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2025/11/20
HOTLINE山手かわら版 ノーベル賞について

2025年のノーベル賞について、「制御性T細胞」を発見した坂口志文・大阪大学栄誉教授ら3人がノーベル生理学・医学賞を、「金属有機構造体(MOF)」を開発した北川進・京都大学特別教授ら3人がノーベル化学賞を受賞することがそれぞれ発表されました。今回はこのノーベル賞について解説します。

■ノーベル賞とは?

ノーベル賞は、スウェーデンの発明家・実業家 アルフレッド・ノーベル(ダイナマイトの発明者)の遺言により創設され、人類に最大の貢献をした人や団体に授与される世界最高峰の賞です。1901年に第1回授賞式が行われました。

毎年、以下の6つの分野で表彰されます:
・物理学賞
・化学賞
・生理学・医学賞
・文学賞
・平和賞
・経済学賞
(正式には「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞」)
※経済学賞だけはノーベルの遺言にはなく、ノーベルの死後70年後に当たる1968年に設立されました。

10月に受賞者が発表され、授賞式はノーベルの命日である12月10日に行われます。
平和賞の授賞式はノルウェーのオスロで、それ以外の賞の授賞式はスウェーデンのストックホルムで行われます。
受賞するのはその時点で生存している人に限られ、1つの賞に対して一度に3人まで受賞がされます。基本的に個人にのみ与えられる賞ですが、平和賞だけは団体の受賞も認められています。

【平和賞を受賞した主な団体】※()内は受賞年
・国際赤十字委員会(1917年・1944年・1963年)
・国連児童基金(ユニセフ)(1965年)
・核兵器廃絶国際キャンペーン(1996年・2017年)
・国際原子力機関(2005年)
・ヨーロッパ連合(2012年)
・日本被団協(2024年)

■今回の受賞理由

次に、今回の受賞理由となった「制御性T細胞」と「金属有機構造体(MOF)」についての説明です。
■「制御性T細胞」とは
 制御性T細胞とは、体内に侵入した細菌やウイルスなどを攻撃して体を守る免疫システムのうち、免疫の働きを抑える細胞のことです。免疫が自分の組織や細胞を敵と見なして攻撃すると、筋肉や皮膚に炎症が起こるなど、さまざまな症状が現れることがあります。これを「自己免疫疾患」といいます。制御性T細胞を使って免疫の働きを抑えることができれば、自己免疫疾患の改善につながります。

■「金属有機構造体(MOF)」とは
分子レベルの骨組みの中に無数の小さな穴があり、特定の気体を吸着・分離させたり、貯蔵したりできる構造体です。穴の大きさや性質を自由に設計できるのが特徴で、二酸化炭素の回収や薬剤の放出速度の調整など、幅広い応用が期待されています。

川越高校OBによるノーベル賞受賞

2015年にノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章東京大学教授は川越高校出身です。受賞理由は「ニュートリノが質量をもつことを示すニュートリノ振動の発見」でした。梶田教授は今でも川越高校の探究活動にアドバイザーとしてかかわり、生徒の発表に立ち会い、直接指導することもあるそうです。(写真は川越高校にある記念碑)