

埼玉県の公立高校の入試制度
埼⽟県の公⽴⾼校⼊試の学⼒検査は例年2⽉末に実施されます。国語・数学・社会・理科・英語の5科⽬で、各科の配点は100点満点です。平成28年度までは、国語・数学・英語が50分、理科と社会は40分で実施されていましたが、平成29年度からは、理科・社会も50分で実施されています。また、数学と英語で応⽤問題を含む「学校選択問題」を実施することができるようになっています。学校選択問題を実施する学校は毎年1学期に発表されます。
⼊試⽇程(令和8年度)

⼊試⽤語の解説
□出願
令和8年度⼊試については、1/27(⽕)正午〜2/10(⽕)正午までの期間中に、電⼦出願システムの案内に従い、志願者情報等の⼊⼒を⾏います。⼊⼒された内容を、出⾝中学校等が専⽤サイトにおいて確認、承認を⾏い、⼊学選考⼿数料を納付することによって出願が完了します。
□志願先変更
志願者は、指定された期間内に1回に限り、志願先を変更することができます。同⼀校の学科間や第2志望(第2志望に準ずる志望を含む)についても変更ができます。ただし、⼀般募集による⼊学者選抜に出願した⼈は、帰国⽣徒特別選抜または外国⼈特別選抜の出願資格を有していても、帰国⽣徒特別選抜または外国⼈特別選抜へ志願先変更をすることはできません。
□追検査
インフルエンザ罹患をはじめとするやむを得ない事情により学⼒検査を受検できなかった志願者を対象に実施されます。追検査は、国数英理社の5教科で実施され、数学と英語の学校選択問題も⽤意されています。⾯接・実技検査は実施されません。(不登校の⽣徒などを対象とした特別な選抜、帰国⽣徒特別選抜による募集、外国⼈特別選抜による募集、定時制の課程における特別募集においては、⾯接が実施されます。)
追検査の⼊学許可候補者は、原則、募集⼈員の枠外で決定されます。
選抜について(令和8年度)
「学⼒検査」および「調査書」に、各⾼校の判断で「⾯接」や「実技検査」を加え、全項⽬を点数化した合計得点の順位にしたがって合否判定をする、「加算⽅式」で選抜が⾏われます。
《得点化される具体的内容》
□学⼒検査
令和8年度の学⼒検査は2⽉26⽇に実施されます。国語・数学・社会・理科・英語の順に各50分の検査時間です。配点は各教科100点満点です。英語ではリスニングテストが含まれ、国語は作⽂も出題されます。外国語科や理数科等の専⾨学科においては、該当科⽬で傾斜配点を⾏うことがあります。
□調査書
【学習の記録の得点】
各学年の学年評定に各⾼校が定める学年別の⽐率をそれぞれ乗じて加えた点数で表します。各学年の学年評定は9教科5段階評価で合計45点満点です。例えば「1年:2年:3年」の⽐率が「1:1:3」だとすると、「学習の記録の得点(内申点)」の最⾼点は、45×1+45×1+45×3の計算結果である、225点となります。
【特別活動等の記録の得点】
学級活動、⽣徒会活動、学校⾏事、その他について、各⾼校が定めた基準にしたがって点数化し、加算されます。なお、令和7年度⼊試までは、「3特別活動等の記録」の欄内にある「その他」の欄に、部活動に関する内容が記⼊されていましたが、令和8年度⼊試では「5その他」の欄に変更されます。
【その他の項⽬の得点】
特技、取得資格、スポーツ活動、⽂化活動、ボランティア活動等について、各⾼校が定めた基準にしたがって点数化し、加算されます。前述の通り、令和8年度⼊試では部活動に関する記⼊がこの項⽬に移動します。これにより、部活動等の得点について、各⾼等学校の選抜基準の⾒直しが⾏われます。
以上の得点の合計が「調査書の得点」となります。なお、「特別活動等の記録の得点」と「その他の項⽬」の得点の合計が「学習の記録の得点」を超えることはありません。
実際の選抜では、「学⼒検査の得点」(500点)と「調査書の得点」の⽐率が、第1次選抜で6:4〜4:6の範囲で、第2次選抜では7:3〜3:7の範囲に収まるように調整しなければならないという規定がありますので、調査書の合計得点に⼀定の係数をかけることになります。
□⾯接
⾯接の実施については、令和8年度⼊試までは各⾼校の裁量で決定することができます。
※令和9年度⼊試からは、受検者全員を対象に、⾃⼰評価資料にもとづき⾯接が実施されます。
□実技検査
芸術系学科・体育系学科では、実技検査を実施します。実技検査の評価は、各⾼校が定める基準にしたがって得点を算出し、「その他の資料」として加算されます。
⼊学許可候補者(合格者)の決定⽅法
選抜は第1次選抜・第2次選抜・第3次選抜と最⼤3段階で実施されます。第3次選抜を実施するかどうかは各⾼校が定めます。
第1次選抜では募集⼈員の60〜80%を⼊学許可候補者として決定し、第2次選抜では残りの20〜40%を⼊学許可候補者とします。さらに残りの⼈員を第3次選抜で⼊学許可候補者とします。
□第1次選抜
「学⼒検査の合計点」と「調査書の合計換算点」の⽐率が、6:4(学⼒重視)〜4:6(調査書重視)の範囲内になるように、「調査書の合計点」に各⾼校が定めた係数を乗じ、換算点を算出します。合計得点の⾼い順に⼊学許可候補者が決定されます。また、事前に⾃⼰申告書を提出した不登校の⽣徒などを対象とした特別な選抜も、第1次選抜で実施されます。
□第2次選抜
「学⼒検査の合計点」と「調査書の合計換算点」の⽐率が、7:3(学⼒重視)〜3:7(調査書重視)の範囲内になるように、「調査書の合計点」に各⾼校が定めた係数を乗じ、換算点を算出します。合計得点の⾼い順に⼊学許可候補者が決定されます。
□第3次選抜
第1次選抜や第2次選抜で⼊学許可候補者とならなかった者のうち、各⾼校で定めている⼀定以上の順位の者を対象として実施されます。第3次選抜を⾏わない⾼校もあります。
第3次選抜を実施する場合は、第1次選抜または第2次選抜における⼀定以上の順位の者を対象に、「特別活動等の記録の得点」、「その他の項⽬の得点」、「その他の資料」から1つまたは2つ以上の組み合わせなどを⽤いて選抜します。その際、通学距離または通学時間を資料として加えることができます。
【第2志望について】
第2志望が認められている学科・コース等では、当該学科・コース等の第2次選抜の際に、第2志望者を含めて選抜されます。2025年度では各学科間等で相互に認める⾼校が45校、⼀⽅向のみを認める
⾼校が2校でした。
【第2志望に準ずる志望の選抜について】
すべての学科・コース等の選抜を終えたのちに実施されます。選抜は、選抜対象者が募集⼈員より少ない学科・コース等のみで実施されます。2025年度では4校で実施されました。
□川越市⽴⾼等学校の「地域特別選抜」
川越市⽴川越⾼等学校では、募集⼈員の10%程度の範囲内で、川越市⽴中学校に在籍する⽣徒及び川越市内に在住する⽣徒を対象に「地域特別選抜」が実施されます。地域特別選抜の対象分野は次の通りです。
・学習・部活動・⽣徒会活動等で優れた実績⼜は資質を持っている者。
・⽂化・スポーツに秀で、模範となる逸材であり、⼊学後も継続できる者。
出願に際しては、⼀般募集の出願書類以外に、「地域特別選抜志願書」、「出願資格証明書」、「公式記録等を証明するもの等」の提出が必要です。
埼⽟県公⽴⾼等学校の⼊試改善について
令和6年9⽉末に埼⽟県から「令和9年度埼⽟県公⽴⾼等学校⼊学者選抜実施基本⽅針」が公表され、同10⽉には、「令和9年度⼊学者選抜 実施要項・選抜要領(暫定版)」が公表されました。
令和7年度に中学2年⽣になる皆さんが⾼校⼊試を迎える際には、「共通選抜」と「特⾊選抜」の導⼊、「調査書」の様式の変更、「⾃⼰評価資料」の提出とそれにもとづく⾯接の実施など、⼤きな変更が予定されています。
■令和9年度⼊試の変更点の概要
・選抜⽅法が3通りになります。
①共通選抜のみ実施、②特⾊選抜のみ実施、③共通選抜と特⾊選抜の両⽅を実施。
・特⾊選抜では特⾊検査を実施し、特⾊選抜における資料とすることができます。
・調査書の様式が変更されます。
・受検者全員が⾃⼰評価資料を提出し、受検者全員に1⼈10分程度の⾯接を実施します。
■選抜⽅法
○共通選抜
埼⽟県が定める得点の取り扱いで総合点を算出する選抜です。学⼒検査・調査書・⾯接を資料として選抜します。
○特⾊選抜
各⾼校が定める得点の取り扱いで総合点を算出する選抜です。
学⼒検査・調査書・⾯接に加え、学⼒検査とは別に特⾊検査を実施し、資料とすることができます。また、傾斜配点を実施することができます。
■調査書の記載事項
各教科の学習の記録(9教科5段階の評定)を基本とする様式に変更されます。出⽋の記録、特別活動等の記録、その他の各項⽬等は調査書からなくなります。
■⾃⼰評価資料
学校内外での活動や意欲等を⾃らの⾔葉で表現する⾃⼰評価資料を、すべての受検⽣が出願時に提出することになります。資料は得点化されません。
■⾯接
すべての⾼等学校・学科等で、⾃⼰評価資料に基づき、すべての受検⽣を対象に実施されます。個⼈⾯接か集団⾯接かについては各⾼校が決定します。1⼈あたり10分程度で実施されます。
■特⾊検査
特⾊選抜において、実技検査または作⽂(⼩論⽂)を実施し、資料とすることができます。
詳細は令和8年5⽉に公表される予定です。作⽂(⼩論⽂)の出題内容は実施する⾼校が定め、原則として30〜60分で実施し、字数600〜1,000字のものが予定されています。

埼⽟県の私⽴⾼校の⼊試解禁⽇は例年1⽉22⽇です。他校の併願⽇程などを踏まえ、⼊試を複数回実施している⾼校がほとんどです。⼤半が1⽉中の⼊試で合格者を確定させます。
埼⽟県の私⽴⾼校では、東京都や神奈川県、千葉県などで実施されている、「公⽴中学校を通した⼊試相談」を実施していません。したがって、受験⽣は、各⾼校が主催する「個別相談会」に参加し、通知表や会場テストの結果、各種検定などの資料をもとに、合格の可能性について相談しておく必要があります。
推薦入試と一般入試
□推薦⼊試(埼⽟県)
埼⽟県内の私⽴⼊試は、「内申(通知表)」や「会場テストの偏差値」などの選抜基準をもとにした「推薦⼊試」を中⼼に実施されています。
各私⽴⾼校は、夏から秋にかけて⼊試⽇程や単願・併願の推薦基準などを明記した「⼊試要項」を発表します。その後実施される個別相談で、受験⽣の通知表や会場テスト偏差値、各種検定などの資料をもとに、⽣徒・保護者と私⽴⾼校との間で合格の可能性などが検討されます。
推薦には、⼤きく分けて「学校推薦」と「⾃⼰推薦」があります。どちらの推薦で出願するかについては、各⾼校の個別相談会の際に相談してください。⼊試担当の先⽣が丁寧に教えてくれます。
「学校推薦」は、通っている中学校から推薦をもらう必要があります。中学校が推薦できる基準は「内申」です。各私⽴⾼校が設定する「内申(通知表)」の基準を超えていれば、推薦を受けることができます。通っている中学校の担任の先⽣を通して推薦書を書いてもらい、出願時に提出します。
「⾃⼰推薦」は、各私⽴⾼校が設定する「会場テストの偏差値」の基準を超えていることが条件になります。中学校の推薦は必要ありません。出願の際には、受験⽣本⼈や保護者が記⼊した「⾃⼰推薦書」を提出する場合があります。
※他にも、推薦基準には「⽋席⽇数」や「成績に1・2がないこと」などがあります。
□⼀般⼊試(埼⽟県)
推薦基準は特になく、⼊試当⽇の学⼒試験の結果に重点を置いて選抜が⾏われます。推薦基準がないため、原則として「個別相談」は実施されません。
⼊試⽤語の解説
□単願
合格したらその⾼校へ⼊学することを前提に出願する⼊試です。事前に⾼校から提⽰された出願資格を満たす必要があります。1⼈1校のみ出願することができます。公⽴⾼校の志願者は受験できません。作⽂や⾯接、簡単な適性検査を実施する場合や、3教科の⼊学試験を実施する場合があります。
□併願
合格発表後、他校の⼊試結果がわかるまで⼊学⼿続きを保留できる⼊試です。単願より基準が厳しくなることが⼀般的です。⼊試⽇程さえ重ならなければ何校でも受験できます。公⽴⾼校の志願者も受験できます。

東京都の私⽴⾼校の⼊試解禁⽇は推薦⼊試と⼀般⼊試で⽇程が違います。推薦⼊試は例年1⽉22⽇以降実施されています。⼀般⼊試は2⽉10⽇以降に実施されています。東京都の私⽴⾼校の⼊試は、埼⽟県とルールが異なります。
埼⽟県では、現在のところ「公⽴中学校を通した⼊試相談」は実施されていません。⼀⽅で、東京都では、七都県⾼校進学問題協議会における協議を経て、私⽴⾼校と東京都中学校⻑会で合意した⽇以降(例年12⽉15⽇)に、「公⽴中学校を通した⼊試相談」が実施されています。ルール上、合格の可能性を述べるにとどめ、確約、内定は⾏われません。また、「公⽴中学校を通した⼊試相談」の際に⽤いる資料は、中学校3年間の学習の記録や特別活動の記録、出⽋の記録などで、偏差値資料は⽤いません。埼⽟県の中学校との⼊試相談は、東京都内の私⽴⾼校についても⾏われていません。したがって、都内の私⽴⾼校の受験を希望する場合は、受験⽣個⼈が、各⾼校で実施される⼊試説明会等に参加し、個別相談を受けておく必要があります。(⼀般⼊試には「併願優遇」の制度があり、優遇を受ける場合も相談が必要です。)
推薦⼊試と⼀般⼊試
□推薦⼊試(東京都)
受験する私⽴⾼校が第⼀志望であり、在籍する中学校⻑の「推薦状」がもらえ、各私⽴⾼校が決めている推薦基準に該当することが受験の条件です。例年1⽉22⽇以降に実施されます。原則として、⼊試相談を⾏ったうえで出願する必要があります。埼⽟県の中学⽣は中学校を通した⼊試相談がありませんので、個別に動く必要があります。
選抜は「書類選考」「作⽂」「⾯接」「実技」「適性検査」の中から、各私⽴⾼校が⾃由に選んで実施します。「適性検査」については、国語・数学・英語の3教科を、⼀般⼊試よりも短い時間で実施する場合が多いようです。
□⼀般⼊試(東京都)
東京都の私⽴⾼校の⼀般⼊試には、「第⼀志望優遇」・「併願優遇を利⽤した⼀般⼊試」・「併願優遇を利⽤しない(併願優遇がない)⼀般⼊試」があります。⼀般⼊試は例年2⽉10⽇以降に実施されます。
《第⼀志望優遇》
⼀般⼊試で、合格すれば必ず⼊学することを条件に、⼊試得点への加点や、ボーダーライン上での優遇措置を受けられる⼊試制度です。内申基準が設定されている場合には、基準を満たしていなければなりません。
《併願優遇を利⽤した⼀般⼊試》
国⽴や公⽴⾼校を第⼀志望とする⽣徒を対象にした制度です。志望する私⽴⾼校が設定した内申基準をクリアし、「公⽴中学校を通した⼊試相談」において、併願優遇の利⽤が私⽴⾼校との間で確認されていれば、⼀般⼊試において「併願優遇」の制度が使えます。優遇の内容は学校によって違いますので、⼊試説明会や個別相談会で確認してください。
《併願優遇を利⽤しない⼀般⼊試》
併願優遇の基準に届かない場合や、そもそも優遇の制度がないといった場合は、優遇を受けずに受験することになります。試験当⽇にどれだけ得点できたかで結果が決まります。