こども教育研究所「子どもの宿題を手伝うことについて」
夏休みの最終日、塾や学童では、残っていた宿題に一生懸命取り組む子どもたちの姿が見られました。山手学院でも、焦ってうんうんうなりながら作文を書いている子とそれを支える教師の姿も多かったです。
本当は、やらなければならない学習に追われるよりも、自分からやってみたいと思う学習に時間を使えた方がよいのでしょう。次は計画的にやれるといいなと願っています。
とはいえ、夏休みの終わりになって宿題に追われる光景は、私たちが子どもの頃から、それほど変わっていないようにも思います。
今の子どもたちは、学校、習い事、塾、友だちとの時間など、なかなか忙しい毎日を過ごしています。すべてを計画通りに進めるというのは、大人が思うほど簡単なことではないのかもしれません。
では、その宿題に、大人はどのように関わればよいのでしょうか。
2024年、保護者の宿題への関わりについて、これまでの28の研究、32の独立したサンプル、約38万人のデータをまとめて分析した研究が発表されました。
その結果、保護者が宿題に関わること全体と学業成績との間には、ごく弱い負の関連が見られました。一方、関わり方を分けて調べると、子ども自身が考えたり、決めたりすることを支える自主性への支援だけは、学業成績とプラスの関連を示していました。
もちろん、ここから保護者が宿題を手伝うと成績が下がる、と考えることはできません。
学習につまずいている子どもほど、大人の手助けを必要とすることも考えられます。研究で二つのことに関連が見られたことと、一方がもう一方の原因であることは別です。
この研究から考えたいのは、手伝うか、手伝わないかではなく、どのように支えるかということです。
今年2026年に発表された、10歳から14歳の子どもを持つ226家庭を対象とした研究でも、子どもの自主性を尊重した関わりは、宿題の時間を上手に使うこと、粘り強く取り組むこと、途中で気が散りにくいことなどと関連していました。
こちらも一時点の調査ですから、因果関係まで証明したものではありません。それでも、私たちが子どもの学びにどう関わるかを考えるうえでは、興味深い結果だと思います。
では、子どもの自主性を支えるとは、どういうことでしょう。
すぐに答えを教えるのではなく、どこまで分かったのかを聞いてみる。何から始めればよいかを一緒に考える。できるところは自分でやらせてみる。そして、本当に困っているところでは手を差し伸べる。
大人がすべてやってしまうのでも、すべて子どもに任せてしまうのでもありません。子どもの様子を見ながら、必要な分だけ支えていく。そこに大人の役割があるのだと思います。
ただ、子どもたちが忙しいのと同じように、保護者の皆さまにも、仕事や家事のある毎日があります。毎日、子どもの隣に座って宿題を見ることは、現実には難しいご家庭も多いでしょう。
だからこそ、塾の自習室や学童をもっと活用していただきたいと思っています。
授業を受けるだけでなく、学校の宿題をする。分からないところを質問する。何から勉強すればよいか相談する。
ときには、私たちがすぐに答えを教えず、子どもが自分で考えるのを少し待つこともあります。
宿題を早く終わらせることだけを考えれば、先生が全部教えてしまった方が早いかもしれません。しかし、私たちが目指しているのは、その日の宿題を終わらせることだけではありません。
今は先生と一緒ならできることを、やがて自分一人でもできるようにしていく。
その過程に関わることも、教育に携わる私たちの大切な役割です。
二学期は、一年の中でも長い学期です。
学習のことで困ったとき、ご家庭だけで抱え込まず、ぜひ山手学院を授業以外の時間にも活用してください。
私たちは、勉強を教えるだけではなく、子どもたちが少しずつ自分で学べるようになる、その過程にも関わっていきたいと考えています。
今月の教育アドバイス
今日、大人の助けを借りてできることは、明日には一人でできるようになる。
(ロシアの教育心理学者 レフ・ヴィゴツキー 発達の最近接領域についての論考より)
子どもを支えるとは、代わりにやってあげることではありません。今は一人ではできないことに寄り添い、少しずつ手を離しながら、自分の力でできるところまで導いていくことです。
宿題を手伝うこともまた、答えを出すためだけのものではなく、子どもが自分で学ぶ力を身につけていくための大切な機会なのだと思います。
