学院長からのメッセージ 2024 October

君の本来の能力 Your Ability by Nature  いま、ここに君が存在している以上、君のなかに本来の能力がある。  第一に、君は学習能力を持っている。そもそも人が生きるためには学習が必要であり、学習能力は人の行動になって表れる。  毎日の生活を考えてみれば、君は、自分の行動とともに、つねに何かしら学んでいるはずだ。  ただし、その行動が方向性を持っていないと、せっかくの学習が雲散霧消してしまうかもしれない。  毎日の君の行動に方向性を持たせるためには、君自身の目的や目標をしっかりと持つことだ。自分の目的や目標があれば、君の行動や学習は、目的や目標にむかって集合していく。  たとえば、バスケットボールの選手を目指しているなら、野球やサッカーの練習ではなく、バスケットボールの練習をするだろう。そして、毎日の生活のなかで、さまざまなことがバスケットボールにつながっていくだろう。なぜなら、「バスケットボールの選手になる」という目的が、バスケットボールに関連する情報を収集し、自分の行動を導くからだ。  また、志望校合格を目指しているなら、志望校合格に必要な条件を確認して、通知表評定や偏差値や得点などの目標を定めるだろう。当然、学習内容や学習への取り組み方も目標達成につながるものになる。なぜなら、志望校合格という目的が、自分の行動を決定するからだ。  ところで、人を機械のように固定して考える傾向の人たちがいて、人の能力やIQは生まれつき(遺伝)であると主張する。たしかに、ある程度の生まれつきはあるけれど、基本的に、人の能力は環境と取り組み次第で大きく変わるものなのだ。  IQはIntelligence Quotientの略で、知能指数のこと。知能には、流動性知能と結晶性知能がある。かつてIQは生まれつきであって変化しないという主張が一般的であったけれど、現在では、20歳以前はいうまでもなく、大人になっても、トレーニングによってIQを高めることは可能であるとされる。  わたしも認知学者から「IQは生まれつきで変化しない」と学生時代に教わったが、その日その日、その時その時によって知能が変動している実感があったから、「先生の説明は疑わしいな」と思っていた。人の知能や能力は固定できないものだ。  かりに、完全に同等の能力で生まれた二人がいたとする。一方は、まったく教育環境のないスラム街で育ち、もう一方は、優れた教育環境のある住宅街で育った。一方は、ケンカに明け暮れ、もう一方は、読書に夢中になった。はたして、この二人の知能指数はおなじであろうか?  人は、生まれつきの機械ではない。機械は使えば使うほど、消耗し、機能も少しずつ低下していく。しかし、人は、脳も身体も機能も、適切に使えば使うほど、発達していく。自分を取り巻く環境から働きかけられ、環境に反応し、環境から学びながら成長していく。  君には、本来の能力が備わっている。  まず目的・目標を決める。つぎに、目的・目標に必要な環境をつくる。そして、学び方を身につけ、的確な取り組みを実行する。そうすれば、自然に、少しずつできるようになり、日に日に発展していく。  さあ、前進だ! 山手学院 学院長 筒井 保明 山手こども教育研究所のメールマガジンのご案内  山手学院 50 周年。これまで、ホットラインや小冊子やイベントなどを通じて、学習方法や学習習慣のつくり方などをアドバイスし、みなさまとともに実践してきました。また、中学受験、高校受験、大学受験に関する情報や精細なデータに基づく入試分析などを発信し、受験校選択や受験学習に活用してきました。  学習や生活や受験に関する知識や情報を広く知らせることは、生徒や保護者のみなさまの気づきや発見を促し、今後の学習や生活や受験に必ず役立ちます。  ぜひ、山手学院こども教育研究所のメールマガジンをお申し込みください。(週 1 回の定期配信と教育情報の号外配信になります) ●メールマガジンご登録フォームはこちら

学院長からのメッセージ 2024 August

夏の大逆転!! Changeover in Summer  目的志向という言葉がある。英語ではgoal-orientedという。文字どおり、目的(ゴール)に志が向いている状態だ。意識しているかどうかに関わらず、だれでも、目的志向で行動している。実際、生活のあらゆる場面で、目的志向が働いているはずだ。(食事⇒料理、清潔⇒手洗い、宿題⇒学習、など)  エーリッヒ・フロムという思想家が、君は「持つ様式」(to have)で生きるか、「ある様式」(to be)で生きるか、と問いかけた。  ここに一冊の本がある。A君は本棚に収めて、本を持ったことに満足した。いっぽう、B君は本を読んで感動し、目的を意識して行動を起こした。  ここにサッカーボールがある。A君は、新しいボールを持って、ボールを磨いた。いっぽう、B君は、新しいボールでさっそく練習を始めた。  ここに受験の問題集がある。A君は、受験の問題集を持っていることに安心した。いっぽう、B君は、その問題集が志望校合格に役立つと考えて、ただちに取り組んだ。  フロムは、「持つ様式」で生きるとき、人は物に支配され、「ある様式」で生きるとき、人は物から自由になる、という。「持つこと」は、所有であり、受動的。「あること」は行動であり、能動的。  さて、夏は行動の季節である。朝、太陽が力強く昇り、元気よく目覚めることができる。受験生はいうまでもなく、どの学年であっても、この夏、自分自身の「大逆転」を目指してほしい。「大逆転」とは、現状打破であり、新しい自分になることだ。  そのために、「目的志向」を利用してみよう。毎日の手順は、つぎのようになる。 ①まず自分の目的・目標を意識する。目的・目標は一つではないから、さしあたって、いまの自分が最も達成したいことを考える。受験生なら、「志望校に合格したい」でいいだろう。スポーツマンなら、「最高の選手になりたい」でいいだろう。分野に関わらず、「〇〇になりたい」でいいだろう。「ある様式」(to be)で生きることが目的志向だ。 ②目的・目標を寝る前に意識に上げて、「君はできる」「あなたはもっとできる」と自分に言い聞かせる。(わたしはできる、わたしはもっとできる、でもいい)言い聞かせたら、リラックスして、熟睡する。 ③朝起きたとき、目的・目標を意識して、ただちに「やること」を決める。(あるいは何時に「やること」を決める)そして、ただちに(何時に)必ず実行する。(気分がのらなくても、取り掛かること!)これを、毎日、繰り返していると、その行動が習慣化され、効率よくできるようになる。 ④夜、寝る前に、強く一回、「できる」「もっとできる」と言い聞かせて、熟睡する。寝るまでの時間帯に、目的・目標につながることを行っていると、その行動と「できる」という意識が睡眠中に定着し、目的志向を強化することになる。 ⑤朝起きたとき、目的・目標を意識して、ただちに(何時に)「やること」を決め、必ず実行する。  以上の行為をくりかえしていると、無意識のうちでも「目的志向」が働くようになってくる。受験生なら、いつのまにか受験学習に取り組んでいる。スポーツマンなら、自然に練習に励んでいる。どの分野でも、目的・目標に必要なことを自発的にやるようになる。  夏は、行動の季節だ。自分の目的・目標にむかって、力強く前進しよう。 山手学院 学院長 筒井 保明 山手こども教育研究所のメールマガジンのご案内  山手学院 50 周年。これまで、ホットラインや小冊子やイベントなどを通じて、学習方法や学習習慣のつくり方などをアドバイスし、みなさまとともに実践してきました。また、中学受験、高校受験、大学受験に関する情報や精細なデータに基づく入試分析などを発信し、受験校選択や受験学習に活用してきました。  学習や生活や受験に関する知識や情報を広く知らせることは、生徒や保護者のみなさまの気づきや発見を促し、今後の学習や生活や受験に必ず役立ちます。  ぜひ、山手学院こども教育研究所のメールマガジンをお申し込みください。(週 1 回の定期配信と教育情報の号外配信になります) ●メールマガジンご登録フォームはこちら