SCHOOL DATA
埼玉県立浦和高等学校【県立・男子校】
住所:埼玉県さいたま市浦和区領家 5-3-3
電話:048-886-3000
アクセス:JR京浜東北線 北浦和駅 東口 徒歩約10分
尚文昌武を体現した丈夫が堅忍不抜の精神を磨き雄飛する
今回は、さいたま市にある県立浦和高校を訪問し、校長の臼倉克典先生にお話を伺った。浦和高校というと、トップクラスの学力を持つ生徒が集まり、県内で最も東大への合格者を出す高校であるが、知ってほしいのはそこではないと臼倉校長はおっしゃった。では、どういったところに魅力があるのか探ってみたい。
浦和高校は埼玉県第一尋常中学校として創設された旧制浦和中学校を前身とし、埼玉県で最も歴史がある県立学校の一つである。埼玉県内では「浦高(うらこう)」と呼ばれ、そこに通う生徒は「浦高生(うらこうせい)」と呼ばれている。最寄りである北浦和駅から浦和高校までの道は「浦高通り商店街」という名前が付いており、浦和高校が地域に深く根付いていることが分かる。卒業生は36,000人を超え、各界の著名人も多く輩出している。宇宙飛行士の若田光一さんも卒業生の一人だ。

尚文昌武 ― 文を尚び、武を昌んにす ―
浦和高校には、「尚文昌武(しょうぶんしょうぶ)」という浦和高校の教育を象徴する言葉がある。「文を尚(たっと)び、武を昌(さか)んにす。」という意味であり、文武両道の精神をあらわしている。1897年に2代目校長に就任した藤井宜正先生が掲げた言葉であり、100年以上が経過した今もなお、浦和高校の教育の根幹を表す言葉として、受け継がれている。学校のパンフレットの表紙にも大きな文字で「尚文昌武」と書かれており、この言葉をどれだけ大切にしているかが伝わる。浦和高校と言えば、埼玉県内では圧倒的な東大合格者数を誇る進学校のイメージがあるが、臼倉校長は「浦高は世間的には進学校ですが、中身は勉強だけではないです。部活動や学校行事を頑張る、その中で勉強もやっているという感じで生徒は動いています。」とおっしゃった。志望校合格だけではない、人間性などのトータルでの成長をする場であり、「人を磨く」ということに重きを置いている。浦和高校には、「少なくとも三兎を追え」という言葉も根付いており、これは「勉強・部活動・学校行事のすべてに全力を尽くせ」という意味合いになっている。臼倉校長は「それでもまずは一兎目(勉強)が大事です。それを生徒たちも分かっていると思います。」と話した。

浦和高校の学習・進路指導
浦和高校では、授業をとても大切にしている。その授業を作り上げる先生方の準備は、先生間での情報共有を積極的に行い、入念に行われる。もっとも授業は必ずしも準備した通りに進むわけではなく、たとえば数学では、先生が黒板に答えを書いていると、生徒が後ろの黒板にまったく違う解法を書き始め「僕はこう考えました」と説明しだすこともあるといい、そこに対応する力が求められることもある。これは量的な準備だけでは対応できないものであり、臼倉校長も先生方の授業力はすごいと一目置いている。
浦和高校の生徒は部活動・学校行事など、自らのやりたいことに対して全力で向き合うため、限られた時間を有効に使って、勉強時間を確保している。学校は午前6時30分から午後9時まで開いており、生徒たちは教室内や廊下を使って、勉強を行う。誰かが教室で勉強していると、「よし、自分も頑張ろう」という相乗効果が発生し、それが良い循環となっている。浦和高校には、県内トップレベルの中学生が門を叩くため、勉強に対する志も高い。先生方もそれに合わせた授業展開をするため、進度は他の高校と比べて速く、ついていくために予習復習は必須となっている。必要に応じて補習も組まれ、サポート体制も手厚い。
進路指導では、生徒の志を大切にしており、生徒との二者面談を頻繁に行う。生徒も、自らが責任を持って考え、しっかりと個を持っている。自らの意見を出すことにも臆さず、授業中のディスカッションや講演会等での質疑応答などでも、多くの意見が交わされる。

青春をかける部活動等
浦和高校の部活動は、学校側が入部を義務づけているわけではないが、9割以上が入部しており、中には部活動を兼任する生徒もいる。多くの生徒が部活動に自らの居場所を見つけたり、活動に対してのやりがいを感じたりすることで楽しさを見出している。真面目で、斜に構えることがなく、部活動も真摯に行う浦和高校の生徒は多くの部活で実績を残している。校門横には、複数の部活動の全国大会出場の横断幕が掲げられていた。
浦和高校の部活動・同好会をあわせた団体数は40以上にのぼり、中には他校にはない珍しいものもある。オリエンテーリング部やローイング(ボート)部、カヌー部などの運動部、同好会や愛好会も数多くあり、探求心あふれる浦高生の知的好奇心を満たしてくれる場となっていることだろう。
また、応援団、放送部、雑誌部などの専門委員会や生徒会、文化祭実行委員会などの各種実行委員会等も充実しており、ほぼすべての生徒が何らかの活動に主体的に参加している。

全力でぶつかる学校行事
浦和高校の特色と言えば、学校行事も外せない。入学すると、まず待ち受けているのは10kmの新入生歓迎マラソンだ。体育の授業では、ゴールデンウィーク明けの5月に行われるこの行事に向けて、4月から走り込みを行う。この行事を「浦高らしいです。」と臼倉校長は話す。「新入生歓迎」という名前を冠してこともあり、スタート位置は1年生を前にするが、間もなく鍛え上げられた上級生が1年生を次々に追い抜いていく。また、遅れてゴールする1年生たちへの応援は感動ものだそうだ。この様子に1年生は上級生への憧れを抱く。こういった尊敬のまなざしは、先生側がけしかけて起こるものではないという。こういった姿勢や校風など、生徒たちが作り上げているものは130年の歴史の中で、脈々と受けつがれている。
1年生の7月に行われる臨海学校では、泳力によって班分けされ、上級の班では2kmの遠泳を行う。臨海学校までには体育で水泳の授業が行われるのと並行して、水泳が苦手な生徒を中心に補習が行われ、全く泳げなかった生徒が特訓を重ねて、当日に既定の距離を泳ぎ切ることができるようになるのだという。このように、自分のベストを尽くすのが浦高生の特長だ。周りの生徒も、その頑張りに対して最大の賛辞を送り、臼倉校長はその姿に感動するとおっしゃった。
浦和高校で最も有名な行事といえば、強歩大会だろう。通称「古河マラソン」とも呼ばれるこの行事は、その名の通り、浦和高校から茨城県の古河市までの約50kmを制限時間の7時間以内での完走を目指すものだ。保護者や地域の方、OBの医師が運営に関わるなど、当日は1,000人近い方々の協力の下で行われる一大行事だ。
年間を通して行われるスポーツ大会・文化大会は、昼休みなどの合間の時間を上手に使って大会が運営されている。教員チームも参加し、スポーツ大会では毎年無類の強さを誇る。生徒も先生方も、手を抜かずに全力で取り組む、これが浦和高校のスタイルだ。こういったイベントを3年間経験することで、フレッシュな1年生も心身ともに逞しい上級生となっていく。

OBの結束
浦和高校は1895年に設立され、その歴史は130年にもなる。卒業生は36,000人を超え、各界の著名人も多く輩出している。麗和会と呼ばれる同窓会は、地域や業界ごとに33もの数を誇り、浦和高校の伝統と歴史の深さをうかがわせる。
また、年に5回以上行われる「麗和セミナー」と呼ばれる講演会では、各界の最前線で活躍しているOBが講演を行う。過去には、現在の上皇の手術を執刀したことで有名な天野篤さんや元外交官で作家の佐藤優さんなど、多くの著名なOBが「浦高のためなら」と、浦和高校に足を運び、自身の豊富な経験をもとにした話を生徒たちにしてくれる。セミナー後の質疑応答の時間は、質問の列が絶えないほどだそうで、浦高生にとって、普段経験できないことを吸収できる場でもあるようだ。

少なくとも三兎を追い、そのすべてを捕らえんとする浦高生
臼倉校長に浦和高校の生徒を一言で表すとどんな生徒かうかがうと、「一言では難しいが、トータルの人間力が高いです。勉強だけではなく、豊かな人間性や懐の深さなど。そういった部分を一番知ってほしいです。」とおっしゃった。取材を通して、浦和高校の生徒の何にでも全力で取り組み、結果だけでなく過程を評価する姿勢に感銘を受けた。一見、必要性を感じないようなことにも、浦和高校の生徒は全力で取り組み、その中で得たものを将来の自分に還元している。イレギュラーな出来事が起こった場面でも、様々な経験から得た知識で、紋切り型ではないその場に応じた最適な選択を取ることができる。10年、20年先の生徒の成長を見据えた教育を浦和高校では行っている。浦和高校に訪問した日は、共通テスト1週間前だったが、3年生も通常の時間割で授業を行っていた。校庭でサッカーの試合をしている横を通りかかったが、その体育の授業も3年生だった。何事にも手を抜かない、どんなことにも全力で取り組む姿勢が、浦和高校の生徒の人間性を更なる高みへと発展させているのだろう。

最後に、どんな生徒に来てほしいかを臼倉校長にたずねたところ、「夢を持っていて、その夢に向かって頑張れる生徒、そういう気持ちを持っている生徒に来てもらいたいです。」というご回答をいただいた。浦和高校で、すべてに全力を尽くした生徒たちは、その後のステージで他の追随を許さない底力を発揮する。その礎が、浦和高校には詰まっていた。大志を抱いた生徒たちが浦和高校の門をたたき、3年間の学校生活すべてに全力を尽くし、卒業後は世界のどこかを支えている立派な人間へと成長している。
己の限界を超えて大きく成長をしたいと思っている男子生徒諸君は、ぜひ浦和高校に足を運んでみてほしい。何事にも全力で取り組む浦高生の姿に、きっと心を打たれることだろう。


取材班よりひとこと
【新座校 霧島遼太】
県内屈指の進学校でありながら、部活動でも全国レベルで活躍する浦和高校。何事にも本気で取り組む姿勢が様々な面で成功を収めている秘訣なのだと感じました。特別な3年間を過ごしたい方は、是非一度魅力に触れてみてください。
【川越西口校 時岡崇夫】
「少なくとも三兎を追え」という言葉に感銘を受けました。三兎とは、勉強・部活動・行事のことを指しますが、すべての事柄に対して手を抜くことなくやり切ろうとする浦高生たちの前向きな姿勢が県内随一の学習環境を作り出しているのだなと強く感じました。
2月7日(土)に開催される、今年度最後の土曜公開授業+ミニ学校説明会の申し込みが現在受付中です。浦和高校の生徒の様子や授業を実際に見学することができます。また、ミニ学校説明会も行われます。浦和高校を目指す方はもちろん、少しでも興味のある方は、参加をお勧めします。詳しくは高校のホームページをご覧ください。
