SCHOOL DATA
埼玉県立所沢高等学校【県立・共学校】
住所:埼玉県所沢市久米1234
電話:04-2922-2185
アクセス: 西武新宿線・池袋線 所沢駅西口より徒歩15分/西武池袋線 西所沢駅より徒歩8分
「自立」と「挑戦」が育む十人十色の未来
― 失敗を恐れず、自分らしく輝く3年間
今回は、所沢市にある県立所沢高校に訪問し、校長の井上輝也先生にお話を伺った。所沢高校は明治31年(1898年)に設立された共立英和学舎をはしりとして、統合や改称などを経て2026年時点で130年近い歴史を誇る。埼玉県西部では最も歴史のある公立高校のひとつだ。生徒や地域の方などからは、「所高(とここう)」という略称で呼ばれ、その存在は地域に根付いている。
「自由な校風」や「服装・髪型自由」といった表面的なイメージで語られることも多い同校だが、その根底には「自ら考え、行動し、責任を持つ」という確固たる教育理念が存在する。今回は、井上校長へのインタビューを通じ、所高が目指す教育の真髄、独自の取り組みなどに迫っていく。

「十人十色」が共存しながら一つになるために
所沢高校を語るうえで、欠かせないキーワードが「十人十色」だ。同校のキャッチコピーにもなっており、自由な校風の中で個性的な生徒たちが、多種多様な考えを分かち合いながら高校生活を送っている。所高生は積極的に発言をするので、生徒同士の考えの相違からぶつかり合いが起こることも少なくないという。そういった個性豊かな生徒がどうやってまとまるか、それこそが学校生活の醍醐味であり、生徒が成長するきっかけであり、所沢高校の魅力であると、井上校長は話した。一人ひとりが違う中で、チームとしてやっていく。リーダーが一人も孤立させることなく活動をしなければいけない。初めは失敗もあるかもしれないが、それぞれが意見を出し、話し合いや声掛けなどを通して、みんなでゴールにたどり着く。社会で経験するようなことを、所沢高校では高校生のうちから乗り越えることで、卒業後も活躍できる力が養われている。
「Fail Fast(早く失敗する)」。これは井上校長が2学期の始業式でおっしゃった言葉だ。失敗しながら先に進む企業の話を例に、失敗を恐れていつまで経っても一歩が出ないのは違うのではないかと問いかけた。所沢高校の生徒はトラブルや失敗もするが、その分自らが考えて行動をして己の成長につなげている。トラブルや失敗は前進している証拠だ。

ルールがないことによる生徒と教員の距離の近さ
所沢高校と言われて「制服がない」というイメージが最初に出てくる人も多いだろう。昭和47年(1972年)に当時の生徒が教員・保護者との協議の末に勝ち取った権利であり、服装自由化が開始してから50年以上になる。井上校長は服装自由化による「プレッシャーのなさ」が良い方向に働いていると話した。ルールが定められていると、生徒はそれを守らなければならないというプレッシャーを感じ、それを注意する教員に対して距離を感じてしまう。しかし、所沢高校では、服装、髪の毛の形や色、スマホの使用に関してもそのような教員との対立がないため、教員が「一番近い大人」として、生徒に接することができ、相談や意見交換をしやすい雰囲気になっているそうだ。校長室にも昼休みに生徒が意見交換や自身の結果報告などに来ることがよくあるといい、井上校長は生徒の課外活動の成果にとても詳しい。それをとても嬉しそうに語っていたのが印象的だった。

地域とつながる多彩な探究活動&企業・国際交流
学校内にとどまらず、地域社会や世界とつながる機会が豊富な点も所高の特長のひとつだ。
総合的な探究の時間では、生徒が自らテーマを設定し、商店街や地域の農家などへ直接インタビュー取材を実施。社会での実践的な学びを深めている。
また、同窓会やロータリークラブの支援を受け、生徒自身が会社を設立・運営しているのも他校にはない取り組みだ。会社名は「Tokorozawa High School」の頭文字から取って「株式会社THIS(ディス)」。OBの支援を受けながら生徒自らが公証人役場に行って、この9月に会社設立の登記を完了した。地元の企業・自治体などと協力しながら、実際の商品やサービスの開発や、能登半島地震のボランティア活動など、社会課題の解決や地域貢献に取り組んでいる。
国際交流も活発で、所沢市の姉妹都市である韓国の安養市の高校とのオンライン交流や相互訪問をはじめ、ボランティア活動、海外医療体験(ベトナム等)など、生徒自らが手を挙げて世界へ羽ばたいている。

先輩から後輩へ受け継がれる「自主自立の精神」
生徒の手で創り上げる行事は、所高生を大きく成長させる。
入学を祝う会では、入学式の直後、新入生全員(約360名)がステージ上で「所信表明(高校生活の抱負)」を行う。ほんの10秒足らずだが、在校生全員を前に発言する。一人ひとりが上級生からの熱い応援を受け、高校生活の一歩を踏み出す、所高生になる第一歩だ。
5月と11月に行われる生徒総会では、私服校でありながら、フォーマルな場としてのTPOを自分たちで考え、自主的にスーツ等の服装で整えて参加する。自分の意見を言うのが所高生であるので、活発な議論が交わされる。
体育祭や所高祭(文化祭)では、クラス単位で本気でぶつかり合い、協力し合う中で絆を深める。また、1年生男子のラグビー大会や女子の創作ダンス発表会など、未経験の競技や体験を通してチームワークとリーダーシップを磨いていく。

探究と学力を両立する教育課程(平日55分授業への移行)
所沢高校では、令和9年度から土曜日授業を廃止して平日の授業を50分から55分にする。そこには、授業時間を確保しながら土曜日を生徒が自由に使える時間にするためという意図がある。井上校長はそれを「土曜日を生徒に返す」と表現された。同校の生徒は学内の活動だけではなく、地域のボランティア活動やサークル・クラブ活動など、多岐にわたる活動を行っている。井上校長は、このような外に出て様々な教育の力を受けるのがいいのではないかと話した。今回の変更にあたっては、生徒保護者だけでなく中学生やその保護者へのアンケートの実施や県外の高校を視察するなど、多角的な視点を参考にしており、その中で最良の選択をしたかたちだ。
進路指導においても、総合型選抜や指定校推薦から一般受験まで、生徒それぞれの目標を最後まで諦めずに追求できるよう手厚いサポートを行っている。

「十人十色」誰もが輝ける場所
井上校長に所沢高校の生徒はどんな生徒かを聞いてみると、「自然体ですよね。あるがままの姿を出せる生徒たちです。」とご回答いただいた。所高生は自由な環境の中で、責任を持ったうえで自由を享受し、自らのやりたいことを目いっぱい行い成長することで、卒業後の進路や社会で活躍できる礎を築いていることが取材を通して感じられた。
最後に、所沢高校を目指す生徒に向けて、メッセージをいただいた。
「本校が求めているのは、特定のリーダータイプだけではありません。『リーダーシップを育てます』と謳っていますが、リーダーだけではリーダーは育ちません。地元の活動や部活動、日々の勉強など、どんな分野でも一生懸命になれる子、そして周りを支えるフォロワーシップを持った子にもぜひ来てほしいと考えています。」「高校時代は『人生の土台』になります。そのときの思い出が大事な一歩を踏み出すための大きな勇気になると思うのです。ぜひ本校でいい思い出を作ってほしいです。」
自由な環境だから、多様な生徒がいる、その全員が自分らしくいられる、そして誰もが輝ける。他にはない唯一無二の環境で、かけがえのない仲間とかけがえのない高校生活を送りたいと考えている中学生諸君は、ぜひ所沢高校に足を運んでみてほしい。自分も知らない本当の自分を出せる場所、どこよりも自分が輝ける場所が待っていることだろう。


取材班よりひとこと
【小手指校 森井智弘】
所沢高校では、学力だけを養うのではなく、高校卒業後にも必要となる自分の考えを相手に伝える力や、ものをはっきりと言える力も養うことができるところです。すべてにおいて全力で取り組み、一人ひとりの価値観を尊重し合うことでさまざまな部分において人間力が大きく成長できるところだと感じました。
【東所沢校 髙田和長】
「自由であること」がクローズアップされることが多い高校ですが、その自由には責任が伴っているということ、それが故に失敗を乗り越えていける力を身につけられるという校長先生のお話が特に印象的でした。生徒が何事にも本気で取り組み、多方面に才能を発揮できる環境が自然と育まれていました。
所沢高校では、学校概要説明動画をYouTube上で公開しています。また、ホームページから、学校案内パンフレットを閲覧可能です。詳しくは所沢高校ホームページの「中学生の皆さん」をご覧ください。授業公開・学校見学会・オープンスクールの日程もご確認いただけます。
