リラックスの練習

Practice to Relax

 試験や試合に臨むとき、だれもが自分の持っている全力を出し切りたいと願う。
 その結果がよければ、もちろん、うれしいけれど、自分の全力を出し切った結果なら、結果がよくなかったとしても、すぐに次のチャレンジに向かっていける。なぜなら、もっと大きな人生の目的が君にあるはずだから。
 目標は、目的から生まれる。
 たとえば、テストの得点や通知表評定や偏差値が目標になるのは、「行きたい学校に合格する」という目的があるからだ。また、スポーツの各チームの目標が、各試合に勝って勝率や順位を上げることになるのは、「優勝する」という目的があるからだ。
 大きな目的があるから、だれもが目標を達成したいと願う。
 ところが、試験や試合に臨むとき、君の力を押さえつける敵があらわれる。「緊張」というやつだ。そもそも試験や試合自体がストレスである。そして、ストレスが不安につながり、緊張を強めてくる。スポーツのグラウンドであれば、ホームでは実力を発揮できるのに、アウェイの適地になると、緊張して十分に実力を発揮できない。
 試験会場は、アウェイの場所だ。したがって、受験生は、できれば、試験会場(受験校など)に何度か行っておくこと、できなければ、試験当日に早めに到着して試験会場に慣れておくことを勧める。なぜなら、ひとは知らない場所では無意識に緊張してしまうけれど、時間がたって慣れてくると、緊張がほぐれてくるからだ。そういっても、それだけでは十分ではないだろう。
 そこで、日ごろから、リラックスする練習を心がけておくことが必要になる。
 日ごろというのは、学校や塾の授業前、学習の前、練習の前、各種のテストの前だ。
 なぜなら、授業や学習や練習を吸収するためにも、テストで力を発揮するためにも、リラックスしてから取り組むと、効果が上がるからである。
 リラックスする方法はたくさんあるので、ここではかんたんなものを紹介しよう。
●目をつむる。目をつむって光を遮断すると、脳波がゆったりとして落ち着く。
●深呼吸する。静かに呼吸しながら、ムダな力を抜いていくと落ち着く。
●表情をゆるめる。モナ・リザのようなほほ笑みを浮かべると落ち着く。
●筋肉の力を抜く。ギュッと手を握って力を込め、力を開放すると落ち着く。
●体のツボを押す。眉間(第三の目)や手のひらの中央よりやや下を指で押すと落ち着く。(落ち着くツボはほかにもあるので、調べてみよう)
●手の指を握る。
 これはたまたま YouTube で見かけたもので、日本のリラックス方法 A Japanese Method to Relax として紹介されていた。出典は不明だが、親指が不安 anxiety、人差し指が恐怖 fear、中指が怒りanger、薬指が悲しみ sadness、小指が自尊心 self-respect で、自分の状態に当てはまる指を逆側の手でギュッと握ると落ち着くそうだ。
 以上は、当日のものだが、もっと重要なのは、前日だ。前日に心が動揺するようなショックがあると、次の日に悪い影響が出てしまう。寝不足が不安につながるのだ。だから、試験や試合の前日は、ともかく、リラックスして、早めに寝てしまうこと!
 ぐっすりと熟睡すると、不安や緊張に負けない状態が準備できる。睡眠は、本当に重要だ。

山手学院 学院長 筒井 保明