卒塾生からの贈り物
皆さまへ
3月をもって、これまで配信してきたメルマガを終了しました。今月からは、「山手学院こども教育研究所」として、これまでの「学びの羅針盤」を整理し、掲載していきます。形は変わりますが、現場で見えていることを、これからも変わらずお伝えしていきます。
今年も多くの桜が咲きました。
努力の積み重ねが、合格という形で実を結んだことを嬉しく思います。
ただ、受験という時間の中で生徒たちが手にしたものは、結果だけではないように感じています。
今回は、そのことについてお話しします。

先日、今年の卒業生が一つのテキストを持ってきてくれました。自分で作成した数学の問題集です。山手学院のオリジナルテキストにそっくりな表紙。本当に嬉しくて感動しました。
3年間、特にこの1年間で取り組んできた内容をもとに、自分で問題を選び、組み立て、解答まで作り直したものでした。その完成度の高さも印象的でしたが、何より心に残ったのは、冒頭に書かれていた言葉です。
要約すると
「受験を通して、知識を身につけるだけでなく、学ぶこと自体を楽しめるようになり、自分で考えながら学習を進めるようになりました。そして、その学びを仲間と共有し、ともに高め合っていきたいと思っています。」
といった内容でした。
学習というと、どうしても「どれだけできるようになったか」に目が向きがちですが、実際に現場で見ていると、最初に変わるのはそこではありません。
与えられたものをこなす段階から、自分で考え、進めていく段階へ。その変化が起きたとき、理解の深さも、学習の続き方も、大きく変わっていきます。
この卒塾生も、受験という時間の中で、学ぶことの面白さに気づき、自分で考えながら進めるようになっていきました。そして、その学びを自分の中に留めず、他の人にも渡そうとしています。
自分で理解したことを、別の形にして他者に伝える。ここまで来ると、学習は単なる知識の習得ではなくなります。同じ目標を持つ仲間とともに学び、その中で刺激を受けながら、自分を高めていく。そうした関係の中で、学習はさらに深まっていきます。
受験という出来事を通して起きたのは、結果の変化だけではありません。
学習の意味そのものが変わった、ということです。
4月は新しい環境が始まる時期です。この時期に大切なのは、どれだけ進めるかではなく、どのように学習と向き合っているかを見直すことだと感じています。
与えられたものをこなしているのか、それとも自分で進めているのか。
その違いは、時間とともに大きな差になっていきます。
今回の卒業生が残してくれたものは、問題集だけではありません。
学びが自分のものになったとき、どのような変化が起きるのか。その一つの姿を示してくれました。
今年も現場では、一人ひとりが自分で学びを進められる状態に入っていくことを目標に指導していきます。
今月の教育アドバイス
Study without desire spoils the memory, and it retains nothing that it takes in.
(学ぶ意欲がなければ、記憶は定着せず、学んだことは何も残らない。)
(レオナルド・ダ・ヴィンチ Leonardo da Vinci 1452–1519)
