脳は「忘れる」のが当たり前
人間は、一度覚えたことでも何もしなければ、1か月後にはその大部分を忘れてしまうと言われています。これを証明したのが、ドイツの心理学者エビングハウスです。彼は「一度覚えたことを再び記憶する際、どれくらい時間を短縮できるか」について研究し、その成果を「エビングハウスの忘却曲線」として発表しました。
人は学んだ直後から忘れ始めます。これには脳の仕組みが関係しています。 私たちの脳には、記憶の司令塔である「海馬(かいば)」という部位があります。海馬は情報の「仕分け」を行っており、何度も繰り返し入ってくる情報を「生きるために必要な情報」と判断して、長期記憶として大脳皮質に定着させます。逆に言えば、反復しない情報は脳が勝手に消去してしまうのです。冬休みに全く学習しないでいると、2学期に必死に覚えた内容も、3学期が始まる頃には「見たことはあるけれど思い出せない」という状態になりかねません。一度忘れたことを記憶の底から呼び戻すには、最初に覚えた時以上のエネルギーが必要です。休み中も学習を続けることが、成績を上げる一番の近道になります。 ちなみに海馬はとてもデリケートな場所で、酸素が不足したり、強いストレスを感じたりすると、新しいことを記憶できなくなるそうです。学校の授業がない分、冬休みはリラックスして取り組むことができますので、学習には絶好のチャンスです。
冬の学習が「学力の土台」を決める
各学年にとって、この冬は学習内容の大きな転換点です。
■中学1年生:文法の複雑化に対応する
英語では、2学期の「現在進行形」から3学期の「一般動詞の過去形」へと、冬休みの前後で、文法の学習内容が一気に複雑化しています。これまでの土台がぐらついていると、その上に新しい知識を積み上げることはできません。今のうちに2学期までの総復習を行い、基礎を固めておきましょう。
■中学2年生:入試の最重要局面を迎える
中2のこの時期は、入試頻出の単元が目白押しです。例えば数学の「図形の証明」は、3年生で習う「図形の相似」や「円周角と中心角」などの土台となる重要分野です。ここでつまずくと、3年生の数学が格段に難しく感じてしまいます。今こそ論理的思考力を鍛える山場だと心得て学習に取り組みましょう。
「継続」が自信を作る
休みの日も、まずは1時間だけで構いません。机に向かう習慣を途絶えさせないでください。その「継続」こそが、1月になったときに「自分はこれだけやったから大丈夫だ」という揺るぎない自信に変わります。
