取り組んだ人からヒントを得よう!

Take a tip from one who’s tried!

 新しい学年がスタートした。まず積極的な態度で、さまざまなことに取り組んでみよう。
 そして、見るだけ、聞くだけ、読むだけではなく、自分の口や手や身体を使って、受け入れた情報を声や文字や表現といった形で外に発信してみよう。学習を受動的なものから、能動的なものに変えるのだ。自分の口や手や身体を使うことは、学習の定着度を強化するアクティブ・ラーニングの本質でもある。
 学習方法や記憶法に関しては、古今東西、たくさんのことが伝えられてきた。現在では、神経科学の裏づけもあって、生き残った方法もあれば、捨て去られた方法もある。学習習慣のつくり方もはっきりしているし、学習方法より学習環境のほうが重要だという考え方もある。学習方法がわかっていても、誘惑に邪魔されて、そもそも学習できなければ意味がないじゃないか、ということだ。
 そもそも学習方法は、学習が苦手な人たちを対象に創出されている。もし、目で見て、耳で聞き、そのまま記憶でき、たちまち理解して、すぐに応用できるなら、その人に学習方法は必要ないだろう。学習において、壁に突き当たったとき、人は、もっと効果的な、もっと効率的な学習方法を求めた。
 教育学で有名なマリア・モンテッソーリであっても、独自の指導法で著名なグレン・ドーマンであっても、学習に問題を抱えた子どもたちのために、くりかえし教授法を試行し、やがて効果のある方法を発明した。そして、かれらの取り組みがたくさんの子どもたちの可能性を大きく開いたのだ。
 さて、山手学院は、今年で50周年を迎える。振り返ってみると、いつのまにか、イベントやホットラインや小冊子などで、たくさんの教育情報を発信してきた。受験情報など、毎年のように更新される情報もあれば、学習習慣のつくり方など、いつまでも使われる情報もある。重要な情報を得ることで、受験の方向が変化したり、学習法が改まったりする。そして、だれかが取り組んだことによって、その効果がはっきりすると、それをヒントにして、他のだれかが新しい取り組みを始める。
 これから、学習環境のつくり方も、学び方も、さらに更新されていくだろう。

山手学院 学院長 筒井 保明