ともに成長する。
We all grow together.
「ご縁」という言葉がある。お釈迦様なら、君が、いま、ここに存在すること自体が「ご縁」であるというだろう。
世界(あるいは宇宙)の森羅万象の結び目の一つが「自分」であるから、たしかに私も君もご縁(結び)によって、いま、ここにいる。「共生」(きょうせい・ともいき)という考えも、生きとし生けるものがすべてご縁で結ばれていることを踏まえて、みんなでともにつながって生きていこう、と呼びかけているのだ。
ところで、君たちは、「さあ、勉強しようぜ」とか「いまから数学をやりましょう」とか、友だちに呼びかけているだろうか。
もし、そういった呼びかけをしていないなら、これからは、そうしよう。テストが近づいてきたら、「もうすぐ定期テストだ。テレビを見るのをがまんして、しっかりテスト範囲を勉強しようぜ」とか「北辰会場テストが 2 週間後ね。さあ、準備を始めましょう」と、君から友だちに声をかけるようにする。すると、君に不思議なことが起きる。
そう友だちに呼びかけることによって、君にやる気が起きるし、学習効果も格段に上がる。
もっといいのは、呼びかけるだけではなく、苦手な教科をもつ友だちに教えてあげることだ。教えることによって、君は、もっとできるようになる。
コセコセと自分の得ばかり考えるような人は、結局、得はしない。相手のためを思って、善意の働きかけをしていると、自分も成長する。かりに君がゲームばかりしていてテストの準備を怠っているとする。そして、悪心が兆きざして、君は、勉強している友だちに「いっしょにゲームしようぜ」と誘いかける。君に誘われた友だちは、誘惑に負けて、学習をやめてしまう。このとき、君は、友だちにとって悪魔になっている。
いっぽう、君は一生懸命に勉強している。君の友だちはアニメばかり見て、勉強をさぼっている。君は、友だちに「友よ。いっしょに勉強しよう。君はやればできるのだから」といって、学習を呼びかける。友だちもその気になって、勉強を始める。こちらの君は、天使になる。君が勉強し、友だちが勉強し、さらにその友だちが勉強し、いつのまにか、クラス全体、学校全体が勉強するようになったら、なんとすばらしいことであろう。
ポール・マッカートニーの歌に、We All Stand Together という蛙(かえる)の歌がある。
Win or lose, sink or swim /
One thing is certain we'll never give in / Side by side, hand in hand / We all stand together (勝っても負け
ても、沈んでも泳いでも/一つ確かなのは、僕らはけっしてあきらめないってこと/並んで、手に手をとって/
僕らみんなともに立っている)
蛙たちでさえ、みんなともに立っているのだから、君たちはともに立つだけではなく、ともに成長しようでは
ないか。
ともに学び、ともに成長することは、小学生でも、中学生でも、そして、いくつになっても、とても重要なこ
とだろう。「ご縁を大切にする」とは、君たちが、周りのみんなと、ともに成長することである。
さあ、みんなでいっしょに学んでいこう。
学院長 筒井保明