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【QUREOプログラミング教室】出前授業を実施いたしました!

   新座市立東野小学校と川越市立新宿小学校にて、「プログラミング能力検定」対策の出前授業を実施し、山手学院の講師が担当致しました。  5年生・6年生の生徒の皆さんの前でQUREOを使いながら、2つの作品を作りました。小学校ではScratchを取り入れた授業も行われていたそうなので、生徒は説明を聞きながら、作品をスムーズに作り上げていました。  見知らぬ講師の前でも、「懸命に前向きに取り組む姿勢はすばらしい」生徒たちでした。  小学校の先生方の、生徒にプログラミング教育を普及させたいという思いがこのような機会をつくってくれたと思います。  今回、山手学院としても初めて、小学校にて授業を行わせていただくという機会をいただきました。また、他の小学校でも機会があれば参加をさせていただき、プログラミング教育の普及の一環として出前授業を行わせていただきたいと考えております。 山手ジュニア プログラミング教室はこちら

プログラミング通信 | 2022年1月号

実験を恐れるな!  みなさん、たのしくプログラミングに取り組んでいますか? 小学生は、失敗を恐れずに、ともかく、いろいろとやってみること!  試行錯誤(試しにやってみて、いろいろとまちがうこと)は、みなさんにとって、とても重要なことです。もし、試してみることも、まちがうこともしないで学んでいるとしたら、あとになって、すっかり忘れてしまうかもしれません。どんな学習でも、まちがうからこそ、記憶できるし、身につきます。  記憶の仕組みは、まちがいや失敗が起動(スイッチ)になっていて、まちがったり失敗したりすると、みなさんの脳は、おなじまちがいをくりかえさないために、「これは、しっかり覚える必要があるぞ」と働き始めます。まちがいも失敗もないのなら、脳は働かずに休んでしまいます。脳は、からだの中でもっとも酸素と血液を使用する部分ですが、知っていることは覚えようとしないし、新しい刺激を吸収せずに過去の記憶で置き換えて知っているつもりになるなど、予想以上にさぼる傾向があるようです。  ですから、試行錯誤でまちがえたり失敗したりして、「これはたいへんだ。しっかり覚えねば」と脳を目覚めさせる必要があります。まちがいや失敗が重要なことがわかるでしょう。  MITのレズニック博士の四つ目のアドバイスは、まさに、 4. 実験を恐れるな!  Don’t be afraid to experiment  「指導に従うことは役立つ。指導に従うなら、イケアの家具だって組み立てられるし、おいしい料理もつくれる。たぶん、学校でもうまくやれるだろう。でも、いつも指導に従っているだけなら、君は、創造的なことも、新しいこともできやしない。指導外のことに出くわしたとき、君は立ち往生するだろう。創造的に考える人になるなら、実験しなきゃだめだ。新しいことにトライして、型にはまった知恵は無視するんだ。なるほど、料理のレシピを勝手に修正したら、失敗した食事になるかもしれない。でも、創造的な新しい料理ができあがるチャンスもあるんだ」  スクラッチやプログラミングは、指導に従っているだけでは学習になりません。なぜなら、スクラッチやプログラミングは、「創造力を培うこと」が目標だからです。  スクラッチ開発チームの責任者であるレズニック博士の『人生の幼稚園』Lifelong Kindergarten(The MIT Press)は、本質的に教育の本です。いいアドバイスが続くのですが、なかなか新しいテーマに移れませんので、今回は、残りのアドバイスも挙げておきます。 5. いっしょにやれる友だちをみつけて、アイデアを分け合おう!  Find a friend to work with and share ideas 6. 君にアイデアをくれるなら、コピーもOKだ!  It’s OK to copy stuff (to give you an idea) 7. 君のアイデアをスケッチブックに記録しておこう!  Keep your ideas in a sketchbook 8. つくって、こわして、またつくる!  Build, take apart, […]

プログラミング通信 | 2021年12月号

ともかく、いろいろ試してみよう!  MITのレズニック博士の「プログラミングを学ぶ人たちへの10のヒント」の三つめは、 ③どうしたらいいのか、手がかりがないなら、ともかく、いろいろ試してみよう! (If you have no clue what to do, fiddle around.)  この三つ目のアドバイスは、プログラミングにかぎらず、発明や発見、研究や学問にとっても、とても重要です。どうしていいのか、わからないとき、いきなり誰かに尋ねるのではなく、自分でいろいろ試してみろ、ということです。  Fiddle around(about)という英語は、人に対して使う場合、いじめっ子が誰かをいじめている感じの言葉です。日本語では「もてあそぶ」に近いでしょう。  しかし、プログラミングの相手はコンピューターですから、「いじくりまわす」「いろいろ試してみる」となります。 ※「新しいプロジェクトをスタートするとき、不安を感じるだろう。一枚の白い紙を見つめているような感じだ。なにが書きたいのかもわからない。でも、心配するな。ゴールがなくても、プランがなくても、OKだ。いろいろやっているうちに、とてもいいアイデアが浮かんでくる。新しい方法で君のツールや材料を試してみる。ふつうの材料をふつうじゃない使い方をしてみる。ふつうじゃない材料をふつうに使ってみる。材料を使って、ばかげたような、気まぐれなようなことをやってみる。なにかが君の注意をとらえたとき、それをしっかりと見つめて、探求してみるんだ。好奇心を君のガイドにしよう。好奇心にしたがっていけば、君は、最後に、新しいゴールやプランにぶつかる。そして、新しい情熱を発見するだろう」  このレズニック博士のアドバイスは、優秀な研究者やエンジニアやプログラマーの多くが、必然的に経験することです。  研究者やエンジニアやプログラマーが、なぜ研究やプログラミングを続けられるのかというと、試行錯誤(trial and error)がおもしろいからです。いろいろ試してみるかぎり、失敗は必ずありますから、失敗でくじけているようなら、すぐれた研究者やエンジニアやプログラマーにはなれません。  発明王のトーマス・エジソンは、白熱電球を発明したとき、何千回と実験をくりかえしました。  白熱電球のなかには、高温になると光るフィラメントが入っています。(ご家庭にありましたら、ぜひ見てください)当初のフィラメントは炭化した紙であり、短時間で燃えてしまいました。  そこで、実用化のためにエジソンは、実験をくりかえします。  さまざまな素材を試す過程で、中国の竹に出会い、さらに世界中の竹を集めて、日本の京都の竹に出会いました。石清水八幡宮の竹でつくったフィラメントは、1,200時間、光り続け、白熱電球の実用化が実現します。その後、エジソンは、他のさまざまな素材でフィラメントをつくり、さらに実験を続けます。エジソンは、自分で納得できるまで、どこまでも実験(試行錯誤)を続ける人でした。  プログラミングにもおなじことがいえます。いちど、だれかがつくりあげたとしても、プログラミングにエンドはないでしょう。たとえば、マイクロソフトのOSは、MS-DOSから最新のWINDOWS 11まで、ずっと続いています。WINDOWSのOSだって、「ともかく、いろいろ試してみた結果」です。  ぜひ、みなさんも、いろいろ試してみてください。 山手学院 学院長 筒井 保明 ※Lifelong Kindergarten (Mitchel Resnick) The MIT Pressから引用・訳

プログラミング通信 | 2021年11月号

好きなことに取り組めば、プログラミングはうまくなる!  MITのスクラッチ開発チームを率いるミッチェル・レズニック博士は、優秀な指導者でもあって、「プログラミングを学ぶ人たちへの10のヒント」の一つ一つが、プログラミングを学ぶ子どもたちのことを本当によくわかっているなあ、と感心するアドバイスになっています。  先月は、一つ目の、①かんたんなことから始める。(Start Simple)を解説しました。  今月は、二つ目の、②君が好きなことに取り組もう(Work on Things that you like)についてです。 ②君が好きなことに取り組もう  (Work on Things that you like)  レズニック博士は、スクラッチ開発チームの同僚、ナタリー・ラスクの言葉を引用して、  「ナタリーは、興味こそ学習に燃料を与える自然資源だ、っていうんだ。プロジェクトに取り組んでいるとき、それがチャレンジであれば、君は、より長く、より厳しく、より粘り強く、取り組もうとするだろう。ナタリーは、弟を例にして、彼は子どものときから音楽が好きだった。音楽は、楽器の演奏だけでなく、エレクトロニクスやサウンド物理学(録音、音の増幅、音楽と音の操作など)も学ばせた。学習とやる気が結びつくと、どちらにも進むのよ、とナタリーはいう。なるほど、教育は、バケツを満たすことではなくて、火を灯すことだ、とアイルランドの詩人W.B.イェーツはいっている」※  簡単にいえば、好きなことは、「やる気」を引き出すということです。  プログラミングにかぎらず、小学生の世界は、「好きこそものの上手なれ」が真実で、「下手の横好き」はほとんどありません。なぜなら、下手なままだったら、いつのまにか、小学生はそれを投げ出してしまうからです。大人の視点で見ますと、いつまでも下手に見えるかもしれませんが、子どもの視点で見ますと、好きなことは、徐々にではあっても、まちがいなく進歩しているのです。好きなことを5年、10年と、ずっと続けてみれば、大人の視点がまちがっていて、子どもの視点が正しいことがわかります。大人は、年をとればとるほど、長いスパンでものごとを見ることが苦手になるようです。  子どもたちが好きで取り組んでいることに対して、余計な邪魔が入りますと、子どもたちは取り組みをあきらめてしまいます。もし子どもたちのやる気にしたがって、5年、10年と、取り組みを続ければ、どんな取り組みもじゅうぶんに実を結んでいるはずです。「一人前」「自立」とは、一つの取り組みを粘り強く続けた結果の「できる自分」のことです。  みなさんはまだ小学生ですから、プログラミングはもちろん、学習も、運動も、まだまだ何年も続けていきます。この「何年も続けること」に重要な意味があるのですが、そういう大切なことを忘れてしまった人たちは、批評家になってしまいます。理由もなく、君の取り組みを否定するような言葉は、聞いてはいけません。君が自分のやる気で取り組みを続けているならば、かならずできるようになりますし、かならず得意になります。本当に好きなことなら、むずかしいチャレンジになったとしても、君は取り組みを続けられるでしょう。  室町時代の申楽の大家である世阿弥は、「初心忘るべからず」といいました。世阿弥のいう初心は、教育学者モンテッソーリがいう「内なる力」the inner powerのことでしょう。「自発的に始めた自分」が、ある取り組みを続けることによって、グングンと成長していきます。つまり、「初心」というのは、「これからできるようになる自分」にほかなりません。  君は「初心」「内なる力」「できるようになる自分」を持っています。プログラミングはもちろん、どんな学習でも、やる気で取り組めば、必ずできるようになります。  明るく、楽しく、粘り強く、プログラミングに取り組みましょう。 山手学院 学院長 筒井 保明 ※Lifelong Kindergarten (Mitchel Resnick) The MIT Pressから引用・訳

プログラミング通信 | 2021年10月号

繰り返しこそ、プログラミング上達の方法  MITのスクラッチ開発チームを率いるミッチェル・レズニック博士の「プログラミングを学ぶ人たちへの10のヒント」をチェックしてみましょう。じつは、プログラミングにかぎらず、君たちのあらゆる学習に共通するヒントでもあるのです。  まず一つ目。まさしく、最初が肝心です。 ★かんたんなことから始める。(Start Simple)  初心者は、しばしば、大きな、複雑なスクリプトをつくり始めてしまう傾向があります。  学習計画もおなじですが、大きな計画になればなるほど、途中で挫折してしまう危険が大きくなりますね。レズニック博士は、基本的なことをきちんとやらないで、計画(プロジェクト)ばかりが大きくなることを警告しています。 「ぼくなら、いつも、かんたんなスクリプトで始める。ぼくが望むとおりの動きをするかどうかを確かめて、徐々に動きを追加していく。自分にとって初めてのやりかたなら、かならずテストするし、修正していく。ぼくのワークショップでは、みんなにもそう勧めているよ。かんたんなことから始めるんだ。やってみて、拡張して、改良するんだ。スクラッチのプロジェクトだけでなく、あらゆるプロジェクトがおなじだよ」  このアドバイスは、初心者だけでなく、あるていど長くやっている人にも有効です。  プログラミングの進歩が速い人と遅い人のちがいは、(ずいぶん経ってからわかることですが)最初のころ、基礎をきちんと身につけたかどうかのちがいです。かんたんだと判断して、練習(くりかえし)をスキップしてしまうと、あとからその影響が出てきます。「あれ、おかしいな」と思って、以前やったことを振り返って調べる人と、「ここは何度も練習したところだから、だいじょうぶだ」と自信をもって先に進める人のちがいになるのです。  どの教科、どの学習でも、おなじことがいえますね。  たとえば、小学生の各学年の配当漢字をその学年でしっかりと身につけてきた小学生なら、学年をさかのぼって復習する手間はかかりませんが、どこかの学年で配当漢字を習得し損ねていますと、上の学年になってから、下の学年の漢字を学び直す手間がかかります。  プログラミングも同様で、最初のころに身につけるべき知識を習得しておかないと、ずいぶん経験を重ねたにもかかわらず、「あれ、うまく動かないぞ」とあわてて最初のころにさかのぼって学び直すことになります。  まず基礎を徹底的に身につけていれば、進歩が遅いように見えても、しばらくすると、どんどん上達していくようになります。逆に、基礎をさぼってしまいますと、進歩が速いように見えても、しばらくすると、つまずきが多くなって、だんだん遅くなってしまうかもしれません。  ですから、最初のころほど、あわてないで、ていねいに学ぶべきなのです。  ていねいというのは、正確に表現しますと、「なんどもくりかえして、しっかりと身につける」ということです。英語のことわざに、「練習は完ぺきをつくる」(Practice makes perfect)とあるように、「練習(くりかえし)」こそ、学習の要です。  大人になると、「くりかえすこと」が苦手になりますので、大人は新しい学習が苦手なのです。  君たちは小学生ですから、「くりかえすこと」ができるはずです。くりかえしをいやがると、プログラミングにかぎらず、どんな学習も得意になれませんよ。  たのしく、くりかえしプログラミングしましょう。 山手学院 学院長 筒井 保明

プログラミング通信 | 2021年8月号

プログラミングとコーディング  プログラミングとコーディングの違いは、なんでしょうか?  すごくかんたんにいえば、プログラミングが全体とすれば、その部分がコーディングです。  たとえば、Code.orgというアメリカの子どもたちが計算機科学の学習をするウェブサイトがあります。導入の練習であるダンスパーティーはプログラミングですが、それをつくる過程は、コードの時間(コーディング)と呼んでいます。建築でいえば、「家を建てる」はプログラミングですが、「柱を立てる」「梁を架ける」はコーディングになるのではないでしょうか。  プログラミングを学ぶ子どもたちに対して、『Coding for Kids』とか『Coding for Kids in Scratch』とか『Coding with Scratch』など、たくさんの本が出版されています。  さて、それらの本を読んでいますと、アメリカでも、プログラミング学習が嫌いな子どもたちが存在していることがわかります。保護者への注意として、「スクラッチで教えるとき、無理強いしないことが重要です。みんながコンピューター・プログラムに関心があるわけじゃありません。まったく興味を持たなかったら、ほかのことをさせてください。あなたの子どもがコーダー(Coderコーディングする人)に育たなくても、世界が終わるわけじゃありません」と書かれています。  子どもたち向けの本ですから、英語もかんたんです。 「へい、キッズ! 自分のビデオ・ゲームをつくる準備はできているかい。スクラッチは、ドラッグ・アンド・ドロップのコーディングだ。君のマウスで、クリックして、ドラッグするだけで、君のゲームがつくれるんだぜ」  といった具合です。 「プログラミングって、なんだ? プログラミングは、コーディングともいうけど、君のアイデアをコンピューターが理解できるフォーム(形)に入れることだ。スクラッチは、絵を使って君のアイデアを表現させてくれる。キーボードでワーズ(Words)を打ち込んでもいいのだけれど、スクラッチは、君が描いた絵をそれらのワーズにかえることで、君のために働くんだ。一行のコードのような簡単なステップから始めよう。やがてゲームを完成させるコーディングができるようなるさ」  ところで、スクラッチは、本当のコーディングではないという人たちがいるようです。なぜなら、タイプされた指示のかわりにブロックを使うからです。  『Coding for Kids Scratch』の筆者マーク・ベネットは、「こんなことをいう人は、まちがっている。スクラッチのコーディングは、パイソン(Python)のコーディングとおなじくらい、リアルだよ。論理の力、組織立てる力、細部への注意力など、同等の技量が必要とされるのだから」と答えています。  話を戻しますが、スクラッチのブロックの一つ一つ(部分)がコード(Code Blocks)です。これらを組み合わせるから、コーディングです。あるプロジェクトを全体として完成させることがプログラミングです。  まとめますと、スクラッチの場合、コード・ブロックスを組み合わせることがコーディング、コーディングによってプロジェクトを完成させることがプログラミングです。 ※『Coding for Kids Scratch: The Ultimate Step by Step Guide to Develop』Mark B. Bennet 2020 山手学院 学院長 筒井 保明

プログラミング通信 | 2021年7月号

日本は世界のなかで競争できるのだろうか?  クロームブック、アイパッド、ウインドウズのノートなどが、小学校でも配られるようになっています。そういっても、機種の選択や予算などの問題で、地域差が大きくなっている現状もあります。  さいたま市GIGAスクール構想の児童用・保護者用のリーフレットを見ますと、タブレットパソコンを活用して、さまざまな学習に取り組んでいきます。ドリル学習をしたり、調べ学習をしたり、発表資料を作ったり、ワードやエクセルやパワーポイントを使ったり、写真や動画を撮ったり、休校のときにはオンラインで授業を受けたりするようです。ただし、プログラミング教育という言葉は、使われていません。まず小学校の学習にタブレットパソコンを活用することが優先であって、文科省が進めるプログラミング教育は、子どもたちがタブレットパソコンに馴染んでから始めるのかもしれません。  先日、政府の成長戦略として、「企業を支援しながら、半導体を国内で開発・製造し、生産性を向上させていく」ということが発表されました。なぜなら、日本の半導体メーカーは、米国や韓国と比べて、高性能化の技術が出遅れているからです。  2020年度の半導体の売上(この時点では予測)を見てみましょう。  5位以内に入っている企業がある国は、アメリカ、韓国、台湾の3国です。かろうじて、12位に日本の会社が入っていますが、売上の規模を比べてみますと、ちょっと気が遠くなりますね。半導体に関して、日本は、アメリカや韓国や台湾のライバルにはなれないのではないでしょうか。  もう一つ、2019年のグラフを見てみましょう。  IDMというのは、回路設計から製造、販売まで、すべての設備を備えたメーカーのこと。この逆がファブレス(Fabless)といって、製造を外部に委託する会社です。  アメリカ、台湾、中国は、ファブレスのほうが多くなっています。つまり、製造よりも、研究開発のほうに力が入っているわけです。21世紀に求められているのは、まちがいなく研究開発のほうです。  日本政府の成長戦略が成功するかどうかは、君たち次第です。君たちが、いま、プログラミングを学ぶことは、将来の研究開発能力をつちかっているということにほかなりません。  今回は、政府発表に影響されて、少しむずかしい話になってしまいましたが、表やグラフを見るかぎり、たしかに日本は危ない状態なのです。  ですから、日本の未来が君たちの学習にかかっていることは、まちがいありません。  プログラミング学習も、世界標準で見れば、日本は出遅れています。そういっても、君たちが楽しく取り組めているならば、わたしは日本の復活があるだろうと信じています。  ぜひリラックスして、明るい気持ちでプログラミング学習に取り組みましょう。 学院長 筒井 保明

プログラミング通信 | 2021年6月号

IF文を意識して、生活してみよう。  プログラミング学習の進捗状況はどうでしょうか?  あわてる必要はないので、明るく、楽しく取り組みましょう。  さて、中学生と英語の話をしていますと、どうやらIFでつまずいているようです。日本の文法用語では、仮定法。「もしも〜ならば」という用法です。英語のままですと、IFはConditionalsですから、「ある条件ならば」ということです。IFについては、「ある条件ならば」といったほうが、プログラミング学習に取り組んでいるみなさんには、むしろわかりやすいでしょう。  スクラッチでは、IF文のことを仮定法なんて、いいません。多くは、IF文(条件分岐)としていますから、本来の英文法の定義に近いのです。 「もしXXXの条件の場合は、○○○する」が条件分岐です。  たとえば、 「夕ごはんまでに1時間以上の時間があったら、遊びに行く」 「夕ごはんまでに1時間以上の時間がなかったら、家にいる」  といった感じです。  上記の場合であれば、変数は「夕ごはんまでの時間」です。  IF文ブロック(もし〜なら〜)を使って、  もし「時間」≧60分なら、  遊びに行く  でなければ  家にいる  となりますね。  なんだ、ぼくが毎日、考えていることじゃないか。  と思いましたか。  そのとおりです。IF文は、君の毎日の生活のなかにあるのです。  人生は、条件によって、刻一刻と変化します。  もしIF文がなかったら、君は生活することができないかもしれません。  たとえば、先の文でいえば、「夕ごはんまでに1時間以上の時間があったら、遊びに行く」とあっても、このとき、もし遊び相手の友だちがいなかったら、君はどうするでしょうか。  さらに条件分岐を追加して、「友だちがいなかったら」「帰ってくる」でなければ「待っている」となるでしょう。「待っている」を選んだとしても、いつまでも待ち続けるわけには行きませんから、君は「もし友だちが30分以内にもどってこなかったら」「帰ってくる」という条件分岐を加えるでしょう。  IF文(条件分岐)といきなりいわれるとおどろきますが、IF文は毎日君がやっていることのなかにあります。  英語の仮定法でつまずいた中学生は、if I were you (君の立場になってみると)に、とまどったようですが、これはむしろ慣用的なものだ、と考えてもいいし、わたしが君になることは現実的に不可能ですから、仮定を強調するためのwereなのだ、といってもいいかもしれません。  いずれにせよ、君の毎日の生活のなかにIF文(条件分岐)はあります。他のプログラミングの概念も、じつは君の毎日の生活のなかにあります。人間である以上、ひとはプログラミングと無縁であることはできません。  さあ。君の生活の中のプログラミング概念を探してみましょう。 学院長 筒井 保明

プログラミング通信 | 2021年5月号

プログラミング的思考ってなんだ!?  学習指導要領「小学校プログラミング教育の手引」には、つちかわれる能力として「プログラミング的思考」という言葉が使われています。  論理的思考や問題解決能力という言葉も使われているのですが、中心になる言葉は「プログラミング的思考」です。  手引きによれば、プログラミング的思考とは、「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」であるそうです。  なんだか、わかりにくいですね。  まず「自分が意図する一連の活動」ってなんでしょうか?  いちばん身近な言葉でいえば、「計画」です。  「カレーを作る」「マンガを描く」「友だちと遊ぶ」…  みなさんがやりたいと思い描いたことは、すべて計画(自分が意図する一連の活動)です。  上の例を一言でいうと、「カレー」「マンガ」「遊び」になりますね。みなさんは、カレーやマンガや遊びのイメージを思い浮かべることができますか?  じつは、プログラミングにとって、最初に必要なのは、「イメージ」です。  たとえば、「カレー」というイメージがあって、はじめて「カレーをつくること」ができます。コンピューターの画面上のある人物にカレーをつくらせるとしたら、みなさんはどのような命令を与えますか?  鍋に水を入れよ。コンロに鍋を置け。コンロに火をつけて、沸騰するのを待て。そのあいだに、肉を切って、玉ねぎを切って、ニンジンを切っておけ。(カレーができあがるまで、コマンドは続きます)  これが「どのような動きの組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか」ということです。  スクラッチの開発者であるミッチェル・レズニック博士は、プログラミング学習を「創造学習Creative Learning」と呼びます。そして、その最初にくるのが「イメージを思い描けImagine」です。  イメージを思い描くと、それを実現するために「計画」が生まれます。  学校英語ですと、計画は「プランPlan」かもしれませんね。  プログラミングでは、「プロジェクトProject」といいます。プロジェクトという言葉は、計画や意図などの意味をふくんでいます。つまり、プロジェクトという概念のなかに、計画も意図も入っています。  「自分が意図する一連の活動」がプロジェクトであり、プロジェクトを実現するための作業がプログラミングです。  プログラミング的思考とは、「自分のプロジェクトを実現するための考える力」といっていいでしょう。 学院長 筒井 保明 小学生のうちから大学入試に向けてプログラミングを学習しよう  2025年度(令和7年度)入試【※新中学3年生が大学入試として受ける入試】から大学入学共通テスト(旧センター試験)で「情報」が科目として出題されます。  新学習指導要領では、2科目(「情報Ⅰ」、「情報Ⅱ」)が設定され、これらのうち「情報Ⅰ」が必履修科目となります。また、「未来投資戦略 2018―「Society5.0」「データ駆動型社会」への変革―」では、「義務教育終了段階での高い理数能力を、文系・理系を問わず、大学入学以降も伸ばしていけるよう、大学入学共通テストにおいて、国語、数学、英語のような基礎的な科目として必履修科目「情報Ⅰ」(コンピュータの仕組み、プログラミング等)を追加する」とされています。このため,必履修科目「情報Ⅰ」の内容を『情報』として出題するとしています。プログラミングや情報セキュリティーなどを学ぶなど実際の社会の中で対応できる力を身につけることが求められているのです。  先日、「情報」のサンプル問題が発表されました。問題をみると情報技術の仕組みと利点などを問う内容になっていて、大きく3つのテーマで構成されていました。  この中で、設問2では、選挙権年齢の引き下げで高校生にとっても身近になった選挙を題材に、比例代表選挙の得票から政党ごとの当選者数を求める配列を示して適切な回答を選択させるといったプログラミングの力を問う問題が示されています。  難易度は極めて難しいわけではなく、ごく標準的な問題が出ています。ただし、自分でプログラミングを書いたり、多くのデータを統計処理ソフトウェアで処理したりして仕組みを理解していることが必要です。自分で論理的に考えて、問題に取り組む能力が問われているのが見られました。  QUREOを学び、いろいろな考え方を今のうちから身につけて、問題解決能力を養うことで、このような問題でも対応できるようになっていきます。 Scratchでアクションゲームを作ってみよう!④ 敵キャラクターをつくろう 今回は敵となるキャラクター画面に表示させます。goboというスプライトを敵キャラクターとします。今回はプログラムではなく、敵キャラクターの作成です。 動かすキャラクターと反対側から表示させるので、すべてのコスチュームを左右反転させます。 をおしましょう。 また、ふみつけて倒すようにしたいと考えたときに「ふまれた」コスチュームを新たにつくる必要があります。1つのコスチュームを右クリックして、複製して、新たにコスチュームをつくりましょう。複製したコスチュームの上下の大きさを変えることでふまれたようになります。色を変えたり、表情を変えたりするのも面白いですね。            

プログラミング通信 | 2021年4月号

人型ロボットの時代がやってくる!?  君たちが取り組んでいるスクラッチをベースにしたプログラミングは、未来の世界につながっています。  君たちが大人になるころの世界では、人工知能がさまざまな分野に組み込まれ、さらに進化して、それこそ人間に似たロボットが身近で働くようになるかもしれません。  すでに産業の分野では、産業用ロボットがたくさん活躍しています。  たとえば、スイスに本社を置くABBという産業用ロボットメーカーのコラボレートロボット・ユミCollaborative Robot YuMi®は、人間の手作業をほぼ完全に代替することができます。いや、単純な作業であれば、人間よりも正確に作業します。  でも、産業用ロボットを動かしているのは、人間によるプログラミングです。ですから、あくまで人間がつくった仕組みであって、人間らしいロボットではありません。  君たちが取り組んでいるスクラッチやQUREOは、x座標とy座標の2次元で動作させますが、ロボットの場合は、z座標を加えて、3次元で動作させます。  x座標、y座標の概念と、その相対的な動きについては、スクラッチやQUREOで学びますから、座標の概念をきちんと身につけましょう。  ところで、ロボットという言葉は、1920年、チェコスロバキアの小説家カレル・チャペックによって、つくられた造語です。『R.U.R.』という戯曲に人型ロボットが登場しました。  ですから、ロボットの訳語は「人造人間」であり、手塚治虫の『鉄腕アトム』や石ノ森章太郎の『人造人間キカイダー』も、人型ロボットとして生まれたのです。  ちなみに、ネコ型ロボットのドラえもんは、語源的には、ロボットのイメージとズレますね。そういっても、ドラえもんも人間のプログラミングによって動いているわけですから、人型ではなくとも、ネコ型の人造人間ではあるでしょう。  左の写真は、『R.U.R.』の映画の写真ですが、写真のなかの3人のロボットが藤子・F・不二雄先生の頭のなかで、ドラえもんに生まれ変わったともいえます。  ロボットという言葉は同じなのに、ロボットという言葉の概念が、広がっているのです。  君たちはプログラミングを通して、さまざまな概念を学びますが、一つのプロジェクトにたくさんの概念がつめこまれています。  ロボットも一つのプロジェクトです。アトムにも、キカイダーにも、ドラえもんにも、ものすごい量の概念がプログラミングされています。  将来、君たちのなかから、人間らしいロボットをつくる科学者や工学者が生まれるかもしれません。  スクラッチの開発者のレズニック博士は、「どんなプロジェクトもかんたんなスクリプトで始まる」といっています。みなさんは、まず基本概念をコツコツと身につけましょう。 学院長 筒井 保明 1人1台PC、タブレット端末での学習の幕開け  コロナ禍の影響もあり、前倒しになっている1人1台PC、タブレット端末の学習が4月から始まろうとしています。各市によって配布・貸与される端末は異なりますが、Chromebook、iPadが多いようです。  文部科学省は学習用個人PCで子どもたちに何をさせたいのでしょうか。想定している具体的な活用方法を調べてみると、大きく分けて「調べ物と資料作成」「プログラミング教育」の2つのようです。  文部科学省が「すぐに実践できる」としているのが調べ物と資料作成です。Webブラウザで必要な情報、カメラを使って写真、ビデオなどの資料を集めて、レポートやプレゼンテーション資料を作るのが基本の使い方と考えられます。2020年度からの小学校の教科書改訂で、プレゼンテーションをする機会や内容が増えているとお伝えしました。1人1台の端末を使うことで、特に写真・ビデオは子ども一人ひとりで見方が違うでしょう。  またデジタル教材の閲覧もすぐに実践できます。これまでは、教室に設置されたモニターで全員が一度に動画を見ていましたが、それぞれ好きに映像資料を見ることもできます。  プログラミング教育では、プログラミング的思考を養うため、算数や理科をはじめとする授業の中で子ども向けプログラミング言語「Scratch」などを教材として使います。子どもに話を聞くと、「今日Scratchを学校でやった」などと話をしてくれています。  2021年度から中学校の教科書改訂があります。技術家庭のなかで、プログラミングが大きくとりあげられます。今まではCPUなどといった名称中心でしたが、様相が大きく変化します。小学生の今からPCに慣れることは、これからの生活のなかでの必然といえます。 Scratchでアクションゲームを作ってみよう!③  地面のスプライトを複数用意(今回は2つ)します。  自分で地面を描く時には、ひとつだけ注意点があります。地面をつなげて移動させますが、それぞれの右と左の高さが全て同じになるようにしないと、ガタガタした地面になってしまい、つながっていないように見えてしまいます。  地面が用意できたら、最初の地面の設定です。はじめの位置をx座標、y座標ともに0にします。ずっとx座標を-5ずつ動かし、x座標が-465より小さくなったら、x座標を480にします。2枚目の地面の設定ですが、はじめの位置を、x座標を480にするだけで、残りは1枚目の設定と同じです。これでずっと背景が繰り返される横スクロールのできあがりです。  これで「緑の旗」をクリックすれば地面はちょうどよく切り替わり、横スクロールするでしょう。ブロックを組み立ててみてください。