学校って、なんだ?
What is School?
受験生たちは、志望校・受験校の入学試験や適性検査に向けて、ぎりぎりまで学習を続けているだろう。ここまで来ると、だれかと競っているというよりも、とことん自分との戦いだ。そういっても、入試当日、心身の状態が良好であることが重要になるから、睡眠を削るような学習は望ましくない。毎日、しっかりと眠って、良好なコンディションで試験会場に向かってもらいたい。
受験生以外の生徒たちは、先輩たちの健闘を見ながら、自分の志望校について、じっくりと考えてみよう。
まず学校というのは、学ぶ場所だ。「校」というのは、もともと木を交わして作った柵や欄を表している。フェンスで囲った場所が「校」であり、学ぶことを目的として通う場所が学校である。
高校進学は、「なにを学びたいか」が目的であるから、その高校にある教育や学科や進学に加えて、クラブ活動なども目的になる。目的があるから、高校に進学するのであって、遊びに行くわけではない。
英語では、学校はSchoolである。「教師や生徒が集まる場所、指導する場所」を表すラテン語のスコラ(schola)から来ている。ギリシャ語ではスコーレ(skholē)で「余暇」であるが、学問は、余暇がなければできないから、「余暇」は「学ぶための時間」である。
したがって、学校やSchoolは、小学生、中学生、高校生にとって、とても重要な「学ぶ空間」と「学ぶ時間」を表す言葉なのだ。
君たちが、そこで、なにかを学ぶからこそ、学校なのであって、なにも学ばないのなら、たんなる「校」で、フェンスで囲った場所でしかない。
そもそも、君たちは、学ぶ能力を持っている。そして、学ぶ場所があって、学ぶ時間があるのだから、喜び、勇んで、学んでいくことができる。いやいや取り組む必要なんてない。いやだと思うから、学習がきらいになるのであって、好きだと思えば、学習が楽しくなる。
「物は試し」で、苦手な教科を選んで、学習に取り組む前に、「わたしは、この教科が好きだ」と声に出してから、すぐに取り組んでみよう。どんなに嫌いな教科でも、「好きだ」と声に出してから取り組むと、しばらくのあいだ、集中できる。疲れたら休憩して、また取り組む前に「この教科が好きだ」と声に出してから、すぐに取り組む。これを数日くりかえしていると、次第に「好きだ」「すぐに取り組む」が習慣化されてくる。「すぐに取り組む」が習慣化されると、苦手な教科が嫌いでなくなってくる。さらに、くりかえしていると、だんだん好きになってくる。すると、「好きこそものの上手なれ」で、苦手だったはずの教科が得意になってくるのだ。
「すぐにテレビをつける」「すぐにゲームをする」「すぐにスマホを操作する」と、テレビやゲームやスマホが習慣になって、やめられなくなってしまう。おなじように、「すぐに学習する」「すぐに練習する」「すぐに取り組む」と、学習や練習や取り組みが習慣になって、いつでもできるようになる。
学校というのは、時間割という仕組みで、「すぐに学習する」「すぐに練習する」「すぐに取り組む」を習慣化しようとする場所だろう。そうだとすれば、君たちは、始業のチャイムが鳴ったら、「わたしは、この教科が好きだ」と自分に言い聞かせてから、積極的に授業に臨めばよい。その結果は、よい通知表評定になるはずだ。
三学期を新学年の飛躍につなげよう。
山手学院 学院長 筒井 保明