君は英語を身につけたいか?

Do you want to learn English?


  英語を身につけるための最初の条件は、「君が英語を身につけたいと本気で思っていること」である。君が「身につけたい(Want to)」と思って学ぶなら、その言語は必ず身につくけれど、「しかたがない(Have to)」と思って学ぶなら、その言語はなかなか身につかない。 有名なポリグロット(多言語話者)のカトー・ロンブ(Kató Lomb 1909-2003)は、言語学習のカギは、まず「興味 interest」と断言している。
 カトーの言語学習の方程式は、
 わたしたち日本人の多くが、比較的に英語を苦手にしている理由は、羞恥心や臆病による抑制が大きすぎることなのだ。言語習得は、聞いたことに対して、即座に自分の口で発語・発話することが秘訣であるが、羞恥心や臆病によって、わたしたちは、発語・発話をとまどってしまう。つまり、英語を聞いた「そのとき」こそ、学習のチャンスなのに、わたしたちは恥ずかしがってチャンスを逃してしまう。言語学習に恥じらいは禁物だ。 ところで、わたしたちの英語力にもっとも足りないのが「聞く能力」。小さいころを思い出せば、「いきなり話しました」とか「いきなり読みました」とか「いきなり書きました」などという人は存在しない。聞けるから、話せるようになり、話せるから、読めるようになり、読めるから、書けるようになったのだ。
 したがって、まず、「一生懸命に何度も聞くこと」だ。聞き流さずに、音声を聞き、音声のつながりを聞く。現在は、Sunshine(開隆堂)や NEW HORIZON(東京書籍)のような教科書でも、必要な英文を選び、スマートフォンやタブレットなどを使って、何度でも繰り返し聞くことができる。また、スピード調整も
できるので、ゆっくり聞くことも、はやく聞くこともできる。本来、単語の意味は文脈のなかで決定するので、日本語で丸暗記するのではなく、文の中でイメージや気持ちでわかるようなれば、使える英語になる。
 ネイティブスピーカーの英語を何度も聞いておくことのメリットは、英語を受け入れる下地を作ることに加えて、自然な英語の発音やイントネーションが記憶に残るので、まちがった英語の発音やイントネーションに接しても、わるい影響を受けなくなることだ。
 聞くときの順番は、
① まず、テキストを見ないで、何度も繰り返して聞く。
② 聞いた音声をテキストで確認する。(このとき、辞書を引いてもよい)
③ 聞き取った音声を繰り返し口に出して発語・発話する。
 ②と③は、逆でもよいが、①のテキストを見ないで聞く、ということが重要である。どんな言語も、音がつながって、音のかたまりをつくるので、音をしっかりと聞いておかないと、話すことも読むこともむずかしくなってしまう。
 聞くことができれば、話せるようになる。話せるようになれば、読めるようになる。読めるようになれば、書けるようになる。わたしたちが日本語を覚えたように、すべての言語がおなじ順序によって学習される。そして、これがいちばん効率的な学習方法なのだ。
 さあ、教科書の英語を繰り返し何度も聞いてみよう。

山手学院 学院長 筒井 保明