未来の自分が、本当の目標だ!

Your Future Self

 小学生、中学生、高校生、それぞれの最終学年に受験生がいる。入試日が近づいているので、一様に緊張が高まっているようだ。大学受験生のなかにはすでに推薦入試で合格した生徒もいれば、不合格に涙した生徒もいる。
 先日、山手学院高校部の大学受験生と話をした。第一志望の国立大学の推薦入試は不合格であったけれど、これから一般入試に向けて、全力で受験学習に取り組むと決意を語ってくれた。
 「推薦入試は、調査書20点・小論文40点・面接60点の合計120点満点の審査で、すべてベストを尽くしましたから、後悔はないです。高校の先生は、一般入試では無理かもしれない、浪人の覚悟が必要だ、というのですが、わたしはあきらめません。一般入試でかならず合格します」
 彼の名誉のためにいっておくと、彼が受験した国立大学教育学部の教科教育コース専修の推薦入試は、募集人員3名である。おなじ志を持つライバルたちと競うのだから、わずかな差で合否が分かれる。彼の力量不足ではない。
 彼が志望する国立大学の全体としてのアドミッション・ポリシーは、
①(知識・技能)専門分野の学修に必要な基礎学力を有していること。
②(知的関心)地域の事象、自然環境、国際社会、人間と多様な文化等の広い分野に対する知的関心を有していること。
③(思考力・判断力・表現力)他者とともに課題解決を目指した経験があり、そのための基礎的な思考力・判断力・表現力を有していること、あるいは、それらを身につける意欲を有していること。
④(主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度)多様な人々とコミュニケーションを取りながら協働して主体的に活動した経験があること、あるいは、そのような活動をする意欲を有していること。
 この四つは、すべての大学生に求められる能力・資質といえる。アドミッション・ポリシーというのは、県公立高校でいえば、「本校が求める生徒」である。たとえば、川越高校が求める生徒は、「伝統ある自主独立の精神を自覚し実践する生徒。高い志を立て、その実践に向け常に努力を重ねる生徒。文武において切磋琢磨し自己を高め、優位なリーダーを目指す生徒」だ。
 現在、小学生、中学生である君たちも、ゆくゆくは自分の希望に合った大学を目指すことになるだろう。中学受験であっても、高校受験であっても、まず未来の自分を考え、「学びたいこと、身につけたいこと」があるからこそ、君たちは志望校を持ち、受験生になるのだ。
 さきほどの高校生が目指す国立大学教育学部は、アドミッション・ポリシーに加えて、入学者の能力・資質として、①各教科についての幅広い知識、②教育への関心と教員になりたいという強い意欲、を求めている。この生徒は、中学生のころから、「教育への関心と教員になりたいという強い意欲」を持ち続け、いま、受験生としてチャレンジしている。将来、彼はよい教師になるにちがいない。わたしは彼が合格することを信じている。
 君たちも、未来の自分のことを考えてみよう。君たちの道は未来の自分につながっている。未来から見れば、小学校も、中学校も、高校も、大学も、君が通過してきた場所である。だから、受験生にとっての志望校は、当面の目標であり、突破すべき目標で、どの学校であっても、入学したとき、つぎの目標を目指すための場所に変わる。ほんとうの目標はもっともっと先にあるのだ。
 さあ、当面の目標を達成するために、受験当日まで、徹底的に学習に取り組もう。悔いをカケラも残さないくらいに。

学院長 筒井保明