人型ロボットの時代がやってくる!?

 君たちが取り組んでいるスクラッチをベースにしたプログラミングは、未来の世界につながっています。
 君たちが大人になるころの世界では、人工知能がさまざまな分野に組み込まれ、さらに進化して、それこそ人間に似たロボットが身近で働くようになるかもしれません。
 すでに産業の分野では、産業用ロボットがたくさん活躍しています。
 たとえば、スイスに本社を置くABBという産業用ロボットメーカーのコラボレートロボット・ユミCollaborative Robot YuMi®は、人間の手作業をほぼ完全に代替することができます。いや、単純な作業であれば、人間よりも正確に作業します。
 でも、産業用ロボットを動かしているのは、人間によるプログラミングです。ですから、あくまで人間がつくった仕組みであって、人間らしいロボットではありません。
 君たちが取り組んでいるスクラッチやQUREOは、x座標とy座標の2次元で動作させますが、ロボットの場合は、z座標を加えて、3次元で動作させます。
 x座標、y座標の概念と、その相対的な動きについては、スクラッチやQUREOで学びますから、座標の概念をきちんと身につけましょう。
 ところで、ロボットという言葉は、1920年、チェコスロバキアの小説家カレル・チャペックによって、つくられた造語です。『R.U.R.』という戯曲に人型ロボットが登場しました。
 ですから、ロボットの訳語は「人造人間」であり、手塚治虫の『鉄腕アトム』や石ノ森章太郎の『人造人間キカイダー』も、人型ロボットとして生まれたのです。
 ちなみに、ネコ型ロボットのドラえもんは、語源的には、ロボットのイメージとズレますね。そういっても、ドラえもんも人間のプログラミングによって動いているわけですから、人型ではなくとも、ネコ型の人造人間ではあるでしょう。
 左の写真は、『R.U.R.』の映画の写真ですが、写真のなかの3人のロボットが藤子・F・不二雄先生の頭のなかで、ドラえもんに生まれ変わったともいえます。
 ロボットという言葉は同じなのに、ロボットという言葉の概念が、広がっているのです。
 君たちはプログラミングを通して、さまざまな概念を学びますが、一つのプロジェクトにたくさんの概念がつめこまれています。
 ロボットも一つのプロジェクトです。アトムにも、キカイダーにも、ドラえもんにも、ものすごい量の概念がプログラミングされています。
 将来、君たちのなかから、人間らしいロボットをつくる科学者や工学者が生まれるかもしれません。
 スクラッチの開発者のレズニック博士は、「どんなプロジェクトもかんたんなスクリプトで始まる」といっています。みなさんは、まず基本概念をコツコツと身につけましょう。

学院長 筒井 保明

1人1台PC、タブレット端末での学習の幕開け

 コロナ禍の影響もあり、前倒しになっている1人1台PC、タブレット端末の学習が4月から始まろうとしています。各市によって配布・貸与される端末は異なりますが、Chromebook、iPadが多いようです。
 文部科学省は学習用個人PCで子どもたちに何をさせたいのでしょうか。想定している具体的な活用方法を調べてみると、大きく分けて「調べ物と資料作成」「プログラミング教育」の2つのようです。
 文部科学省が「すぐに実践できる」としているのが調べ物と資料作成です。Webブラウザで必要な情報、カメラを使って写真、ビデオなどの資料を集めて、レポートやプレゼンテーション資料を作るのが基本の使い方と考えられます。2020年度からの小学校の教科書改訂で、プレゼンテーションをする機会や内容が増えているとお伝えしました。1人1台の端末を使うことで、特に写真・ビデオは子ども一人ひとりで見方が違うでしょう。
 またデジタル教材の閲覧もすぐに実践できます。これまでは、教室に設置されたモニターで全員が一度に動画を見ていましたが、それぞれ好きに映像資料を見ることもできます。
 プログラミング教育では、プログラミング的思考を養うため、算数や理科をはじめとする授業の中で子ども向けプログラミング言語「Scratch」などを教材として使います。子どもに話を聞くと、「今日Scratchを学校でやった」などと話をしてくれています。
 2021年度から中学校の教科書改訂があります。技術家庭のなかで、プログラミングが大きくとりあげられます。今まではCPUなどといった名称中心でしたが、様相が大きく変化します。小学生の今からPCに慣れることは、これからの生活のなかでの必然といえます。

Scratchでアクションゲームを作ってみよう!③

 地面のスプライトを複数用意(今回は2つ)します。
 自分で地面を描く時には、ひとつだけ注意点があります。地面をつなげて移動させますが、それぞれの右と左の高さが全て同じになるようにしないと、ガタガタした地面になってしまい、つながっていないように見えてしまいます。
 地面が用意できたら、最初の地面の設定です。はじめの位置をx座標、y座標ともに0にします。ずっとx座標を-5ずつ動かし、x座標が-465より小さくなったら、x座標を480にします。2枚目の地面の設定ですが、はじめの位置を、x座標を480にするだけで、残りは1枚目の設定と同じです。これでずっと背景が繰り返される横スクロールのできあがりです。
 これで「緑の旗」をクリックすれば地面はちょうどよく切り替わり、横スクロールするでしょう。ブロックを組み立ててみてください。

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