
五月、学びを整える“リズム”をつくろう
五月の風は、春のやわらかさと夏の勢いを半分ずつ運んできます。始業式から一か月、連休も終わり、机に向かう気持ちが少しゆるみがちな時期かもしれません。けれど今こそ、学びをもう一度 “整える” 絶好のタイミングです。
まず、毎日の勉強を 小さな単位 に区切ってみましょう。英語なら「教科書を一段落音読」、数学なら「例題を一題解く」。ほんの小さな達成でも「できた!」という手ごたえが生まれると、次の行動が軽くなります。教育心理学の調査でも、こうした手ごろな成功体験を重ねると「自分はできる」という感覚が高まり、学習を続けやすくなることが示されています。
次に、結果より 過程を見える化 してみてください。ノートの余白に「できたこと」「つまずいたこと」を一行メモするだけで、自分の進歩をあとから確認できます。自分の学び方を振り返る力(いわゆるメタ認知)が高まると、成績も伸びやすいという報告もあります。
保護者様へもお願いです。お子さまが勉強の話をしてきたら、点数よりも「今日は何を学んだの?」と尋ねてみてください。学んだことを言葉にすることで理解が深まり、自信も定着します。身近に「耳を傾ける大人」がいるだけで、子どもは安心して前に進めることがわかっています。
この時期に、ヒマワリの種を植えた記憶がある人もいると思います。芽が出るまでの一週間、目に見える変化はなくても、土の下では根が伸びています。勉強も同じです。すぐに点数に表れなくても、毎日の音読や計算が脳の“根っこ”を育てています。成果が見えず不安になったら、土の下で静かに伸びる根の姿を思い浮かべてください。焦らず水をやり、光を当て続ければ、やがて大きな葉を広げます。
最後に、「能力はあとから伸ばせる」という考え方を紹介します。「能力は努力で伸ばせる」と信じるだけで、実際に成績が上がるというデータがあります。こうした“成長マインドセット”を持つ子どもは、挑戦を前向きに受け止め、諦めにくくなるとされています。今日の小さな一歩は、必ず未来の自分を支える力になります。
新しい季節の風が、ノートのページをめくります。そのページにどんな物語を書くかは、今日の君の行動が決めます。山手学院は、その一歩を応援し続ける伴走者でありたいと願っています。
山手学院 学院長 下村 秀一
