2024/11/11 06:16配信
山手学院こども教育研究所メルマガ
バックナンバー
2024年11月11日
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
11/11 「分ける」と「分かる」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
言葉の働きの一つが、ものごとを「分ける」
である。
たとえば、どこかに手をぶつけて、「手が痛
い!」といっただけでは、どこが痛いのか、
分からない。
手の平が痛いのか、それとも、手の甲が痛い
のか? また、指をぶつけたのであれば、親
指が痛いのか、人差し指が痛いのか、薬指が
痛いのか? さらに指の先が痛いのか、指の
関節が痛いのか? 正確に知ろうとすればす
るほど、言葉の数が増えてくる。
膨大な言葉の数は、人が、できるだけ正確に
ものごとを分かろうとした結果だろう。
サンテグジュペリの『星の王子様(小さな王
子)』という作品は、小さな王子の、人生に
対する知的探求の物語だ。作中で「王子は、
一度、質問したら、絶対にあきらめない」と
説明されている。
さて、作者が主人公と最初に出会う場面で、
王子は、「羊(ムトン)を描いて」と要求す
る。作者がしぶしぶ羊の絵を描いて渡すと、
王子は笑って、
「これはムトンじゃないよ。ベリエだよ。角
があるじゃないか」と教える。
フランス語では、羊の総称がムトンmouton、
雄羊がベリエbélier、雌羊がブレビbrebisで
あるから、作者がまちがえたわけではないの
だが、王子は角が生えているムトンは、ベリ
エなのだ、と知ったところだったのだ。
子どもの世界にはよくあることで、お母さん
が「かわいい猫ね」と猫を指さすと、子ども
がしたり顔で、「これはアメリカンショート
ヘアだよ。銀色の縞模様があるじゃないか」
というのと同じだろう。
ところで、山手ジュニアの羊のキャラクター
であるベリエくんは、上記の王子の会話から
名前をもらった。羊と大雑把に捉えるのでは
なく、ものを分ける言葉を知ることが「分か
る」ことにつながっていく。
物語のなかで、分からない言葉に対して、王
子は、
「アプリボワゼapprivoiserって、どういう
意味?」「リトriteって、どういう意味?」
と、しつこく狐に答えを求める。
狐は、「アプリボワゼとは、つながりをつく
ることだよ」「リトとは、日常と違う日や時
間をつくることだよ」と答える。そして、そ
の言葉の意味を充実させる場面がきちんと描
かれている。
どの国の言葉であっても、言葉の意味を本当
に知るためには、言葉の背景が必要なのだ。
物語を読むことが重要であるのは、表現され
た状況の中で、言葉の意味を知ることができ
るからである。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
11月の教育アドバイス
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
現実の世界には限界がある。想像の世界には
際限がない。
The world of reality has its limits; the
world of imagination is boundless.
(ジャン=ジャック・ルソー 1712-1778 フラ
ンスの哲学者)
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ご質問等がございましたら、ぜひお知らせく
ださい。
山手学院こども教育研究所
E-mail ykl@yamate-gakuin.co.jp
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
不登校や転学、また通信制高校の選択など、
子どもたちの抱える問題をご相談ください。
[山手学院サポート]
https://www.yamate-gakuin.co.jp/yamate-support/
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
お友達にご紹介ください。
小学生にも中学生にも役立つ情報を配信いた
します。ぜひお友達に山手学院こども教育研
究所メールマガジンをご紹介ください。
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[山手学院ホームページ]
https://www.yamate-gakuin.co.jp/
[メルマガ バックナンバー]
https://www.yamate-gakuin.co.jp/backnumber
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■山手学院こども教育研究所メルマガの登録
解除は、以下のURLをクリックしてお手続き
ください。
https://www.yamate-gakuin.co.jp/mail-magazine-cancel/
- カテゴリーがありません