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HOTLINE202506 室長が行く 西武学園文理中学校・高等学校
本部より
2025/06/14
HOTLINE202506 室長が行く 西武学園文理中学校・高等学校

SCHOOL DATA
西武学園文理中学・高等学校【私立・共学校】
住所:埼玉県狭山市柏原新田 311-1
電話:04-2954-4080
アクセス:
 【スクールバス】
  川越駅・鶴ヶ島駅・新狭山駅・稲荷山公園駅・東飯能駅
 【路線バス】
  新狭山駅・狭山市駅

※6月21日(土)に山手学院塾生向けの西武学園文理高校見学会を行います。ただ今、お申し込みを受け付けていますので、配布いたしました高校見学会のご案内プリントのQRコードよりお申し込みください。(塾生向けのイベントです)。

大胆な校則の変更
非認知能力を伸ばすプロジェクト
入学者が倍増した注目の西武文理

今回は狭山市郊外にある西武学園文理中学・高等学校(以下、西武文理)を訪問し、マルケス ペドロ校長(以下、マルケス校長)にお話を伺った。
西武文理は入間川沿いに広大な敷地(東京ドーム約3個分!)を有する学校で、校舎はレンガ色に美しく統一されている。あちこちにオブジェが飾られ、緑の多いゆったりしたキャンパス内を散策するとまるでテーマパークにいるかのように感じる。このキャンパスがドラマ、CM、ミュージックビデオと様々な形でメディアに登場しているのもうなずける。
一昨年度に西武文理の校長に就任したマルケス校長が行ってきた教育改革は、多くの生徒保護者からの支持を集め、今年度の入学者は昨年より約300名も多い932名(中学校194名、高等学校738名)となった。山手学院からも多くの生徒が受験し、過去最高の合格者を輩出した。今回は、そんな西武文理の教育について、就任3年目を迎えたマルケス校長にお話を伺った。

様々な生徒がいます。それが普通です。

西武文理はマルケス校長の就任以来、多くの改革を進めてきた。その中でも話題になったものは、マルケス校長が生徒に呼び掛けて始まった「学校生活改善プロジェクト」により新しくなった校則だ。制服着用日以外の日の服装や、髪形、髪の色からアクセサリーについても自由化された。清潔であることと品があることを守れば、あとは自分で判断するのが、新しい西武文理だ。
マルケス校長に新たな校則になってからの生徒の様子を伺うと、「生徒の笑顔が増えました」とおっしゃった。学校は学びの場だが、学校にできるのは生徒のモチベーション向上であり、環境による気持ちの変化が学習へ影響を与えることは科学的にも明らかになっているとマルケス校長は話す。入学式の式辞も、生徒たちに“校長命令”として、「Have fun‼ 必ず、学校生活を楽しんでください!」という言葉で締めくくった。生徒の笑顔が増えているということは、改革がうまくいっているということだ。
制服の着用を自由にした意図としては、様々な価値観の人と一緒に生活をする場を経験することの大切さを挙げた。校長は「様々な生徒がいます。それが普通です」。そうおっしゃった。
この「学校生活改善プロジェクト」は生徒プロジェクトなので、毎年生徒と先生が協議を行い、見直しが行われる可能性もあるそうだ。

英語教育・国際教育について

かねてより英語教育に力を入れている西武文理であるが、近年はさらに海外を目指す生徒を増やしたいと考えており、行き先や滞在期間の異なる様々な語学研修プログラムを準備している。生徒たちは海外に行って見聞を広げてもらい、「外国で勝負できる強い日本人」を育成したいということだ。
マルケス校長は、日本には素晴らしい文化があるのだから、海外に出ていく日本人には誇りを持ってほしいと考えている。実は、マルケス校長も日本の文化が大好きで、日本の漫画やアニメなどを見ることもあるそうだ。
また、西武文理は今年度から中学校が国際バカロレアMYP(ミドル・イヤーズ・プログラム)候補校に認定された。国際バカロレアとは、国際的な視野を持つ人間の育成を目指した教育であり、令和6年12月時点で、世界160の国と地域において約5800校が認定を受けている。これから認定校に向けた申請をしていく段階ではあるが、西武文理では、国際バカロレアから発展させて「文理の教育」をつくりたいと考えており、その先を見据えている。
中学校では来年度からバイリンガルクラスを設ける予定である。バイリンガルクラスでは、英語の授業だけでなく、すべての授業で英語に触れることによって、異文化理解と言語習得を促進させることが可能となる。
こういった取り組みが進めば、やがて生徒の進学先に海外の大学が名を連ねることになるだろう。

非認知能力を伸ばす

マルケス校長の改革は教育の核心部分にまでおよぶ。これからの教育では、知識の量による偏差値競争ではなく、非認知能力を伸ばすことが求められるのだという。非認知能力とは点数化できない能力のことだ。もちろん西武文理には最難関大学を一般入試で挑戦するコースもあるが、現在の大学入試は総合型選抜が増えていて、その傾向はさらに強まるとみられるため、マルケス校長は、生徒が様々な体験を得るための仕組みを教育の中に組み込んだ。

ガチ・プロジェクト

西武文理では、中学も高校も教科とは別にガチで(本気で)プロジェクトに取り組む時間がある。その名も「ガチ・プロジェクト」と呼ばれる取り組みだ。
メディアマネジメント(収録サポート)、文理広報(学校説明会運営、公式SNS運営、パンフレット・WEBサイト制作)、ハロウィンイベント、制服デザイン、商品開発、スポーツデータ分析など、多様なプロジェクトが用意され、生徒は自分の興味のあるものを選択する。肝心なのはそれぞれが「ガチ」なプロジェクトであることだ。
学校の中で発表して拍手で終了、というものではなく、実社会で活躍する社会人との協働が基本であるため、授業では得られない貴重な体験をすることになる。実際にテレビで放映されるドラマの制作にかかわり、実際の商品開発にかかわり、実際の制服をデザインする。各自の興味を増幅させる場であるとともに、キャリア教育の場でもあり、コミュニケーション能力など人間的な成長が見込める場でもある。まさに非認知能力を伸ばすプロジェクトだ。

イベントも成長の場

ガチ・プロジェクトの一つにハロウィンイベントプロジェクトがある。100人規模のメンバーが地元の自治体や企業と協働をして運営する。昨年が初開催だったが、10月末の土曜日と日曜日の2日間開催した。日曜日には、地元の幼稚園、小学校、中学校などから3,500人ほどの地域の方々が来場し、大盛況となった。特に人気があった「超巨大お化け屋敷」では、1日目には2時間待ちの長蛇の列になることがあった。この問題を解決するために、1日目の終わりに、生徒が自主的に反省会を開き、どのようにすれば、並ぶ時間を減らすことができるかを話し合った。そこで、テーマパークにあるような整理券制にすることで、2日目は並ぶ時間を解消し、よりハロウィンイベントを楽しんでもらうことができた。実に迅速な対応だ。
「そのような行動に意味がある」と、マルケス校長は目を細めた。生徒が自ら課題を見つけて、話し合い、それを解決していく。体験を通して得られる非認知能力の方が知識の量や偏差値よりも大切であるという校長の信念が、まさに西武文理の環境の中で実践されているのだ。

進化する部活動

西武文理は勉強だけでなく、部活動にも力を入れており、環境の整備を進めている。
その中の一つ、創部2年目をむかえたデジタルクリエイト部は、現在80名を超える部員が在籍している。最新のパソコンを導入し、創作活動を存分に行う環境が整っており、ハロウィンでは、多数の出展・技術協力を行った。その中でも、シューティングアクションゲームが人気だった。その他にも、各企画の待ち時間データがデータベースと自動的に同期し、リアルタイムで反映される場内マップの作成など、クオリティの高い制作物を披露した。
体育系部活動も大変活発で、関東大会や全国大会に出場するものもある。体育施設の改修も進めており、2023年秋にはテニスのオムニコートを、2024年4月にはサッカーの人工芝グラウンドを整備した。
西武文理の部活動は種類も多く、なかにはライフル射撃やハンドベルなど、珍しいものもある。生徒一人ひとりが自分の活躍の場を見つけることができるだろう。
また、個人の得意分野を重視しながら、希望の進路実現を目指すためのアートクラス、スポーツクラスが高校にあり、中学校にもスポーツ&アートクラスがある。従来の最難関国公立大学や最難関私立大学を目指すクラスはもちろんのこと、中学も高校も幅広い選択肢があり、様々な生徒がいるのが西武文理だ。

まとめ

マルケス校長の教育改革が生徒や保護者に受け入れられていることは、西武文理を希望する生徒が爆発的に増えたことが証明している。マルケス校長は自身について「私は勉強オタクです」とおっしゃった。話を伺うなかで、教育に関して情熱的で、常に世界の教育事情にアンテナを張っていることがうかがえた。自身の豊富な経験や確固たる信念のもと、本当に生徒のためになるものを提供するために奮闘を続ける。
マルケス校長が追い求めてきた「新しい西武文理のかたち」が見えつつある。数年前には想像もしなかったかたちだ。これからさらに素晴らしいかたちを見せてくれるに違いない。ぜひ足を運んで、マルケス校長の教育に対する熱量を肌で感じてほしい。

[ふじみ野校 室長 森嶋 聡]
ハロウィンなどのイベント企画やガチプロジェクト、校則の見直しを生徒プロジェクトとして行うところも、これまでの高校教育にはほとんど見られなかった取り組みではないでしょうか。ペドロ校長の楽しいお話にはワクワクしっぱなしでした。

[川越西口校 室長 勝村 裕太]
急速な科学技術の発達、グローバル化によって、私たちを取り巻く社会は大きく変化している。非認知能力を高め、人材を育ていくことが今求められている教育である。ぜひ、高校生活を楽しんで欲しい。