ひとの意志の創造的な力
The creative power of the human will
君が自分の目標に対して本気になれば、君の創造的な力が働き始める。君の意志の力は、君を根本的に作り変えてしまう。早寝早起きだって実行できる。明るい気持ちで一日を過ごすことは当然だ。リラックスしてから学んだり練習したりすることも、寝る前にまとめ学習をする習慣を身につけることも、どうってことない。受験生なら、テレビもゲームも邪魔物で、なにがなんでも受験勉強に励みたくなる。すべて君の意志の力だ。
さて、イスラエルにメイア・シュナイダーという少年がいた。生まれつきの白内障で、法的に視覚障害者と認定されていた。彼は光と影が識別できるだけだったけれど、この状態は恒久的なものではなく、きっと治せるのだ、と信じていた。
メイア少年が点字を学んでいるころ、近視などの目の疾患に対して、「目の筋肉の緊張が原因だから、目の緊張を解けば治る」というウイリアム・ベイツの方法(眼科の主流派から偽医療と呼ばれていた)がすでに知られていた。それでも、ベイツ博士の著書を読んでも、メイア少年のような事例は書かれていない。
ベイツ法は目の緊張を解くことが必須であり、まず、手のひらで目を覆って目をリラックスさせるパーミング(Palming)という方法がある。
メイア少年は、暇があれば、パーミングをし、ときには14時間も続けたことがあった。つぎに心がけたのが、目をつむって太陽の光を浴びるサニング(Sunning)。これは主流派から、目にダメージを与えるとして、批判されたものだが、メイア少年は目を傷めないように気をつけながら、サニングを心がけた。また、目をリラックスさせるために、軽いマバタキをくりかえし、気がつくと、何時間も過ぎていることもあった。目に役立つと判断できるかぎり、さまざまなエクササイズを彼は絶え間なく実行していく。一日平均、13時間ほどを目のトレーニングに費やしたようだ。数年をかけて、彼は裸眼で運転免許を取得するところまで視力を回復することになる。
メイア・シュナイダーの『セルフ・ヒーリング』(Self-Healing : My life and vision 1987)という自伝を読んでいると、「わたしは見えるようになる」という強い意志が信念となって彼を貫いている。前半は自分の目の回復が中心になるが、後半では、治療家として、急性灰白髄炎、多発性硬化症、脊椎障害、関節炎などの患者のリハビリテーションに従事していく。患者に治る意志があるかぎり、彼は治癒の可能性を信じるし、けっしてあきらめない。患者に意志があれば、リラックス、深い呼吸、血液の循環、適切な運動などで、患者を回復させることができるのだ。(現在の彼の活躍は、School For Self-HealingというYouTubeのチャンネルでも見ることができる)
ここでも、治療のカギになるのは、「ひとの意志」である。
君が自分の目標に対して強い意志を持っているなら、その意思はかならず創造的な力を生み出す。
第16代アメリカ大統領エイブラハム・リンカーンは、「意志があるところに道がある」Where there's a will, there's a way.といったし、イギリス最大の劇作家シェークスピアを象徴する言葉は「意志力」Will Powerである。
ところで、意志って、なんだろう? 君を方向付ける「気」が、その正体である。君がその「気」になって、やる「気」を出して、君の「気」を向けた方向に、君は進んでいく。
だから、君は、目標を定めたら、目標に向けて本気を出せばいい。否が応でも、君は自分の「気」が向いたほうに前進するのだ。メイア少年は、自分の目で世界を見たい、と本気で思ったから、奇跡のようなことが起きた。
君だって、本気を出せば、目標を達成することができる!
山手学院 学院長 筒井 保明