日本は世界のなかで競争できるのだろうか?

 クロームブック、アイパッド、ウインドウズのノートなどが、小学校でも配られるようになっています。そういっても、機種の選択や予算などの問題で、地域差が大きくなっている現状もあります。
 さいたま市GIGAスクール構想の児童用・保護者用のリーフレットを見ますと、タブレットパソコンを活用して、さまざまな学習に取り組んでいきます。ドリル学習をしたり、調べ学習をしたり、発表資料を作ったり、ワードやエクセルやパワーポイントを使ったり、写真や動画を撮ったり、休校のときにはオンラインで授業を受けたりするようです。ただし、プログラミング教育という言葉は、使われていません。まず小学校の学習にタブレットパソコンを活用することが優先であって、文科省が進めるプログラミング教育は、子どもたちがタブレットパソコンに馴染んでから始めるのかもしれません。
 先日、政府の成長戦略として、「企業を支援しながら、半導体を国内で開発・製造し、生産性を向上させていく」ということが発表されました。なぜなら、日本の半導体メーカーは、米国や韓国と比べて、高性能化の技術が出遅れているからです。


 2020年度の半導体の売上(この時点では予測)を見てみましょう。
 5位以内に入っている企業がある国は、アメリカ、韓国、台湾の3国です。かろうじて、12位に日本の会社が入っていますが、売上の規模を比べてみますと、ちょっと気が遠くなりますね。半導体に関して、日本は、アメリカや韓国や台湾のライバルにはなれないのではないでしょうか。


 もう一つ、2019年のグラフを見てみましょう。
 IDMというのは、回路設計から製造、販売まで、すべての設備を備えたメーカーのこと。この逆がファブレス(Fabless)といって、製造を外部に委託する会社です。
 アメリカ、台湾、中国は、ファブレスのほうが多くなっています。つまり、製造よりも、研究開発のほうに力が入っているわけです。21世紀に求められているのは、まちがいなく研究開発のほうです。
 日本政府の成長戦略が成功するかどうかは、君たち次第です。君たちが、いま、プログラミングを学ぶことは、将来の研究開発能力をつちかっているということにほかなりません。
 今回は、政府発表に影響されて、少しむずかしい話になってしまいましたが、表やグラフを見るかぎり、たしかに日本は危ない状態なのです。
 ですから、日本の未来が君たちの学習にかかっていることは、まちがいありません。
 プログラミング学習も、世界標準で見れば、日本は出遅れています。そういっても、君たちが楽しく取り組めているならば、わたしは日本の復活があるだろうと信じています。
 ぜひリラックスして、明るい気持ちでプログラミング学習に取り組みましょう。

学院長 筒井 保明