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2026/10/08
こども教育研究所「学ぶために、眠る」

学ぶために、眠る

二学期も半ばを迎えました。
学校行事があり、部活動や習い事があり、塾があり、そして定期テストもある。秋は、子どもたちにとって意外と忙しい時期です。
夜になっても宿題が終わっていない。テスト前だから、もう少し勉強してほしい。でも時計を見ると、もう寝る時間を過ぎている。
そんな夜は、どのご家庭にもあるのではないでしょうか。
「あと30分だけ頑張ろう」
そう声をかけたくなる気持ちは、よく分かります。私たちも塾ですから、子どもたちにはしっかり勉強してほしいと思っています。
ただ、その30分を毎日、眠る時間から借り続けてよいのか。

今回は、少し睡眠について考えてみたいと思います。
今年9月、東京大学の研究チームが、全国の小・中・高校生を対象に続けている「子ども睡眠健診」の状況を発表しました。
2022年に始まったこの取り組みには、2026年7月までに延べ247校、21,696人の子どもたちが参加しています。
調査からは、平日に十分眠れず、休日に長く寝て補っている子どもが少なくないことや、学年が上がるにつれて、平日と休日で寝る時間、起きる時間のずれが大きくなる様子が見えてきました。

たしかに、中学生や高校生になれば、生活は忙しくなります。
学校から帰って部活動をして、夕食を食べて、塾へ行く。帰宅してから学校の宿題をして、お風呂に入って、少しスマートフォンを見れば、もうかなり遅い時間です。
「早く寝なさい」の一言では解決しないのも、今の子どもたちの現実だと思います。
厚生労働省は、睡眠時間の目安として、小学生は9〜12時間、中学生・高校生は8〜10時間を示しています。もちろん必要な睡眠時間には個人差がありますが、思っていたより長いと感じる方もいるのではないでしょうか。
そして今年、59件の研究、合わせて16万人以上のデータをまとめて調べた研究では、睡眠の質や睡眠時間と学業成績との間に、小さいながらもプラスの関係が確認されました。

ただし、ここは誤解しないようにしたいところです。
長く眠れば、それだけで成績が上がるという話ではありません。
よく眠れている子は、生活のリズムや家庭環境など、ほかの条件も整っている可能性があります。睡眠だけですべてを説明することはできません。
それでも、睡眠を削った時間が、そのまま「勉強時間」として積み上がるわけではないことは、考えておいた方がよさそうです。
厚生労働省の睡眠ガイドでも、十分な睡眠は集中力や学習効率に関係し、学んだことを定着させるうえでも大切だとされています。

これは、塾にいる私たちにとっても大事なことです。
「もっと勉強しよう」と言うことは簡単です。
でも、夜遅くまで机に向かっていることが、本当にその子にとって一番よい学習なのか。そこまで考えなければ、教育とは言えないと思います。
塾にいる時間は集中して勉強する。分からないところは、その場で質問する。学校の宿題も、できるものは塾や学童で進める。
そして家に帰ったら、きちんと休む。その方がよい日もあります。
これは、勉強を減らそうという話ではありません。むしろ反対です。
限られた時間の中で、どうすれば一番よく学べるのかを考えるということです。
受験が近づけば、勉強量を増やさなければならない時期もあります。どうしても遅くなる日もあるでしょう。
毎日、理想通りにはいきません。だからこそ、「昨日は遅かったから今日は少し早く寝よう」「この宿題は塾にいるうちに終わらせよう」と、自分の一日を少しずつ整えられるようになってほしいと思います。

ご家庭でも、もし夜遅くまで勉強している日が続いていたら、一度だけ時計を見てみてください。
「もっと勉強しなさい」でも、「もう寝なさい」でもなく、
「明日もちゃんと勉強できるように、今日はどうしようか」
そんなふうに一緒に考えてみるのもよいかもしれません。
学ぶことと、休むこと。
子どもにとって、この二つは反対側にあるものではありません。
しっかり学び、しっかり休み、また次の日に学ぶ。
学ぶために、眠る。
私たちも、子どもたちの勉強時間だけではなく、その一日全体を見ながら関わっていきたいと思います。

今月の教育アドバイス

眠ることは、学んだことの“保存ボタン”を押すこと
(睡眠科学者 マシュー・ウォーカー)

今日覚えたことを、今日のうちにすべて自分のものにできるわけではありません。
子どもたちが眠っている時間にも、学んだことを整理し、記憶として残していく働きが続いています。
勉強を終えて眠ることは、学習を中断することではありません。学習の続きを、眠っている脳に任せる大切な時間でもあります。

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