ぐっすり眠って、しっかり学習しよう!
Sleep Well. Study Hard.
大宮高校は、他校に倍加する数学の学習量を生徒たちに要求するので、苦手になってしまうと学習進度についていくことが難しくなる。君たちの先輩の一人が、課題提出が間に合わない状態になってしまって、宿題10問に対して、帰宅後に解けたのが2問、さらに8問を解くために、栄養ドリンクを飲んだり、チョコレートを食べたりして、徹夜で取り組んだが、仕上げることができなかった。「どうしたらいいのか」と、当人はうなだれている。
大宮高校が数学に力を入れる理由は、東京大学をはじめとして国立大学の合否が数学に左右されるという事実があるからだ。「この春の東京大学の合否はほぼ数学で決まりました」と大宮高校の教頭先生は分析している。だから、大宮高校の生徒であるかぎり、数学との闘いは続く。
「宿題をこなすこともできないなんて…。どうしたらいいのでしょうか?」
「そもそも徹夜が悪い。栄養ドリンクやチョコレートの常習も逆効果になっている。数学に対して、ネガティブな気分で必死にやろうとしている。頭が働かない理由が揃っているのだから、できるはずのものもできない。このままでは悪くなる一方だな」
君たちの先輩は絶望的な顔をして、頭を抱える。
そこで、一つ目のアドバイス。
「夜中・深夜・徹夜の学習はやらない。どうしても時間が足りないなら、ぐっすり眠って、朝早く起きて学習する」
このルールを守るだけでも、ぐんと頭がよく働くようになる。通常、頭も体も疲れて帰宅しているのだから、夕食後、11時を過ぎる程度の学習はよいとしても、さらに栄養ドリンクやチョコレートで元気をつけたつもりになって深夜まで勉強することは、あとで無理が祟ることになる。(この元気は、血糖値が急激に上がったことによる勘違いで、すぐにインスリンによって血糖値が急激に下がり、実際は逆効果となる)
人は、生活するかぎり、つねに心身を毀損しているので、十分に睡眠をとって、自分自身を修復する必要がある。夜中・深夜(子の刻・午後11時~午前1時/丑の刻・午前1時~午前3時)は、熟睡し、成長ホルモンを分泌させ、傷ついた細胞を修復する時間帯である。また、10代であれば、脳や身体が成長する時間帯でもある。さらに、この時間帯に、短期記憶(その日の学習)が、長期記憶として定着される。だから、この時間帯に睡眠をとらずに勉強していたのでは、心身の疲労も取れず、脳も体も成長せず、学習も定着せず、コンディションが悪くなるばかりである。
毎日、学校に行くために、朝起きて活動を始める時間に、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌がセットされる。君たちを熟睡に導くメラトニンの分泌は、グラフのとおりで、通常の生活をしている場合、夜12時から4時のあいだがピークになる。(小学生は異なる)この時間帯も上記と重なる。
どの観点から見ても、夜中・深夜は眠るべき時間であって、学習する時間ではない。
夜中・深夜はぐっすり眠って、朝早く起き、しっかり学習しよう!
学院長 筒井保明