学院長あいさつ

プログラミングの基本概念を身につけましょう。

 「プロジェクト、情熱、共有、プレイを通して、創造的思考をつちかうこと」がMITのミッチェル・レズニック博士の理念です。
 わたしたちは、その理念を共有するとともに、QUREOで身につけたことをベースにして、もっと広い世界へ、子どもたち一人ひとりが飛び出していけるようにしたいと考えています。
 コンピューター・サイエンスの世界は、コンピューター・サイエンスを開発し発展させてきた英語の世界でもあります。ですから、プログラミングにとっては、英語ができることも必要です。
 わたしはcode.orgというサイトをときどき訪れて、プレイします。ボランティアが日本語に翻訳している部分も多いのですが、ビデオ・クリップに登場するゲストも先生も生徒たちも話している言葉は英語ですし、日本語だと対応していないプログラミングもありますから、わたしも英語でプレイしています。
 QUREOは日本語になっていますが、プログラミングである以上、ひっくりかえせば英語です。
 でも、さらに英語の向こう側には、「概念」があります。「概念」というのは、「脳でとらえられたなにか」、「特定の例から生まれた抽象的、一般的なアイデアやテーマ」のことです。
 たとえば、「普段の動きとは違うリズミカルな動き」のイメージが「ダンス」という言葉の概念になるでしょう。日本語であれば、「おどり」ですね。
 現在、code.orgには、「ダンスパーティーをコードしよう」というページがあります。英語ではコード(code)ですが、日本語では「プログラム」と翻訳されています。この場合、英語の「コード」と日本語の「プログラム」の概念はおなじです。
 ところで、ダンスパーティーを英語でプレイしたあと、日本語に設定してチェックすると、おもしろいことを見つけてしまいました。
 きちんとプレイしていた英語では、23種類ある動きが、プレイしていない日本語では半分以下の11種類になっています。ジョン・トラボルタで有名なポーズ(Disco)もありません。手を抜くと、おもしろくならないよ、という注意でしょうか?
 英語のみの動きは英語で、日本語になっているものは日本語で、ダンスの動きを並べますと、「Bend、ボディロール、Clap、手を高く上げてたたく、ダブ、Disco、ダブルダウン、ドロップ、フロス、フレッシュ、カンナム、Head+Hips、Hop、Kick、Knee、Kneel、Ole、Reach、Slide、星、Stretch、ディス・オア・ザット、ゾンビ」となります。英語の部分が、まだプレイしていない日本語のものからはカットされています。Head+Hipsは、マリリン・モンローの有名なポーズです。
 ともあれ、QUREOをとおして、言葉ではなく、プログラミングの基本概念をしっかりと身につけましょう。概念を身につけていれば、それが英語や他の国の言葉に変わったとしても、直観的に把握することができます。
 言語学的な話になりますが、じつは概念が先にあれば、英語や外国語を学ぶことはかんたんです。たとえば、「ずっとくりかえす」と「forever」の動きはおなじですし、「いちどだけ」と「once」の動きは同じです。なぜなら、おなじ概念を日本語と英語であらわしているからです。

学院長 筒井 保明

話題の「GIGAスクール構想」とは?

 「GIGAスクール構想」とは、義務教育を受ける児童生徒のために、児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された創造性を育む教育を、全国の学校現場で持続的に実現させる構想です。GIGAとはGlobal and Innovation Gateway for Allの略です。単位補助のギガ(データの容量でGB:ギガバイトなどと使われる「ギガ」です)と掛けている部分もあるのでしょう。
 Society5.0(※1)時代を生きる子ども達にとって、教育におけるICT「Information and Communication Technology(情報通信技術)」を基盤とした先端技術の活用は必須です。また、変化の激しい時代を生き抜くには従来の一斉教育だけではなく、多様な子ども達を誰一人取り残すことのない、個別最適化された創造性を育む教育の実現が重要であり、ICT教育で次世代の人材を育てる必要があります。これらを持続的に実現させる構想がGIGAスクール構想です。
 文部科学省の調査によりますと、今年3月時点での学校現場における学習者用端末の導入台数は児童生徒5.4人に1台程度と、日本の学校ICT環境の整備は遅れており、自治体間の格差も大きいのが現状です。(埼玉県は児童数あたり約9.6人に1台。45位の低さです)
 令和時代のスタンダードな学校教育像である「子ども達への公正に個別最適化され創造性を育む教育」の実現には、全国一律のICT環境の整備が急務となっています。
 「GIGAスクール構想」による1人1台の端末(PCまたはタブレット)、校内のネットワークが整備されることで、小学生のプログラミング教育もより発展していくことになります。しかしながら、ハード面だけそろっても意味がないのは、想像に難くありません。ソフト面(指導力、使用するソフトウェア・アプリケーション、生徒の意欲など)がしっかりかみ合ってこそ、新時代の教育のあり方といえます。
 QUREOはプログラミングの考え方を学ぶ入り口として、とてもよくできているものです。そこで学校で取り扱うであろうScratchの考え方、操作方法(プログラミングの考え方ももちろんですが、マウスなどの使い方も含めて)も学ぶことができます。
 また、QUREOとは直接関係はありませんが、授業時間の中で取り組むタイピングについては、今後PCを使う上で打鍵をすることを考えていただければ、必須のものであることは、ご理解いただけると思います。

(※1) 狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新たな社会として、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会。